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インボイス制度対応のお悩み解決とDX推進事例~インボイス制度の処方箋Vol.5

これまで4回にわたって、多くの事業者が不安を抱いている「インボイス制度」の法対応について解説してきました。最終回となる今回は、【請求書の受領】【請求書の保管】【請求書の発行】の3つのポイントで実際に課題を解決し、DXにつなげた事例を紹介します。

請求書受領に関するお悩みの解決事例

1つ目は、請求書の受領に関する悩みです。通常、請求書を受領した後、その内容をもとに会計システムへ人がデータを手入力し、その後に支払処理や請求書の保管といったもろもろの作業が発生します。受領する請求書の量や種類が多いとこれだけでも大変な作業ですが、インボイス制度対応後は適格請求書であるかどうかを含め、さまざまなチェックが加わって、さらに手間と時間がかかる作業となります。

必要項目を全てAI-OCRなどで自動抽出することで、こうしたデータ手入力の手間を軽減することができます。

AI-OCRとは、画像データのテキスト部分を認識して文字データに変換する光学文字認識機能であるOCRに、AIを適用することで文字の認識精度を向上させたものです。この機能を搭載したシステムを活用することで、紙やPDFで受け取った請求書から、適格事業者番号、取引先名、取引金額など必要項目を自動抽出し、データ化することができます。データを手入力する手間を軽減することで、担当者は最終確認や修正に注力して業務を行うことができるようになります。

ここで「請求書から本当に項目を自動抽出できるのか」と思われる方もいるかもしれません。というのも、請求書というものは、会社によってフォーマットがバラバラで、取引先名や取引金額などの情報が書かれている場所が違うため、座標や領域の指定による機械的な項目抽出は困難です。また、請求書中の文字の品質もさまざまです。紙をスキャンした請求書やFAXの場合、手書き文字や、文字のかすれなどもあるため、人が目視で確認せざるをえない状況になっていました。

最近のAI-OCRの中には、取引先ごとの請求書のフォーマットを学習できるものや、手書き文字も含めて高い精度で抽出できるツールも増えてきております。そういったものを使うことにより、さまざまなフォーマットの請求書からでも必要な項目を高い精度で抽出することができるのです。

請求書保管に関するお悩みの解決事例

2つ目は、保管に関する悩みです。前回までにご説明したように、インボイスを含んだ取引関連の書類の保管には、電帳法への対応が必要となります。たとえば、見積システム・受注システム・経費精算システムのそれぞれで取引文書を保管している場合、すべてのシステムで電帳法対応をしなければなりません。また、取引の一連の見積書・発注書・請求書を確認したい場合に個々のシステムにアクセスしなければならないため、手間がかかるといった課題があります。

このような場合、各システムと繋いだ保管庫に一元管理をすれば楽になりますし、さまざまなシステムで作られたものであっても、必要に応じて簡単に文書検索ができます。

すべての文書をひとつの保管庫に格納することに対して、セキュリティの面から不安を感じる方もいるかもしれません。所属する部署によって閲覧できる範囲がコントロールできるシステムをきちんと作っておくことも重要です。

「電帳法の要件を満たすためにはどのようなソフトを導入すればいいのか」とのお悩みもあるかと思います。これに対しては、電帳法の法的要件を満たしているとしてJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)という団体が認定した製品に対して、認証ロゴが表示できる「JIIMA認証制度」というものがあります。そういったソフトやシステムを使うことで安心して要件を満たして運用を実施することができます。 

請求書発行に関するお悩みの解決事例

最後に、発行に関する悩みです。取引をする上では、相手の希望によってさまざまな形態の請求書を準備する必要があります。紙に印刷して郵送して欲しいと希望される場合もありますし、どうしても出社をして押印しなければならないところもあります。メールでの送付希望の場合も、パスワード付きZIPでのやり取りへの対策や、送り先担当者の宛先管理、個々のメールボックスが発行の証拠となってしまい管理や統制が煩雑になる、といった課題があります。

こうした場合もシステム化することによって、取引先が望む形での請求書の発行が可能になります。例えばクラウドサービスの配信サービスを使うことで、先方の要望に応じて、紙での郵送や、メールでの電子配信など、相手の望む方法で発行できます。

また発行後は、電帳法に対応している保管庫と連携して自動保存させることもできます。請求書も含めて取引の中で発生する文書をまとめて保管庫に格納することで、取引の流れや進捗の把握ができます。ファイルサーバーに文書を保管するだけでは実現が難しい、情報の検索やセキュリティの確保も可能なため、内部統制とコンプライアンスの面でも非常に有効な手段となります。

インボイス制度対応をきっかけにDX推進を

請求書の受領、保管、発行の3つのポイントで事例をご紹介しました。インボイス制度や電帳法への対応を含めてDXを推進したいが、どこから手をつけていいかわからないということであれば、自分たちだけで考えるのではなく、そういったところを支援してくれるベンダーに相談してみるということも一つの解決策です。

また、インボイスや電帳法に対応しようとすると、非常に業務負荷が増えるという不安の声をよく聞きます。それについては「システムや業務を繋ぐ」ことで解決する場合がありますし、システム間を繋ぐことで業務効率改善や将来的なDX推進までを検討できます。法対応を単に「面倒だな」ということで済ませるのではなく、せっかくの機会ですので前向きに、業務効率改善やDXの推進まで検討できるベンダーへのご相談をおすすめします。

もちろん私ども日立ソリューションズもご相談に乗りますので、インボイス対応をきっかけに是非、一緒にDXの推進を検討していきましょう。