賃上げ予定の中小企業は37.2%【中小企業の賃上げとリスキリングに関する調査】
エヌエヌ生命保険株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:マリウス・ポペスク)は、全国の中小企業経営者7232名を対象に賃上げとリスキリングに関する調査を実施した。調査結果の概要について紹介する。
※本調査では、従業員1名以上300名未満の規模の「会社経営者(社長、会長、取締役)」または「従業員のいる自営業者」を中小企業経営者と定義
約6割が「2023年度に賃上げをしていない」2024年度の実施予定は37.2%
本調査ではまず、2023年度に賃上げをしたか聞いている。その結果「賃上げをしていない」が59.2%と約6割を占めた。一方で9.5%は5%以上賃上げをしたという結果が出ている。
2024年度中の賃上げについては「予定している」が37.2%で、予定賃上げ率の最多は「2%以上3%未満(23.9%)」となった。なお日本労働組合総連合会が2024年春闘の目標(※)としている「5%以上」と回答した企業は20.2%であった。
※出典元:【重点分野-2】2024春季生活闘争方針 (日本労働組合総連合会)
賃上げをする理由としない理由
本調査結果によると、賃上げをする理由については「従業員のモチベーション向上のため(60.2%)」「従業員の生活を守るため(50.9%)」「物価上昇へ対応するため(46.0%)」が上位に。
賃上げをしない理由では「業績が改善する見通しがつかないため(42.8%)」「価格転嫁が難しいため(35.5%)」「人件費以外のコストが増加しているため(29.7%)」が上位となっている。
業種別での「価格転嫁が難しいため」の回答率は「製造業(食料・飲料・日用品・衣服)(54.2%)」が最も高いことも明らかになった。
リスキリングへの取り組み
続いて本調査では、中小企業のリスキリングへの取り組みについて調査。その結果、リスキリングを「推進している」は14.2%にとどまり、36.9%が「推進する予定はない」と回答したことがわかった。また、27.8%は「リスキリングを知らない」と回答しているという。
リスキリングに取り組むメリットについては「業務の効率化・生産性の向上(50.6%)」「従業員のモチベーションの向上(48.0%)」「デジタル化への対応(37.9%)」が上位に並んでいる。
また、リスキリングを推進するための取り組み内容としては「資格取得支援(48.0%)」「社外研修やワークショップへの参加を促進(30.7%)」「時間休取得・時短勤務の推奨(30.5%)」が多く挙げられた。
なお、リスキリングを知らないと回答した人を除く5224名の経営者を対象に調査した、自身のリスキリング状況について「取り組んでいる」と回答したのは38.4%であった。
調査概要
調査対象:日本全国の中小企業経営者
※従業員1名以上300名未満の規模の会社経営者(社長、会長、取締役)または従業員のいる自営業者
サンプル:全国7232名
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社マクロミル
実施時期:2024年2月16日~2月19日
※回答結果はパーセント表示を行っており、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、各回答の合計が100%にならない場合がある
※上位5業種の算出には小数点第3位以下を含めた数値を反映
出典元:中小企業向け事業保険のエヌエヌ生命 中小企業の賃上げとリスキリングに関する調査 〜 37.2%が賃上げ予定と回答し、賃上げ率「5%以上」は20.2% 〜(エヌエヌ生命保険株式会社)
まとめ
本調査では中小企業の賃上げの実態が明らかとなった。春闘の目標に掲げられている5%以上の賃上げを予定する企業は約2割にとどまっており、厳しい現状が見受けられる。また、政府は構造的賃金引上げにはリスキリングが重要との考えを示しているが、本調査結果では中小企業でのリスキリング推進に向けた動きは鈍い様子がうかがえる。
株式会社グロースXが大企業向けに実施した調査では、リスキリング予算の確保について約7割が前向きな姿勢を示しているとの結果が出ており、企業規模による捉え方の差がありそうだ。
公益財団法人東京都中小企業振興公社はデジタル化推進ポータルサイトにて、中小企業のリスキリングには経営者の意識が重要であるとの見解を示している。しかし本調査においては、約3割の経営者がリスキリング自体を認知していないことが報告されており、中小企業でのリスキリング推進には時間を要すると考えられるだろう。
出典元:新しい資本主義実現会議(内閣官房内閣広報室)
出典元:【無料ダウンロード】大規模調査:リスキリング、2024年度の予算動向は?(株式会社グロースX)
出典元:中小企業におけるリスキリングの“成功の鍵”を握るのは経営者!(公益財団法人東京都中小企業振興公社)