掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

日本の求人掲載賃金は2024年に大きく上昇 Indeed Japan調査

2025.05.19

Indeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:淺野健)は、国際的なエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木雄介氏によるレポート「日本の求人掲載賃金上昇率の動向:数年にわたる停滞を経て、なぜ2024年に賃金は急上昇したのか」(日本時間5月16日公開)の主要ポイントをまとめ、公開した。

2024年から加速した賃金上昇率 2025年は緩やかに

2024年から加速した賃金上昇率 2025年は緩やかに

Indeedによると、賃金上昇率は2024年に入ると加速し、右肩上がりの伸びを示したという。2025年初頭にはやや鈍化の兆しが見られたものの、4月時点で前年同月比3.6%の伸びが観測されている。

同社は、2024年に見られた賃金上昇加速の背景に「人手不足の継続」「インフレに対する労働者・企業意識の高まり」があるとの考察を示した。さらに、春闘をはじめとする賃上げムードの広がりが、企業に強く影響したとみているようだ。

また、2025年初頭に賃金上昇が鈍化した理由について、一部企業でみられたという「採用活動への注力度の低下」や、賃上げの先行実施が一巡したこと、国際的な景況感悪化や政況に関連した不確実性の高まりに対する警戒感など、様々な可能性を提示。2024年に急激に賃金上昇が進んだ反動もあるとの見方から、今後も動向を注視する必要があると指摘している。

なお同社は、2025年4月現在、広範囲の職種カテゴリで賃金上昇が見られていることにも着目。5%台の賃金上昇率を示す職種カテゴリは5つあり、4%台まで広げればさらに8つ、3%台まで広げればさらに8つが入ると報告した。2019年には職種間で偏りがあり、職種間標準偏差は2025年4月の方が2019年4月よりも小さいという。

出典元:Indeed Hiring Lab、求人掲載賃金の最新動向を調査(Indeed Japan株式会社)

賃金上昇率は物価上昇率に追いつくか?

賃金上昇率は物価上昇率に追いつくか?

同社は、日本の賃金上昇率と物価上昇率について分析。2022年と2023年は賃金上昇率が物価上昇率に追随できず、かつ物価上昇率を大きく下回る状況が続いていたという。しかし、2024年に入ると遅れを取り戻し、賃金上昇率が物価上昇率に追いつくような動きを見せていると分析している。

同社は「インフレに伴う労働者の高賃金への関心の高まり」「離職率の上昇を含む労働市場の流動性の高まり」などが、企業の賃金上昇圧力を高めている可能性を指摘した。また、価格転嫁が進んだことも賃金上昇につながっているほか、春闘を含む賃上げ機運の継続が名目賃金上昇へと波及し、価格と賃金の相互作用による好循環が徐々に可視化されつつあるとの見解を示している。

まとめ

2025年、賃金上昇率の勢いや2024年に比べるとやや緩やかな伸びとなっているようだ。しかし賃金上昇率の高まりは幅広い職種カテゴリで確認されており、労働市場の大半の分野に影響が及んでいると考えられる。

賃金上昇が鈍化した理由については、様々な可能性があると同社は指摘。今後さらに賃金上昇率を高めるためには、多角的な取り組みが必要となりそうだ。調査結果を自社の状況とも照らし合わせつつ、今後どのような取り組みに注力していくべきか、改めて検討する機会としてみてはいかがだろうか。