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フリーランス新法が11月から施行 公正取引委員会がパンフレットを公開

2024.07.26

公正取引委員会は2024年7月24日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」に関するパンフレットを公開した。同法は、発注事業者(企業)との取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備を目的に創設され、2024年11月より施行される。

11月から施行!通称「フリーランス新法」

公正取引委員会がパンフレットを公開した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」は、2023年4月28日に可決成立し、同年5月12日に公布された。

同法は通称「フリーランス新法」と呼ばれ、発注事業者(企業)との取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備を目的に、発注事業者へ一定の義務を課すものだ。公正取引委員会は取引の適正化に係る規定について、中小企業庁と共に執行を担う。

取引の適正化においては、フリーランスに業務を委託する発注事業者に対して義務と禁止行為が適用される。

ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法(内閣府/公正取引委員会/中小企業庁/厚生労働省)

法律上の定義 対象となる事業者と取引

公開されたパンフレットでは、同法の対象となる事業者や取引の内容が詳細に解説されている。

対象となる事業者
同法では「発注事業者」について「特定業務委託事業者」と「業務委託事業者」に二分される。「特定業務委託事業者」はフリーランスに業務委託をする事業者のうち「個人であって、従業員を使用するもの」「法人であって、役員がいる、または従業員を使用するもの」のいずれかに該当するものとされている。「業務委託事業者」は「フリーランスに業務委託をする事業者」を指し、ここにはフリーランスも含まれる。

委託を受けるフリーランスについては「個人であって、従業員を使用しないもの」「法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの」のいずれかに該当するものが「特定受託事業者」と定義されている。ただし、ハラスメント対策に係る体制整備義務を課す第14条では「特定受託業務従事者(特定受託事業者である個人または法人の代表者)」と定義される。

対象となる取引
同法で対象となる取引は「事業者からフリーランスへの委託」であって、取引の相手方が
事業者であっても消費者であっても「売買」は対象とならない。また、形式的には業務委託契約をしているものであっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用されるため、同法は適用とならない。

また、業務の内容について、同法では業種・業界は限定されず、発注事業者からフリーランスへ委託する全ての業務が対象となるため注意が必要だ。そのため、下請法では対象外となる「建設工事」や、発注事業者が自ら用いる役務を他の事業者に委託する「役務提供委託」についても「業務受託事業者」に委託する場合は対象となる。

適用される義務と禁止行為

同法にて取引の適正化のために課される義務は「取引条件の明示義務」と「期日における報酬支払義務」だ。また、就業環境の整備のために課される義務としては「募集情報の的確表示義務」「ハラスメント対策に係る体制整備義務」などがあり、発注事業者が「業務委託事業者」か「特定業務委託事業者」かで、適用範囲が変わる。

また、禁止行為については、特定業務委託事業者が一定期間(※)以上の期間行う業務を委託する場合に下記が適用される。

■受領拒否の禁止
■報酬の減額の禁止
■返品の禁止
■買いたたきの禁止
■購入・利用強制の禁止
■不当な経済上の利益の提供要請の禁止
■不当な給付内容の変更・やり直しの禁止

※取引の適正化について「一定期間」は1カ月と定義(就業環境の整備については6カ月)

まとめ

同法に違反すると、指導や助言、中小企業庁の措置請求などを受けることになり、場合によっては罰金・過料が発生する可能性もある。思いがけないところで違反することがないよう、施行開始となる11月までに対応を進めておくべきだろう。

公開されたパンフレットでは同法の定義や、適用される義務と禁止行為について、重要なポイントや事例がわかりやすくまとめられている。まずはパンフレットで内容を理解してみてはいかがだろうか。