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治療しながら働く従業員をサポートするために必要な取り組みは?リクルートMS調査

2024.08.27

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑淳)は、疾病を抱え継続的に治療を行いながら仕事を継続している会社員376名を対象に、「治療と仕事の両立に関する調査」を実施。仕事を続ける上での課題や、治療と仕事を両立する上で役立っている制度や取り組みなどを明らかにした。ここでは調査結果の概要についてお伝えする。

調査概要

◆調査時期:2024年6月
◆調査方法:オンライン調査
◆調査対象:「反復・継続して治療が必要で、短期(数カ月程度)で治癒しない疾病」を抱えながら仕事を継続している20~50代の会社勤務(正社員、契約社員)社員376名。調査対象の詳細は下記出典元を参照
◆出典:治療しながら働く人が抱える課題と職場に求められる関わりとは(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

治療期間がもたらす変化

治療期間がもたらす変化

本調査ではまず、回答者の置かれている状況として、治療期間と、病気や治療に伴う働き方の変更について質問。治療期間は年齢群との間には有意な関係は見られなかったとした一方で、疾病の種類との間には関係が見られており、特に精神疾患では3年以上の治療期間が経過している人が66.2%となったことが報告された。

同社のレポートによれば、【両立にあたって重視すること】について、治療期間で違いが見られるという。全体では「生活のために必要な収入を維持すること(60.1%)」「心身共に無理せず仕事を続けられること(59.8%)」が約6割に及ぶ。しかし治療期間が1年未満群はどちらも約4割にとどまり、最も多いのは「仕事の関係者の理解や協力が得られること(43.8%)」で「病状に応じて、柔軟に仕事内容や働き方を調整できること」も約4割が選択した。

仕事を続ける上での課題

仕事を続ける上での課題

続いて、「就業継続上の課題」に関して、優先度が高いものを質問(5つまで選択)。治療期間1年未満群、1年以上3年未満群のトップには「仕事へのモチベーションが低下している」が挙げられた一方で、3年以上群のトップは「治療費や収入の減少など金銭面の心配がある」となった。

1年未満群では、次いで「これまで通りに仕事の成果を上げられない」「会社や職場に迷惑をかけるのが心苦しい」が上位に並んでいる。1年以上3年未満群は、全体に他群より課題の選択率が高く「治療や通院のための時間がとりにくい」「体力的にきつい」といった声も多く挙げられている。

3年以上群では上記の通り「~金銭面の心配がある」が最多で、同社では「先述の『重視すること』で『生活のために必要な収入を維持すること』が高かったことは、この課題との裏表であるといえよう」と分析している。

役立つ制度や取り組み 企業に求められているのは?

役立つ制度や取り組み 企業に求められているのは?

また、「治療と仕事を両立する上で役立っている制度や取り組み」についても質問。「制度や取り組みの有無と役立ち度」どちらも高いのは「長期の病気休業制度」「通院・治療のための柔軟な休暇制度」「テレワーク制度」「フレックスタイム制度」だった。

「支援者との交流機会」「みなし労働時間制度」「就業中の治療時間や場所の確保」「主治医との連携」「相談窓口の設置」については、導入する企業は2割前後とそう多くないが「役立っている」と回答する人が5割を超えているという。今後企業が積極的に導入していくべき施策と考えていいだろう。

なお、1年未満群では「健康重視の基本方針」についても他群より際立って多いことも報告されている。1年以上3年未満群では「主治医との連携」「テレワーク制度」が上位となり、特に「主治医との連携」は他群よりも際立って多いようだ。

3年以上群については、「フレックスタイム制度」「テレワーク制度」が7割を超えた一方で、他群より有意に選択が多いものはなかったという。同社は治療期間が長い従業員が必要とする施策について、検討の余地があるとの見解を示している。

まとめ

本調査結果から、治療を開始してからの期間によって、仕事との両立において重視することや課題となることに変化があることが明らかになった。企業には、それぞれのフェーズに合わせてサポートしていけるような体制・制度が求められる。

また、制度を設けただけでは形式化してしまう可能性も考えられる。対象者にとって使いやすい制度・環境になっているか、定期的な見直しも必要だろう。