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テレワーク実施者の8割超が働き方の多様化を実感も課題を感じる人も多数【働き方改革の現在地に関する調査】

2024.05.07

生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)は2024年4月に「働き方改革の現在地」をテーマにインターネットリサーチを実施した。対象者は全国の20歳〜59歳の男女400人。ここでは調査結果の概要についてお伝えする。

調査実施の背景

2019年4月、働き方改革関連法が施行された。その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などの影響もあり、一気にテレワーク、在宅勤務等新たな働き方が拡大。個々の事情に応じた働き方が進む一方、労働環境の変化に伴う生産性の低下等、懸念点も多い状況となっている。そこで同社は「働き方改革の現在地」について、実際にテレワークを実施している方に対して、働き方の実態や課題を調査し、企業がとるべき対策などを考察した。

調査概要

調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳~59歳の男女のうち、2019年4月頃の時点で働いており、現在週1回程度以上テレワークを実施している方(スクリーニング調査では:20歳〜59歳の男女のうち、有職者に実施)
有効回答数:400名 
調査実施日:2024年4月10日~2024年4月11日
出典元:株式会社ネオマーケティング

テレワーク実施者は10ポイント以上の上昇「フレシキブルオフィス」「ABW」認知度は2割に届かず

テレワーク実施者は10ポイント以上の上昇「フレシキブルオフィス」「ABW」認知度は2割に届かず

同社によると、スクリーニング調査において2019年4月頃「週1回以上」テレワークを実施していた人は全体の17.7%だったのに対し、現在「週1回以上」テレワークを実施している人は28.0%と10ポイント以上の上昇がみられている。

続いてスクリーニング調査では「フレキシブルオフィス」「ABW」の認知度について調査。「フレキシブルオフィス」について「知っている」と回答した人は全体の19.5%で「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」については「知っている」と回答した人は全体の10.6%という結果であった。

※フレキシブルオフィス:企業で働く社員からフリーランスまで幅広い層のワーカーが利用できるオフィスの総称で、主に「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」「レンタルオフィス」などを指す
※ABW:「アクティビティ・ベースド・ワーキング」のことで、その時々の仕事の内容に合わせて、働く場所を自由に選択する働き方を指す

また、それぞれ「知っている」と回答した人にイメージを尋ねた結果「フレキシブルオフィス」は「おしゃれ(35.2%)」「立地がよい(28.4%)」「高そう(25.9%)」が「ABW」は「立地がよい(40.4%)」「おしゃれ(34.3%)」「働きやすそう(33.2%)」が上位に並んだ。

8割超が働き方の多様化を実感も、多くは課題も感じている

8割超が働き方の多様化を実感も、多くは課題も感じている

本調査ではまず、働き方改革の施行から現在までで、働き方が多様になったと感じるかどうか尋ねている。その結果「感じる」と回答した人は「とても感じる(39.3%)」と「少し感じる(47.3%)」の合計で86.5%となった。

次に本調査は、実際の「自身の働き方」について質問。特に「フレックス勤務」と「シェアオフィスでの勤務」の実施状況に関して、変化があったかを尋ねた。その結果「フレックス勤務」の実施状況に関して、全体の63.3%が増えた(「増えた(28.5%)」「少し増えた(34.8%)」)と回答している。一方で「シェアオフィスでの勤務」の実施状況に関しては、増えたと回答したのは全体の47.3%(「増えた(15.5%)」「少し増えた(31.8%)」)と半数以下であった。

また、テレワークなど働き方が多様になったことで課題を感じるか尋ねる項目では「感じる」と回答した人は77.0%(「とても感じる(23.3%)」「少し感じる(53.8%)」に及んでいる。

具体的な課題としては「オンオフの切り替えがしにくくなった」「社内コミュニケーションが減った」「自宅の光熱費が上がった」などが上位に挙げられたという。

また、テレワークの生産性に関する設問では、自宅で仕事をすることによって仕事の生産性が「上がる」と思っている人は53.3%(「とても上がると思う(13.3%)」「少し上がると思う(40.0%)」)と約半数にとどまった。

自宅以外でのテレワークについて

自宅以外でのテレワークについて

続いて本調査では、自宅以外でのテレワークについて調査。まずは「コワーキングスペース」に関する課題感について尋ねている。その結果「コワーキングスペースは予約を取るのが手間」「コワーキングスペースはコストがかかる」「コワーキングスペースまでの移動が大変」「コワーキングスペースではミーティングがやりづらい」などが多く挙げられたという。

「出張・外出先」で仕事をすることに関する課題感については「出張・外出先で仕事で利用できるスペースがない」「出張・外出先で充電など設備を利用できる場所がない」が上位の回答となっている。

これらの結果から同社は「コワーキングスペース」や「出張・外出先」での仕事環境が整っているとは言えず、制度に環境が追い付いていない実態があるとの見解を示した。

まとめ

国土交通省が実施した「テレワーク人口実態調査(※)」では、テレワーカーの割合は減少傾向にあるものの、コロナ禍以前と比較すると高い水準を維持していることが明らかになっている。ポストコロナを迎えた今、緊急的・臨時的なテレワークではなく、本質的なテレワークが実施されるようになったとも考えられる。

一方で本調査では、テレワーク実施にあたって多くが課題を感じていることや、テレワーク先の環境整備が追いついていない実態が明らかにされている。今後本格的にテレワークを実施していこうと考えるのであれば、そうした課題の解決が急務と言えるだろう。

※ 出典元:令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)(国土交通省)