「男性育休白書2023」男性の育休取得日数は5年間で約10倍に
積水ハウス株式会社が2019年から発行している「男性育休白書」。その5回目となる「~2023」が発表され、「男性の家事・育児力」全国ランキングでは高知県が2年連続で1位を獲得した。同ランキング以外にも、男性の育児休業取得を巡るさまざまな変化を伝える調査から、編集部が特に注目したトピックスをピックアップして紹介したい。
「男性の家事・育児力」全国ランキング1位は高知県
積水ハウス株式会社は、2019年から企業で働く男性の育休取得実態を探る「男性育休白書」を発行。5回目となる今回は、恒例の「男性の家事・育児力」全国ランキングに加え、これまでの白書を振り返り、男性育休取得の変化をリポートした。
まず、積水ハウスが独自に設定した指標から算出した「男性の家事・育児力」の全国ランキングを見ていこう。指標は以下の4つ(5項目)。①配偶者の評価(男性が行う家事・育児の数/男性の家事・育児関与度)、②男性の育休取得日数、 ③(女性から見た)男性の家事・育児時間、④男性の家事・育児参加による幸福感。
これら4指標5項目を数値化して47都道府県別にランキングした結果、全国1位は2022年に続き高知県。男性の家事・育児時間は全国平均の12.7時間/週を上回る19.3時間/週で、このほか3項目で1位に。2位は鳥取県、3位は佐賀県となった。
男性の育休取得率は24.4% 5年間で約2.5倍に
育休を取得した男性の割合は24.4%で、2019年の育休取得率9.6%から5年間で約2.5倍に伸長。同じく男性の育休取得日数は平均23.4日で、2019年の平均取得日数2.4日から約10倍に。2022年(平均8.7日)と比較しても約3倍になった[図2]。
また、「育休を取得したい」と答えた男性は2019年の60.5%から今回は69.9%へ約10ポイント上昇。パートナー男性に「育休を取得してほしい」と答えた女性も、2019年の49.1%から今回は64.7%へ約15ポイント上昇。男女ともに、男性の育休取得に関する意識が向上していることをうかがわせる結果となった。
マネジメント層も男性社員の育休取得を後押しする方向にシフト
一方、育休取得に「不安」を感じた育休取得男性は、 2019年は77.0%いたが、今回は70.2%に減少。また、職場の男性の育休取得に対するルールや仕組みが「ある」のは2020年の37.0%から今回は42.1%と約5ポイントの伸び。「職場が育休を取得しにくい雰囲気がある」と答えた人は、2019年の27.5%から今回は22.2%へと約5ポイント減少した。
また、全国の「パパ・ママ」層とは別に、企業で働くマネジメント層と一般社員層にも調査を実施。男性の育休取得に「賛成」のマネジメント層は、2022年の78.3%から80.3%へ増加。「男性の育休取得を『もっと浸透させるべき』」と答えたマネジメント層も2022年の71.3%から76.8%に増加。マネジメント層の意識も、男性社員の育休取得を後押しする方向へとシフトしていることが示された。
さらに一般社員層に「育休を取得した職場の男性に対する思い」を聞くと、「育児の時間を大切にしてもらいたい(80.5%)」「育児の応援をしてあげたい(75.8%)」といった応援の声が多く集まった。
調査概要
■実施時期:2023年6月9日~6月20日
■調査手法:インターネット調査
■調査委託先:マクロミル
■調査の対象:①パパ・ママ層=全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20〜50代の男女200人 計9,400人、人口動態に基づきウエイトバック集計(男性の家事・育児力ランキングについては人口動態+12歳未満のお子さまとの同居率もウエイトバック値に加味)、②マネジメント層=従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人、③一般社員層=有職(パート・アルバイト除く)かつマネジメント層を除く20代〜50代の男女800人 ※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
まとめ
政府による「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が創設され、民間企業でも男性の育休取得に関するさまざまな取り組みが進められている現在。今回の調査結果は、仕事と育児の両立を含めて、より柔軟な働き方やワークライフバランスの実現を求める人々の変化が表れ始めていると言えそうだ。