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企業支援の枠組み新設で未来志向へ|2024年「中堅企業」は9229社

2024.04.24

経済産業省は、大企業と中小企業の間に「中堅企業」という分類を新たに設け、税制優遇などの支援に乗り出す(※)。従業員数が2000人以下の企業が「中堅企業」と定義づけされる。そこで東京商工リサーチ(以下:TSR)は、保有する企業データベースから、直近の動向が判明し従業員数または資本金が確認できた企業で、中小企業・中堅企業・大企業の分類が可能な企業を分析対象とし、2024年「中堅企業」動向調査を実施した。

※成長力が高く地域経済を牽引する中堅企業の成長を促進する政策について(経済産業省)

2024年は9229社が「中堅企業」年間売上は大企業と僅差

2024年は9229社が「中堅企業」年間売上は大企業と僅差

TSRの企業データベースによると、2024年3月時点で「中堅企業」は9229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)。このうち、2023年の中小企業が2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社で、逆に「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業は311社みられたという。

TSRは中堅企業の産業別構成比の最大はサービス業他の28.8%であることを報告。次いで、情報通信業18.0%、製造業16.3%と続いている。

また、3期連続で売上高・当期利益・従業員数が比較可能な企業を対象に、従業員1人当たりの年間売上高を算出すると、2023年1-12月期は中堅企業が8253万円で、大企業(8702万円)と僅差であることがわかった。なお中小企業は4267万円にとどまっている。

さらに、中堅企業の2023年1-12月期の当期利益率は7.3%で、大企業(8.4%)には及ばないが、前年(6.0%)から1.3ポイント上昇したことも明らかに。一方、中小企業は3.4%にとどまっており、大企業、中堅企業との格差は大きいことが判明している。

なお、産業別の当期利益率をみると、中堅企業では、サービス業他が20.1%で最高。大企業と中小企業では、サービス業他の当期利益率が5%台にとどまり、中堅企業の高さが目立つ。このほか、運輸業が18.6%、農・林・漁・鉱業が13.1%と続き、中堅企業では3産業で当期利益率が10%を超えた。

出典元:2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ(東京商工リサーチ)

まとめ

経済産業省は、成長余地の大きい中堅企業を支援し、賃上げや国内投資の後押しを行うことで、国内経済の持続的な成長に繋げることを見込んでいるという。また、こうした支援で中小企業に明確な目標像を与え、中堅企業への規模拡大のモチベーションにつながることが期待されている。

TSRは「生産性は賃金に直結するため、労働者が生産性の低い企業から生産性が高く待遇の良い企業に流れる動きが加速すると考えられる。設備投資・人的投資を怠り、成長意欲が低い中小企業の淘汰が始まるだろう」との見解を示した。

一方でTSRは、意欲と成長の芽がある中小企業の支援や、規模縮小後の成長停滞を防ぐことの必要性も指摘している。新たな枠組みが設けられたことで企業の成長の道筋がどう具体化されていくのか、注目したい。