2024年の新設法人が過去最多に!企業年齢「60歳以上」も上昇 TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、保有する企業データベースのほか、登記情報などを基に2024年に全国で新設された法人を対象に調査を実施。2024年の新設法人が過去最多となったことを報告した。設立時点の代表者情報や本社情報は、最新のデータベースを基に、最も古い情報を基に算出・推計。2020年~2024年の5年間のデータについては、最新のデータを基に遡って再集計したという。
2024年「新設」 15.4万社で年間最多を更新
TDBの報告によると、2024年(1-12月)に全国で設立された新設法人は15万3789社で、前年(23年)を879社(0.6%)上回っている。2年連続での増加であり、集計可能な2000年以降で年間最多を更新した。
10年前の2014年(12万279社)に比べると、年間の設立数は約1.28倍に増加したことがわかる。しかし、前年からの伸び率は23年(7.9%増)に比べて大幅に低下している。2024年は、低コストで手続きが簡便な合同会社の増加が続いた一方で、株式会社や社団法人の設立数が減少したようだ。またTDBは「2023年に発生したインボイス(適格請求書)制度への対応を目的に法人格を取得する小規模事業者の動きが一巡したことも影響した可能性がある」との見解を示した。
2024年の休廃業・解散件数(6万9019社・前年比16.8%増)、企業倒産件数(9901社・同16.5%増)との比較では、新設法人の増加率は比較的低水準にとどまっている。一方で、新設法人数は企業倒産・休廃業・解散の総数に比べ1.95倍と、2倍近い水準となったことも明らかになった。
出典元:2024年「新設法人」動向調査(株式会社帝国データバンク)
企業者年齢の高齢化進み「シニア起業」が拡大傾向

TDBは続いて、起業者の年齢に関する調査結果を報告。起業・法人化する代表者の高齢化が進んでいる実態が明らかになっている。起業時点での代表者年齢が判明した2024年の新設法人では、平均年齢(起業者平均年齢)は速報値で48.4歳と報告された。前年(47.7歳)と比べて0.7歳上昇しており、2000年以降で最高齢を更新している。
年代別で最も多いのは「40代(32.0%)」で、2年連続で割合が上昇している。一方で、コロナ禍前には4社に1社を占めていた「30代(18.9%)」は、2000年以降で初めて20%を下回ったことがわかった。また「20代以下(5.2%)」も2016年以来8年ぶりの低水準となり、若年層・現役世代の起業は縮小傾向での推移となったようだ。逆に上昇傾向での推移をみせているのが、シニア層・早期リタイア層だ。「50代(25.2%)」は20年ぶりの高水準となったほか「60代」「70代」は共に2000年以降で最高を更新した。
TDBは特に、一般企業の多くで定年退職のボーダーラインとなる「60歳以上(18.6%)」の割合が、前年(17.0%)を上回って過去最高となった点に注目。その背景には下記3つの要因があるとの見解を示した。
・インターネットの活用に比較的慣れている世代であること
・大手企業を中心に副業・兼業を解禁する動きが広がり、趣味や特技を生かした起業の心理的なハードルが低くなっていること
・政府の「スタートアップ育成5か年計画」など官民一体での起業支援が充実していること
まとめ
2024年、新設法人の増加率は大幅に低下したものの、社数は企業倒産・休廃業・解散の総数と比較すると2倍近い水準であり、過去最多を更新。60歳以上での「シニア起業」も増加傾向にあることが明らかになった。
政府は官民一体での起業支援に取り組んでおり、経営悪化のリスクを最小限に抑えるべく、事業計画の策定や取引先の開拓など、幅広い経営サポートを展開。地域金融機関をはじめとして新設法人の経営者保証を不要とする創業支援融資を取り入れる事例も増加しているという。TDBはこうした起業への心理的・金銭的ハードルが低下し身近なものとなることで、新たなビジネスチャンスの創出という点で良い影響があるとみているようだ。