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日本企業約1.3万社に影響か?米国の対中・対北米追加関税 TDB調査

2025.02.10

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、保有する企業信用調査報告書ファイル(CCR、約200万社収録)から、輸出先(得意先・販売先)に「中華人民共和国」および「アメリカ合衆国」「カナダ」「メキシコ」各国内の企業(現地法人、現地子会社などを含む)と取引のある日本企業を抽出。トランプ政権の追加関税による企業活動への影響について、調査・分析を行った。

約1.3万社の企業活動に影響か

約1.3万社の企業活動に影響か

TDBの報告によると、日本から北米・中国に製品・サービスを輸出する日本企業は2025年1月時点で1万2911社に上るという。このうち特に多いのは「中国向け(9850社)」と「米国向け(4854社)」だ。中国やカナダ・メキシコへの輸出は、各国拠点で加工・組立工程を担い、米国市場に輸出するといった供給網も含まれるという。トランプ米大統領は既に中国向け追加関税を発動している。TDBは、メキシコ・カナダ両国に加え、日本にも関税が発動するシナリオの場合、少なくとも国内約1.3万社の企業活動に影響が及ぶ可能性があると指摘した。

TDBは、それぞれの企業売上高に占める輸出額の割合(シェア、1社あたり)を分析。「中国向け:約1600社、平均42.3%」「米国向け:約800社 平均28.6%」と、中国向けの企業で売上高における輸出への依存度がより大きい実態があるとの結果を報告した。

出典元:米国の対中・対北米追加関税に対する日本企業の影響調査(株式会社帝国データバンク)

業種別・企業規模別分析

業種別・企業規模別分析

なお、業種別では「卸売業(6348社)」が最多で、次いで「製造業(5211社)」が続いている。「卸売業」では、白物家電をはじめ電化製品を扱う「機械器具卸売業(2026社)」や「飲食料品卸売業(669社)」など食品関連が上位に。製造業では、金属工作機械などの「一般機械器具製造業(1444社)」が最多で、次いで「電気機械器具製造(787社)」「化学工業、石油・石炭製品製造業(540社)」が続く。そのほか、日本酒人気などを背景に「食料・飼料・飲料製造業(320社)」も多いという。

企業規模別では売上規模「1-10億円未満(4850社)」が最多だったことが報告された。次いで、地場・業界中堅クラスに相当する「10-100億円未満(4558社)」が続き、大手企業を中心とした「100億円以上」は2019社だったことが判明している。

まとめ

TDBの報告を見ると、トランプ政権の追加関税によって日本企業は直接・間接的に広く影響を受ける可能性があることがわかる。トランプ米大統領は既に中国からの輸入品に対する追加関税を発動しており、今後メキシコ・カナダにも発動を予告(当初の2月1日から約1カ月延期され3月に適用の予定)。さらに全ての国からの輸入品に一律関税を課すことも検討されている。

TDBはこうした状況に対して「グローバルバリューチェーンを構築してきた企業にとって、価格転嫁や生産拠点の変更といった対応を迫られるなど、経営面でのインパクトは無視できない」とコメントした。日本も追加関税対象になるシナリオを想定した早急な対策が必要となりそうだ。今後の動向にも注目したい。