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突然、貸主に何かあったら社宅はどうなりますか?

社宅とは会社が従業員の為に用意するアパート・マンションの事で、一般の賃貸住宅所有者との間で賃貸借契約を締結して使用します。貸主は借主に対して建物を安定して居住させる利益の提供を行い、一方借主はその対価として所定の賃料を支払う構図となります。
借主が賃料を滞納したり、事情を告げずに所在不明になると債務の不履行となります。
では貸主側には何もないのでしょうか。何かあった場合、借主はどうなるのでしょうか。

突然、貸主が行方不明になったら…

先日、「この人たち今後どうなるんだろう?」と考えさせられたニュースを観ました。
先月、高速道路で煽り運転をした40代の男性が逮捕されたという事件です。
逮捕後の報道では、加害者の男性は賃貸マンションを所有しているとの情報が流れました。
ある報道の中で男性が所有する賃貸マンションの入居者にインタビューしている場面を見ましたが、その時ふと「貸主が突然いなくなったら、借主はどうすれば良いのだろう?」と疑問に思ったのです。
借主が夜逃げや行方不明となる話は事例に事欠きませんが、貸主側に同じ事態が起きた時というのはあまり聞きません。この場合、借主は一体どうなってしまうのでしょうか。
今回は貸主が突然連絡不通、所在不明となったと仮定し、その場合の借主の対応策について私なりに推測してみました。

対応は法律のプロにお任せするのが最善

まず結論ありきで申し訳ありませんが、このような場合は弁護士の方に対処を仰ぐのが一番最善であると考えます。
契約当事者の相手が所在不明になるという事態は特別な状況であり、一般の人間では対処できない事も多くあると思います。その為、法律のプロである専門家に状況を伝え、場合によっては代理人として対応して貰うのが良いと思います。

賃料は支払ってもいいの?

借主にとって最も心配な点は「賃料の支払」でしょう。
管理会社へ支払っている場合は管理会社に証明を依頼することもできますが、貸主へ直接支払っている場合は受け取ったかどうかも判らないのに、支払っても大丈夫なのでしょうか。
この場合、私の知る限りでは民法第494条で定められる「供託」という方法があります。
供託とは、金銭や有価証券を供託所に預けることで、支払ったのと同じ効力を持ちます。
何らかの理由により貸主に支払いが出来ない場合でも、支払いをしないでおくと借主は賃料未払いによる債務不履行とされ契約解除となる恐れがあります。そこで供託を行うと、賃料を支払ったとみなされ借主側の債務不履行はなくなります。
ただ、貸主の代理人あるいは債権者と称する人から賃料の支払を求められるケースもあります。その場合、代理人の持つ委任状の信用性や債権譲渡の通知の有無など確認する必要がありますので、やはり弁護士の方に相談するのが最善です。

住み続けられるの?

一方で、賃貸借契約そのものは有効なのでしょうか。
これについても推測ですが、互いに債務の履行を行っている限り、契約は有効に継続しており当然居住は続けられると考えます。
反対に契約解除で終了させたい場合、貸主への契約解除の意思表示が必要となります。
今回では貸主は所在不明としていますので意思表示は通常一般の方法ではできません。
この場合、民法第98条「公示送達」による方法があてはまるのではと考えます。
契約解除を伝達したい貸主が所在不明の場合、裁判所に申し立ててその意思を一定の期間公示してもらうことで「貸主へ意思表示」とみなすことが出来ます。そして一定期間が経過すると「意思表示が貸主に到達した」とされて契約は解除されたことになります。

万一に備えた対策を

貸主側にも契約中に失踪、死亡、相続、所有権移転、差押え、破産、倒産等貸主としての地位の継続が困難、不可能になる事は十分にあります。
このうち相続による所有者変更は高齢化社会の現代では比較的日常的に発生しており事例も多く、借主側としても直面した際の対応策は立てやすくなっています。
しかし貸主が突然所在不明、連絡不通となった際の対応については賃貸借契約書にも明確な記載は見当たらず、しかも借主が単独で事態の解決を図ることは困難です。
借主側、特に借上社宅のある法人企業様においてはこのような事態も想定した対応策を講じるか、相談先・委任先を確保しておくことは重要であると考えます。