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「させていただく」は要注意!? 正しい敬語とは~オフィスのお役立ちコンテンツ

2024.07.05
広瀬敬代

敬語は複雑で、使い方が難しいと思ったことはないだろうか。敬語だと思って当たり前のように使っていた言葉が、後で失礼な言い方なのだと知ったという経験をしている人も多いだろう。正しい使い方を覚えて、“きれいな日本語を話す人”“デキるビジネスパーソン”を目指そう。

相手に対する配慮と敬う心を表すのが「言葉遣い」

友達や家族間で話すときは、敬語を意識することはあまりない。しかし、初対面の人や目上の人との会話では丁寧な言葉を使うことで相手への心遣いを表すことが大切。それが敬語だ。

もし、ビジネスシーンで初対面の相手と会話が盛り上がり、「~じゃないですか」「超〇〇」「マジ」「~ってゆうか」などの言葉が出たら、決していい気持ちにはならないものだ。むしろ、だらしなく見えて、信頼感がなくなってしまう。言葉遣いは、その人の人間性や教養の高さを知る指標にもなるのだ。

敬語には3つの種類がある。「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」だ。3つの違いを理解して使い分けられるようにしたい。

尊敬語
相手に対して尊敬の気持ちを込める言い方。
●「お・ご・御・貴」などを名詞につける
例 お仕事、お考え、ご意見、ご訪問、御社、貴社
●「れる・られる」
例 お越しになる、お帰りになる、ご覧になる、(目上の方が)休まれる、(同)来られる
●普段使いの言葉の変形
例 言う→おっしゃる、食べる・飲む→召し上がる

謙譲語
自分をへりくだる言い方。自分の動作や状態に対して使う。
●弊社、拝見、拝受、私ども
●普段使いの言葉の変形

例 見る→拝見する、会う→お目にかかる、もらう→いただく
●「お~する」「ご~いただく」
例 お持ちする、ご案内いただく

丁寧語
自分の言葉を丁寧に言うことで、相手への敬意を表す言い方。
●「です」「ます」「ございます」
●名詞に「お」「ご」をつける

例 お言葉に甘えまして、ご説明します、ご確認ください(ご連絡ください)

若者言葉、バイト敬語は厳禁!

時代によって流行語はいろいろとあるが、ビジネスシーンでは、流行しているからといってそのまま使うと、学生気分が抜けない未熟な人と思われてしまう。以下の言葉が口癖になっている場合は直すようにしよう。

若者言葉
●「ら」抜き言葉
×「見れる」→正しくは「見られる」

●語尾上げ言葉
会話の途中で強調したい時に、言葉の語尾を上げる言い方は、自信がない印象や媚びを売っている印象を与えてしまう。

●「超」「やばい」をつける
「超うざい」「やばい感動した」などは若者言葉の典型。友人との日常会話で使っていても、ビジネスシーンでは御法度だ。

バイト敬語
ファストフードやコンビニエンスストア、ファミレスなどでの接客時にお客様に対して使われている言葉は、丁寧に思えながら、間違った使い方が多い。あえてあいまいにしている言葉が多いが、これはお客様を不快にさせないために生まれたようだ。ビジネスで使うと、その場を取り繕う印象にとられてしまう。正しい使い方ではないので控えたい。
●×「よろしかったでしょうか?」→正しくは「よろしいでしょうか?」
●「~のほう」
例 ×「コップのほうはいくつお持ちしましょうか?」→正しくは「コップはいくつお持ちいたしましょうか?」
×「私のほうで担当させていただきます」→正しくは「私が担当いたします」
●「~になります」
×「1000円になります」→正しくは「1000円でございます」
●「~から」
×「1000円からお預かりいたします」→正しくは「1000円をお預かりいたします」

「させていただく」は使い方に要注意

「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲語にあたる。相手の許可を得る時や恩恵を受ける場合(相手に依頼する時)に使う言葉だ。基本的には、上司や目上の人、取引先の相手に対して使うが、使い方を間違えると二重敬語になり、相手に対して失礼な言葉になるので気を付けたい。

●「させていただく」の間違った使い方
・×「ご説明させていただきます」→正しくは「ご説明します」
自分が説明を行う場合に相手の許可を得る必要はないため。
・×「本日は休業とさせていただきます」→正しくは「本日は休業いたします」
店側の都合で休業するので、相手の許可は必要ない。報告の形式をとるのが正しい。
・×「メールを拝見させていただきました」→正しくは「メールを拝見いたしました」
「拝見」は謙譲語。そこに「いただく」をつけると二重敬語になる。
・×「本日中にお送りさせていただきます」→正しくは「本日中にお送りいたします」
「送る」に「お」をつけると尊敬語。そこに「させていただく」を加えると二重敬語になる。
・×「早急に確認させていただき、ご連絡させていただきます」→正しくは「早急に確認し、ご連絡させていただきます」
相手の許可が必要なのは「連絡」のみ。一文に「させていただく」が複数続くのはスマートではない。一文に続く場合は、「いたします」「する」に言い換えるとくどくない。
・×「伺わせていただきます」→正しくは「伺います」、「訪問させていただきます」
「伺う」は「行く」の謙譲語のため、二重敬語になるので注意。

●「させていただく」の正しい使い方
相手の許可が必要な場合、相手に依頼をする(恩恵を受ける)場合に使う。
・「△月△日に訪問させていただきます」
・「日程の変更をさせていただきます」
・「資料を共有させていただきます」

「了解しました」ではなく「承知しました」が正解。ビジネスで使いたい敬語例

×「すみません」→〇「申し訳ありません」「恐れ入ります」
×「了解しました」「わかりました」→〇「かしこまりました」「承知しました」
×「知りません」→〇「存じません」
×「ご苦労様です」→〇「お疲れ様です」
×「お世話様です」→〇「お世話になっております」
×「なるほど」→〇「おっしゃるとおりだと思います」
×「どちら様でしょうか」→〇「お名前を伺ってもよろしいですか」
×「行きます」→〇「伺います」
×「どうしますか」→〇「いかがなさいますか」
×「伝えます」→〇「申し伝えます」
×「社長様」→〇「社長」 ※二重敬語のため
×「教えてください」→〇「教えていただけませんか」「お教えください」「ご教示いただけますか」
×「とんでもございません」→〇「とんでもないことです」
×「大丈夫です」→〇「結構です」 ※相手の申し出や好意を辞退する場合
×「しばらくぶりです」「お久しぶりです」→〇「ご無沙汰しております」

敬語は使い方を誤ると、失礼な言葉になってしまう。自分ではなかなか気付かないことが多いが、機会があれば積極的に話すようにして慣れることが大切。言葉として発する前に、尊敬語と謙譲語を間違えていないか、二重敬語になっていないかを頭の中で確認するように心がけると失敗しにくくなるだろう。きれいな敬語でコミュニケーションを楽しんでいきたい。