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「社保」「税金」滞納倒産が過去最多の138件【公租公課滞納倒産動向調査(2023年度)】

2024.04.26

帝国データバンク(以下:TDB)は、消費税や固定資産税などの各種「税金(公租・租税)」厚生年金保険や健康保険などの「社会保険料(公課)」について納付ができない、または滞納状態が続いたことで自社の資産等を差し押さえられ経営に行き詰まった企業の倒産(公租公課滞納倒産)について調査・分析を行った。

調査概要

集計期間:2024年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:「公租公課滞納」倒産動向調査(2023年度)(帝国データバンク)
※公租公課滞納倒産 :消費税や固定資産税などの各種「税金(公租・租税)」、厚生年金保険や健康保険などの「社会保険料(公課)」について納付ができない、または滞納状態が続いたことで自社の資産等を差し押さえられ経営に行き詰まった企業の倒産と定義

2023年の公租公課滞納倒産は138件で過去最多に

2023年の公租公課滞納倒産は138件で過去最多に

TDBによると、消費税や固定資産税、厚生年金保険などの「公租公課」を納付できない、または滞納による差し押さえで経営に行き詰まった「公租公課滞納」倒産は、2023年度に138件判明したという。月次ベースでは、2024年1月(14件)以降、2月(16件)、3月(20件)と、過去最多を更新し続けていることも明らかになった。

2020~2023年度の4年間での公租公課滞納倒産は334件判明しており、2023年度の138件は全体の41.3%にも及ぶ。2022年度の97件から1.4倍に増加したほか、支払いが猶予されていたコロナ禍の2020年度(46件)からは3倍に増えた。

2020~23年度に発生した334件を業種別にみると、最も多いのは「サービス業」の86件で、トラック運送などの「運輸・通信業(64件)」「建設業(55件)」「製造業(48件)」などが続いている。

態様別では、ほとんどのケースで破産となり、累計334件のうち清算型が314件(94.0%)を占め、再生型は民事再生法を中心に20件にとどまった。

14万以上の事業所が社会保険料を滞納

14万以上の事業所が社会保険料を滞納

公租公課のなかでも社会保険料は企業にとって特に負担が大きく、コロナ禍には最長3年にわたる納付猶予措置が設けられた。しかしポストコロナに向けて企業活動が正常化するとともに、特例措置も順次縮小。TDBは、そうしたなかで業績不振が続き、消費税と社会保険料の支払いに窮した企業や、猶予期間中の業績立て直しが叶わなかった企業の倒産増加が目立つことを指摘した。

なお日本年金機構によると、厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所は、2022年度末時点で14万811事業所に上り、適用事業所全体に占める割合は5.2%を占めているという。前年度(14万7750事業所/5.7%)に比べて若干減少したものの、依然として多くの企業が納付に苦慮する状態が続いていることがうかがえる。

出典元:令和4年度業務実績報告書(日本年金機構)

まとめ

2020~2023年度の4年間での公租公課滞納倒産334件のうち、2023年度は41.3%を占める138件と過去最高件数となった。

TDBはこうした状況に対して 「コロナ禍での特例措置や支援策の縮小、物価高などの影響も重なり、社会保険料の支払い催促に対して弁済可能な資金を有する中小企業は決して多くない。社保や税金滞納分の支払い見込みが立たず、事業継続を断念するケースは今後さらに増えていくことが予想される」との見解を示している。

TDBの集計によれば、2023年度の企業倒産件数は9年ぶりの高水準となっており、その背景にはやはりコロナ禍での特例措置や支援策の縮小があるのだろう。ゼロゼロ融資後倒産や公租公課滞納倒産の今後の動向にも注目したい。

出典元:倒産集計 2023年報 2023年(令和5年)1月1日〜12月31日(株式会社帝国データバンク)