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内部通報の年間件数は従業員100人あたり約0.5件、不満のはけ口になっている現状も エス・ピー・ネットワーク調査

2024.10.04

企業の危機管理を総合的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワーク(本社:東京都、代表取締役社長:熊谷信孝)は、365社の内部通報窓口担当者を対象に内部通報制度の運営状況を調査した。調査テーマとなったのは、組織の不正等を早期発見する手段として重要度を増している内部通報制度。本調査では実際の運用状況や制度上の課題などを明らかにしている。

調査概要

調査期間:2024年7月19~8月18日
調査方法:Webアンケート調査
調査対象:
・同社クライアント及びメルマガ登録企業・国内売上上位1000社
・ハイテクノロジーコミュニケーションズ株式会社 顧客
・Web調査アンケートサービス(調査協力会社:株式会社マクロミル)
サンプル総数:365社
出典元:内部通報制度の運営状況アンケート調査(2024年)(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

年間通報件数は従業員100人あたり約0.5件 パワハラの認定率は?

年間通報件数は従業員100人あたり約0.5件 パワハラの認定率は?

本調査では、従業員100人あたりの通報件数を算出(総通報件数/総従業員数)。その結果、0.54件/年であったことが報告された。

また、本調査では「不利益行為が確認されたことがある」という回答が13.1%におよんだという。通報者への不利益行為は法令違反であるため、本来であれば0%となるべき項目だ。通報者保護の取り組みを促進する必要が示唆された。

さらに「パワハラではないか?として通報が入るのは全体の何%か」という設問に51%以上の回答を選択した企業は32.6%であることが判明。その中で「パワハラではないか?という通報のうち、調査の結果パワハラと認定されるのは何%か」との設問に10%以下であるとの回答を選択した企業が52.1%にのぼっている。

不満のはけ口として利用されることも 運用体制の課題は?

不満のはけ口として利用されることも 運用体制の課題は?

続いて本調査結果では、内部通報の課題として、内部通報窓口が不満のはけ口として利用されたり、部門で解決すべき問題までもが窓口に寄せられたりしているという回答があったことが報告されている。本来の内部通報制度の目的とは異なる、不平や不満の通報や、本来であれば職制上のラインで解決すべき内容の通報が寄せられている可能性が考えられる。

また、37.6%の企業が「会社の対応結果に納得がいかない通報者の対応に苦慮したことがある」と回答したことも明らかに。調査内容をSNSに掲載された、社外メディアに通報されたといった事例もあるようだ。

同社によれば、自由記述で回答を求めた企業担当者の悩みに関する項目では、担当者の不足や対応の属人化、ノウハウの蓄積に課題を感じる声が寄せられたこともわかっている。

約半数の企業で内部通報のマニュアルがなく体制の評価・点検も未実施

約半数の企業で内部通報のマニュアルがなく体制の評価・点検も未実施

さらに、本調査において「内部通報に関するマニュアルがない」と回答した企業は49.7%と半数近くに及んでおり、運用体制の整備に課題がある様子もうかがえる。内部通報対応の属人化は、調査クオリティーや処分方針に影響をもたらす可能性が高く、早急な対応が必要ではないだろうか。

また、公益通報者保護法では「内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う」ことが義務付けられているが、これに関しても48.9%の企業において内部通報体制を定期的に評価・点検していないことが判明した。

まとめ

本調査結果からは、内部通報制度の運用に多くの企業が課題を抱えている実態が明らかになった。不祥事を早期に発見し、適切な対応をとっていくためには、内部通報制度が正しく運用されていく必要がある。

消費者庁では公益通報者保護法についてわかりやすく解説しており、内部通報制度を導入する際の支援キットも公開されている。これから導入する企業はもちろん、既存の制度を見直す際にもぜひ参考にしていただきたい。

参考:はじめての公益通報者保護法(消費者庁)