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「仕事のためのパーソナルエージェント」Slackbotが日本上陸 Salesforceが描く、人とAIエージェントが協働する世界の幕開け

2026.02.06
奥山晶子

2026年1月20日、株式会社セールスフォース・ジャパンは、「Slackbot」の国内提供開始を発表し、プレス・アナリスト向け説明会を行った。Slackにネイティブ統合された、仕事のためのパーソナルエージェントとして、情報検索から業務整理、コンテンツ作成、アクション実行までを一気通貫で支援する。バックオフィス業務の複雑化が進む中、Slackbotはどのように働き方を変えるのか。説明会の内容を紹介する。

「エージェンティック・エンタープライズ」という前提

「エージェンティック・エンタープライズ」という前提
セールスフォース・ジャパン専務執行役員 製品統括本部長 三戸篤氏

説明会の冒頭、セールスフォース・ジャパン専務執行役員の三戸篤氏は、今年のキーワードとして「Agentic Enterprise(エージェンティック・エンタープライズ)」を掲げた。これは、AIが人を置き換えるという発想ではなく、人とAIエージェントが協働し、人が持っている今以上の能力を発揮していくという世界観だ。

「つまり、たとえばAIと人が一緒になって24時間365日、高度なインテリジェンスを使って、お客様に対してより良い顧客体験をしていくということ。あるいは、従業員一人ひとりにこのAIエージェントというパートナーがついて、今以上に迅速で、あるいは賢明な意思決定をしていく。

つまり、このことはテクノロジーの進化というよりは、ビジネスのあり方自身を変えていく、それがこのAgentic Enterpriseという考え方、世界観になるかなと思っております」(三戸氏)

エージェンティック・エンタープライズの実現に向け、セールスフォースは「Agentforce 360」というプラットフォームを提示する。

・Customer 360:Sales、Service、Marketingなどのアプリケーション群

・Data 360:構造化・非構造化データを統合し、AIが使える形に整えるデータ基盤

・AIエージェント:エージェントを提供するレイヤー

この三層をつなぎ、「人」「エージェント」「アプリケーション」「データ」の全てを1つのプラットフォーム上で統合する。これにより、従業員も顧客もAIとデータを活用した業務の遂行が可能になるという。

そして三戸氏は、「このプラットフォームの入り口となるのが、まさにSlackです」と強調した。

現在のAIが抱える課題とSlackbotの特徴

現在のAIが抱える課題とSlackbotの特徴
セールスフォース・ジャパン製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 鈴木晶太氏

続けて、製品統括本部の鈴木晶太氏が登壇。まずは現在のAI活用の課題として、「業務フローから切り離されていること」、そして「会社や人の文脈を理解していないこと」の2つを挙げた。

「たとえば、ラップトップを開いていれば、メールやチャットツール、その他業務を行っているツールの横にAIが立ち上がっていることが主ではないでしょうか。もしくはブラウザが沢山立ち上がっているなんてこともあるはずです。また、そのAIが皆様自身であったり、ユーザーであったり、会社のことを理解できていないという課題もあります。この2つの課題を解決するのが、今回ご紹介する『Slackbot』、仕事のためのパーソナルエージェントです」(鈴木氏)

Slackbotの特徴は、以下の6つだ。

1.会話の文脈理解
CRMにデータを入れる手前の人と人とのやり取り、例えばお客様の訪問に行った後にどんな会話を支援メンバー間でしているのかなどといった情報もしっかり理解する。

2.ユーザーごとのパーソナライズ
ユーザーのトーン、使う絵文字、普段の業務内容まで学習し、パーソナライズする。

3.アクション実行
質問や壁打ち、検索にとどまらず、そこで得られたアウトプットを会議準備やスケジュール調整、リマインド設定など業務を前に進めるところまで担う。

4.Slack内で完結するUI
DMで同僚と話すように自然に使え、途中でSlackを離れる必要がない。

5.社内外データの横断検索
Salesforce、Google Drive、Box、GitHubなど複数アプリを横断して検索。アクセス権限に基づき、安全に情報を取得する。

6.導入のしやすさ
Slackbotが有効化されれば、すぐに利用開始できる。

戦略のパートナーとして活躍するSlackbotのデモンストレーション

続けて鈴木氏により、Slackbotの実際の動きを示すデモが行われた。Slackbotを日本に展開していく上で、チームとのコラボレーション、データを活用してマーケティング戦略を立て、営業部隊と戦略を共有し、即座にお客様に提供できる準備をしていく一連の流れを示すデモンストレーションだ。

Slackbotに「このチャンネルで議論されている内容をまとめて」と依頼すると、大量のスレッドを読み込み、主要論点と次のステップを整理して提示。次に「この四半期に提案すべき顧客を業界別にまとめて」と依頼すると、Salesforceの取引先データとSlackの会話を組み合わせ、理由付きでターゲットリストを生成した。

Slackbotのデモ画像

また抽出した情報をもとに、営業チーム向けのCanvasが自動生成され、最優先ターゲットとセグメントごとのアカウント、そして取引先オブジェクトまで表示された。内容に問題がなければ、すぐにメンバーと共有し、アクションに移せる。

鈴木氏はさらに「Slackbotには他にもできることがたくさんあります。誰とどこで会話したか忘れてしまった場合に探してくれたり、重要事項を見逃さずリマインドしてくれたり。日々仕事をしている場所でのやり取りをSlackbotが理解し、サポートしてくれる。仕事のためのパーソナルエージェントになっていくということです」と語り、発表を締めくくった。

メルカリの導入事例

説明会には、パイロット導入企業としてメルカリの小泉剛氏が登壇し、Slackbotについて語った。メルカリでは資料作成や企画立案などでSlackbotを使用している。

何事にも『やるぞ』という最初の手がかりが必要だと思うのですが、その際にSlackbotに何でもいいから話しかけて始めることによって、社内の要約を拾ってきたり、自分のコンテキストをSlackbotが覚えているので、助走を早めることで仕事そのもののスピードを高めていく、そういった形で使っています。相談や問い合わせ、質問、資料収集が明確に時間短縮されました」(小泉氏)

株式会社メルカリ AI Agent Platform & Solutions Director 小泉剛氏

またSlackbotを「新しい世界の同僚」という言葉で例え、「私もAIエージェントもSlackの中に住み、その中で一緒に仕事を進めていっているという感じがします。従業員もスムーズに使えています。今後は、Slackbotが自ら課題を発見してきて解決策を提案していくような姿を期待しています」と語った。

Slackbotは本格的なAI活用の最初の一歩となるか

Slackbotは2026年1月20日より、ビジネスプラスおよびEnterprise+のプランで段階的に提供が開始された。AI活用が情報収集にとどまらず、日常業務へ自然に組み込まれる環境が整いつつある。また、それにとどまらず、意思決定の質を高めるビジネスパートナーとなる日も近い。Slackbotは、さまざまな企業の本格的なAI活用の一歩となる可能性を秘めていると言えるだろう。