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ラクス、新戦略「統合型ベストオブブリード」を発表 複数業務を横断した効率化を実現へ

2026.02.04
奥山晶子
株式会社ラクス 取締役 兼 CAIO 本松 慎一郎氏

2026年1月28日、「楽楽精算」など業務効率化サービスを提供している株式会社ラクスが、25年間の成長を支えてきた既存戦略を進化させた新戦略「統合型ベストオブブリード」を発表した。労働人口減少という課題に直面する日本企業に対し、複数業務を横断した効率化支援を推進していく。本記事では、記者発表会の様子をレポートする。

ラクスの成長と戦略転換の背景

発表会では取締役兼CAIOの本松慎一郎氏が登壇し、まずこれまでのラクスの成長と、戦略転換の背景について語った。ラクスはこれまで、「楽楽精算」「楽楽明細」「楽楽販売」など、特定業務に特化したクラウドサービスを展開し、累計95000社以上に導入されてきた。同社の成長を支えてきたのが、以下の2つの戦略だ。

・ベストオブブリード戦略

経費精算なら「楽楽精算」、請求書発行なら「楽楽明細」など、特定業務に深く特化し、その領域で最も使いやすいサービスを提供する。


・マルチプロダクト戦略

複数の特化型サービスを同時に展開し、既存の利益を新プロダクトへ投資することで成長と利益を両立させる。

これらの戦略により、ラクスは各領域でNo.1シェアを獲得し、年間経常収益500億円という国内SaaSトップクラスの規模に到達した。しかし本松氏は「このままで良いのか。我々も変わらなければなりません」と警鐘を鳴らした。背景には、日本企業が直面する構造的な課題がある。

日本企業が抱えるDXの壁

ラクスが顧客支援を続ける中で見えてきたのは、労働人口の減少と企業DXにおける課題点だ。今後40年で労働人口は35%以上減少すると見込まれている。企業は生産性向上のためにソフトウェア投資を増やしているが、実際の業務効率化にはつながっていないケースが多い。

実際、顧客からは「どこから効率化すべきか分からない」「一つの業務を改善すると、そこでDXが止まってしまう」という声を多数耳にするという。こうした状況を踏まえ、ラクスは、幅広い業務課題をワンストップで支援する新ブランド「楽楽クラウド」を展開。複数業務を横断した効率化を実現するための新戦略を打ち出した。

新戦略「統合型ベストオブブリード」とは

本松氏は、新戦略「統合型ベストオブブリード」について「従来の『個別最適』と『スイート型』のいいとこ取り」と表現した。従来のベストオブブリードは専門性が高い一方、社員マスターを各サービスに個別登録する手間が課題だった。逆にスイート型はマスターが共通化されるものの、機能面では特化型に劣ることがある。

ラクスはこの両者の強みを組み合わせ、専門性と横断的な連携を両立させる方針だ。

そのための取り組みが次の3つだ。

・共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」の提供(2026年3月)
一度の設定で複数の「楽楽」シリーズに情報が反映されるシングルサインオン環境と、社員マスターの一元管理を実現。

・シームレスな製品間連携
複数の「楽楽」シリーズ間の自動連携をあらかじめ実装。

・SaaS × フィンテック
決済領域へ進出し、5月には「楽楽ビジネスカード」を発行。カード明細を「楽楽精算」へ即時連携、「請求書カード払い」や「銀行振込代行」など、支払いまでシステム内で完結できるサービスも提供。

本松氏は「これにより、一業務領域に閉じない、複数業務を横断した効率化を強力に推進してまいります」として、発表を締めくくった。

今後の展開:営業・支援体制も進化

質疑応答では、今後の営業・支援体制についても言及があった。複数領域の改善提案にはコンサルティング能力が求められる。そのため、ラクスは課題特定を支援する専門部隊を稼働させるという。

なお価格帯としては、共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」は50ユーザー月額2000円から。導入しやすい価格帯に設定することで1社当たりの単価を上げ、収益につなげていく考えだ。

労働人口減少という構造的課題に対し、ラクスは業務支援システムの「統合」と「専門性」を両立させる新戦略で、日本企業の真の生産性向上を支援していく。2025年の実績を基盤に、次の成長ステージへ踏み出す同社の挑戦が注目される。