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2023年の「早期・希望退職者募集」は41社 人手不足のなか3年ぶり増加【TSRデータインサイト】

2024.01.17

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、早期・希望退職者募集の実態を調査。希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した結果、2023年の「早期・希望退職者募集」は41社で3年ぶりに増加したことを明らかにした。

2023年上場企業「早期・希望退職者」実施状況

TSRの調査によれば、2023年に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は41社(前年38社)で、前年を3社上回った。社数が前年を上回ったのは3年ぶり。全体の対象人数は3161人(前年比45.3%減)と半減している。

募集開始の直近決算で、黒字企業は21社(構成比51.2%)と半数を超えた。物価高や円安に備えた構造改革に加え、コロナ禍で変化した市場ニーズに対応した実施が目立った。

業種別では、情報通信が11社(前年比266.6%増、構成比26.8%)で、前年の3社から急増。2000年に統計を開始以来、初めて最多となった。コロナ禍で大きな打撃を受けた観光や運送(交通インフラ含む)の募集はなく、外食も1社にとどまった。社数では、情報通信やアパレル関連、医薬品、電気機器が目立つが、コロナ禍の影響を引きずるアパレル関連以外はアフター・コロナのフェーズに突入しているようだ。

2023年の「早期・希望退職者」の募集は、対象人数が判明した29社で、3161人(前年5780人、判明31社)で前年から45.3%減と半減した。この変化についてTSRは、前年1社あった1000人以上の大型募集がなく、小規模の募集が多かったためと分析している。

TSRは深刻な人手不足が加速するなかでの人員削減策について「コロナ禍以降の市場や需要の変化に加え、コストプッシュのインフレ加速など、新たな時代に対応するため人員調整による事業の構造改革への活発な動きも透けて見える」としている。

※ 本調査は、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出
※実施が翌年以降の企業は除く
※原則『会社情報に関する適時開示資料』(2023年12月31日公表分まで)に基づく

まとめ

深刻な人材不足が社会課題となっている中で、3年ぶりに早期・希望退職者の募集企業数が増加した。即戦力となり得る優秀な人材を確保するチャンスとも言えるだろう。受け入れ体制の構築やキャリアアップ支援制度を見直し、新たな人材確保につなげていただきたい。