後継者難で倒産の企業、2024年は過去最多の462件に TSR調査

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年の「人手不足」関連倒産(負債1000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち「後継者難」を抽出し、分析。2024年の「後継者難」倒産が過去最多件数となったことを報告した。
2024年「後継者難」倒産 前年比7.4%増の462件

TSRは分析の結果、2024年に後継者不在が要因となった「後継者難」倒産(負債1000万円以上)が462件(前年比7.4%増)に達し、5年連続で過去最多を更新したことを報告した。
要因として最も多いのは、代表者の「死亡(257件)」で、2022年の223件を超え過去最多を更新。全体の55.6%(同29.1%増)を占めるという。TSRは事業承継には一定の期間が必要となることに触れ「高齢の代表者の場合、事業承継の準備や後継者育成が遅れるほど、事業継続に大きな支障を来しかねない」と指摘した。
次に産業別の分析結果を見ると、最多は資材高騰と職人不足が顕著な「建設業」が過去最多の105件(前年比6.0%増)で、次いで「サービス業他(100件/同7.4%減)」「卸売業(78件/同34.4%増)」が続くと報告されている。TSRはこの結果について、労働集約型産業で働き手の人材不足と後継者不在が同時に押し寄せている実態があると解説した。
資本金別では「1千万円以上(185件/同3.3%増)」が2年連続で前年を上回ったことが判明。「1千万円未満(277件/同10.3%増)」が59.9%と、小・零細規模の企業が目立つ一方で、事業規模を問わず「後継者難」倒産が広がっている実態が明らかになった。
出典元:2024年の「後継者難」倒産 過去最多の462件 建設業、サービス業他など労働集約型が上位に(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
コロナ禍を抜けたかと思えば人件費や物価の上昇が続き、企業収益の圧迫で苦しい状況にある企業は少なくない。2024年の倒産件数は前年比15.1%増で11年ぶりに1万件を超え、後継者難による倒産も過去最多を記録した。(※1)
TSRは「業績回復が遅れた企業ほど、後継者のなり手が少ない現実がある」と指摘する。また、事業承継には社内外における事前準備も多く必要となり、その滞りが廃業や倒産を招く大きな要因となりかねない。
2025年、企業を取り巻く環境は大きく好転するとは考えにくく、今後も厳しい状況が続くと予測される。倒産状況についても引き続き注視する必要がありそうだ。
出典元(※1):2024年(令和6年)の全国企業倒産10,006件(株式会社東京商工リサーチ)