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2023年度の社内不正事案の相談件数は増加傾向!半数以上が情報持ち出し【社内不正被害に関する実態調査​】

2024.04.30

データセキュリティカンパニーのデジタルデータソリューション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:熊谷聖司)は、増加する社内不正被害の実態を明らかにするべく、2023年度社内不正被害にあった経験のある企業230社を対象に、社内不正被害に関する実態調査を実施した。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査実施の背景

同社が参照した警察庁の資料(※1)によると、2023年に全国の警察が受理した企業情報の持ち出しなど営業秘密侵害に関する相談は前年比19件増の78件で、過去10年で最多となっている。その中には、大手通信会社の元派遣社員が顧客情報を不正に持ち出し、約900件の個人情報が流出した事案もあったという。

また、2023年に一部が改正され、2024年4月1日より施行となった不正競争防止法(※2)では、知的財産保護のデジタル活用面や、営業秘密保護などが強化された。

こうした背景を受けて同社は、社内不正・情報持ち出し被害の実態を明らかにするため、2023年度に社内不正被害にあった経験のある企業230社を対象に調査を実施した。

※1 出典元:令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について(警察庁)
※2 出典元:不正競争防止法 直近の改正(令和5年)(経済産業省)

調査概要

調査主体:デジタルデータソリューション株式会社
調査対象者:社内不正被害にあった経験のある企業(一部企業に追加調査を実施)
サンプルサイズ:230社
調査年月:2023年4月~2024年3月
調査手法:アンケート調査
出典元:2023年度社内不正被害に関する実態調査​(デジタルデータソリューション株式会社)

社内不正の半数以上が「情報持ち出し」業界別では製造業が最多

社内不正の半数以上が「情報持ち出し」業界別では製造業が最多

本調査によると、2023年度に社内不正が発生した企業のインシデント内容は、約57%が「情報持ち出し」であった。同社は、その内訳について、退職者による情報持ち出しが約43%、在籍中従業員による情報持ち出しが約11%、派遣・業務委託者による情報持ち出しが約3%であることを報告している。

また、本調査では業界別にみる社内不正被害は、製造業が最多であることも明らかになっている。次いで建設業が続いており、この2つの業界で起きた社内不正事案の内訳は、情報持ち出しや横領が約8割を占めたという。​特に、見積書、仕入先の情報、取引先に提出する提案資料、他社員の履歴書などが頻繁に持ち出されていたことが判明した。

情報持ち出し被害が発覚したきっかけは「他の社員からの報告」が約40%で最多に。また、情報持ち出し被害が発覚した月は、人材の流動性が高い「4〜6月」が特に多い傾向であった。

本調査によると、情報持ち出し被害にあった企業の約96%は、USB等外部接続媒体の利用制限を設けていなかったことも明らかになっている。

まとめ

本調査では2023年の社内不正被害は半数以上が「情報持ち出し」であったことが判明。被害にあったほとんどの企業が、外部接続媒体の利用制限を設けていなかったことから、情報管理体制に課題があると見受けられる。

情報漏洩が起これば、企業の対外的な信頼性は大きく下がり、事業活動の停止や業績悪化、さらには賠償金の請求を引き起こしかねない。そうした事態を防ぐためにも、組織的に対策に取り組んでいくべきだろう。重要な情報にはアクセス権限を限定する、アクセス履歴を定期的にチェックするなど、できる対策から始めてみてはいかがだろうか。