プロが教える新社会人のための印象力アップ講座 第5回: 新社会人の「話し方」と「声」の悩みをズバリ解決!
本連載では、 “ディレクションもできるアナウンサー”として活躍しているフリーアナウンサーの井上智惠(いのうえ さとえ)氏が、新社会人が知っておくべきマナーの基本を5回にわたって指南します。5回目のテーマは「新社会人の『話し方』と『声』の悩み」。「朝の会議で声が出ない」「滑舌に自信がない」「つい口ごもってしまう」などの新社会人に多い悩みは、実はちょっとしたコツで大きく改善できます。プロが教える“信頼される声のつくり方”を紹介します。
話し方の「くせ」を直せば、印象はがらりと変わる
ーー職場で「学生気分が抜けていない話し方」と言われそうで不安です。
まず気になるのが、語尾が伸びる話し方です。「〜でぇ」「〜ですのでぇ」のように語尾が締まらないと、甘えているような子どもっぽい印象を与え、頼りなく見えてしまいます。逆に言えば、語尾をピシッと言い切るだけで、信頼感は大きく変わります。
もう一つは若者言葉です。「エモい」「わかりみがある」「〇〇界隈」といった表現は、職場ではできるだけ避けましょう。実は緊張しているのは新人だけでなく、上司側も新社会人との会話に不安を感じています。そこに若者言葉が多いと、相手をさらに戸惑わせてしまうことも。同年代と話すときでも、どの年代にも伝わる表現を意識する習慣をつけておくといいでしょう。
「フィラー」は、黙る勇気で減らせる
ーー緊張すると、「えー」「あのー」が増えてしまいます。
アナウンサーの世界では、「えー」「あのー」といった言葉を「フィラー」と呼びます。フィラーは話す内容とは関係のない雑情報ですので、連発すると聞き手にはその雑情報ばかりが残ってしまいます。大切なのは伝えたい内容ですので、それが伝わりにくくなる雑情報はできるだけ減らすのがマナーです。またフィラーが多いことにより、「決断力がない」「その場であわてて考えている」といった印象にもつながりかねません。
そこでおすすめしているのが、「黙る勇気を持つ」ということ。言葉につまった時にとりあえず「えー」「あのー」でつなぐより、少し間を置いたほうがむしろ聞きやすい場合が多いのです。最初から完璧に消すのは難しいので、まずは多発させないことを意識してみてください。もうひとつ、フィラーを減らすためのトレーニングとしておすすめなのが、数分間、何も見ないで話をしてみてその内容を録音することです。1分ほど話した声を聞き、「えー」「あのー」や語尾の伸びを数えてみると、思っている以上に多いことに気づく人が多いはずですよ。
ーー緊張すると、自信のなさが話し方に出てしまいます。
私の場合、特に緊張するようなシーンでは伝え終わった後の場面を先にイメージし、「ちゃんと伝わった」「相手がいいねと言ってくれた」という状態を思い浮かべてから話し始めます。これは小さなイメージトレーニングですが、気持ちの準備ができるので自然と落ち着きます。「伝わるだろうか」と不安になるのではなく、「もう伝わっている」前提のイメージで話すだけで、声の出方が変わりますよ。
声は「鍛える」より「整える」感覚で
ーーお腹から力強く声を出すトレーニングをしたいのですが、時間がありません。
デスクでも目立たずできて、仕事で忙しい時でも取り入れやすいのが、「ドローイン」という呼吸法です。背筋を伸ばして座り、お腹をギリギリまで、「もう無理」というところまでへこませたまま呼吸するだけ。少しきつく感じるかもしれませんが、体幹が安定するため、声が震えにくく、通る声が出やすくなる効果があります。コツもいらず、誰にでもできる方法なのでおすすめです。
ーー滑舌が悪いのが悩みです。簡単なトレーニング法はありますか。
簡単で効果的なのが舌のストレッチ。口を閉じたまま舌を歯の内側に沿ってぐるっと回すと、舌の柔軟性が上がり滑舌が改善します。また特にサ行が苦手な人には、まず「ススス…」と息だけを出す練習をおすすめします。その息の流れに「あいうえお」を乗せると「サシスセソ」が出しやすくなります。ポイントは息を意識することです。またナ行が苦手な人は、最初に小さく「ン」を入れるイメージで「ンナ・ンニ・ンヌ…」と発音すると舌の位置が安定します。
シーン別・今日からできる声のケア
ーーマスク越しでも声を明るくするコツはありますか?
マスクの下であっても、前歯が6本見えるくらいの笑顔を意識して話してみましょう。口角が上がると頬の筋肉も引き上がり、声が共鳴してトーンが明るくなります。この表情はマスクをしていても目元に伝わるので、「感じよく話している人」という印象につながります。
ーー早朝の会議だと、声が出にくいのが悩みです。
朝は声帯が温まっていないため声が出にくくなります。そんなときは、鼻の付け根に響かせるように「んー」とハミングしてみてください。顔の中心に振動が伝わる感覚を意識すると、声が響きやすくなり寝起きの声が仕事モードに切り替わります。
ーー毎日これだけはやったほうがいいトレーニングはありますか?
ひとつだけ挙げるなら、前述した「舌のストレッチ」です。口を閉じたまま、舌で歯の表側を大きくなぞるように回すだけ。右回り・左回りの両方を行います。これだけでも舌の動きが柔らかくなり、言葉がはっきり出やすくなるので滑舌改善にとても効果的です。まさに文字通り、「舌がよく回る」状態になります。毎日続けると、話し方の印象が大きく変わります。
プロフィール
井上 智惠(いのうえ さとえ)
大学卒業後、NHK徳島にてニュース番組、情報番組のキャスター他、ラジオニュース、中継など幅広く担当。2012年からはNHK水戸に移り、観覧者を巻き込んだ公開生放送番組のメインキャスターを5年間務める。その他「おはよう日本」ローカルパートのキャスターや渋谷の放送センターにて首都圏枠の「ひるまえほっと」にリポーター兼ディレクターとして出演。NHKに在籍した10年間でディレクター業務を含め複数の賞を受賞。現在はディレクションのできるアナウンサーとして活動を行う一方、株式会社トークナビの女子アナ広報室に所属し、企業のメディアプロモーションを行っている。









