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2025年5月の「円安」倒産が前年同月比75.0%減で今年最少 TSR調査

2025.06.03

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年5月の「円安」関連倒産について集計・分析を実施。件数は低水準となったものの、35カ月連続での発生となったことを報告した。

今年最少件数も2022年7月から35カ月連続で発生

今年最少件数も2022年7月から35カ月連続で発生

TSRの報告によると、2025年5月の「円安」関連倒産は3件(前年同月比75.0%減)で、1月、3月と並び今年最少だったという。一方で、2022年7月から35カ月連続での発生となっていることも明らかになった。

負債総額は92億7000万円(同37.9%増)で、3カ月ぶりに50億円を超えることが判明。負債10億円以上は1件(前年同月2件)にとどまったものの、株式会社ロイヤル(愛知)が負債83億3000万円を抱えて民事再生法の適用を申請し、負債総額が膨らんでいる。

業種別で見ると、製造業、卸売業、小売業で各1件の発生となっている。ドル・円レートは、1ドル=142円から147円の間で推移。TSRは輸入財の価格安定には至っていないと指摘する。

出典元:5月の「円安」倒産は今年最少の3件 件数は低水準も、35カ月連続で発生(株式会社東京商工リサーチ)

「円安」関連倒産は今後も発生が続く見通し

さらにTSRは、実質賃金が年度ベースで3年連続で前年を下回っている点に注目。米価をはじめとした食料品、電気・ガスなど、様々な物価上昇も続いていることから、消費者心理に影響を与えつつあると分析している。

円安に伴う輸入コスト上昇分の価格転嫁は、容易ではないという。そうした状況が、中小企業の価格設定にも影響を及ぼしているようだ。トランプ米大統領の発言一つで大きく変動する為替相場。安定する気配はうかがえず、今後も円安を一因とした倒産の発生がしばらく続く見通しとなっている。

まとめ

2024年には84件が発生(※)した「円安」関連倒産。件数としては減少傾向にあるものの、未だ発生が続いている状況だ。円安による仕入れコストの上昇は、収益や資金繰りに影響を及ぼすだけでなく、納入価格の上昇も引き起こす。販売価格への転嫁が難しい中小企業では、特に厳しい状況となっているだろう。安定する気配がみられない為替相場の動向も含め、今後も注目したい。

※出典元:2024年度「円安」倒産84件、前年の1.4倍増 最多は卸売業、金融・保険業を除く9産業で発生(株式会社東京商工リサーチ)