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人事評価制度の徹底解説!人事評価を実行する際のポイントまで紹介

2020.08.24

会社が成長して社員数が増えていくと、人事評価制度の重要性が高くなってくるのが一般的だ。整備をしようとした段階になって何から手を付けたら良いものかわからずに困ってしまうことも多い。そこで本記事では人事評価制度の構築のために必要な基本を紹介する。また、制度を構築する際に重要なポイントも説明するので参考にして制度を設計しよう。

1.人事評価とは

人事評価制度を考える上でまず欠かせないのが、そもそも人事評価とは何かを理解することだ。人事評価とは企業が掲げている目標を達成すること、社員のパフォーマンスを確保すること、労働生産性を高めることといった観点から評価をすることである。人事評価は人事に関わる諸制度の根幹となっているもので、その内容によって等級や報酬が決まる仕組みになっている。そのため、明確な評価基準を用いて定期的に実施するのが基本で、評価基準を明示することによって社員が何を意識して働くべきかを示すことも多い。社員の将来性や得意、不得意といった点を確認する目的で行われていることも多く、人事施策を検討する際にも重要なデータとして活用されている。

2.人事評価の目的

人事評価制度を整えて人事評価を行う目的は何なのかも理解しておこう。人事評価の目的は最終的には企業を成長させて業績を上げていくことで、人事評価制度を整える際にはその仕組みを作り上げることが目指されることになる。その際に社員の行動に着目するのが人事評価の特徴で、制度に取り入れられた評価内容は会社の目指す方向性が明示されるのが一般的だ。社員はその方向性に従って行動することが求められ、正しく行動して成果が上がると処遇が改善されていく仕組みになっている。

また、企業が業績を伸ばすには適材適所の人材配置を行い、役割や責任に応じた処遇を決めることが重要だ。人事評価制度は能力や業績を客観的に判断する基準になり、職務に応じた目標への貢献度の評価にも用いることができる。それに応じて待遇を定められるようにするのが制度を整える目的だ。このような基準があることで上司が部下の能力を把握する際に指標とすることができ、適性や得手不得手などに基づいた仕事の割り振りや教育方針の策定などに活用できる。このような対応によって納得して働ける環境を提供すると、社員も個人として目標に向かって努力するようになり、自主的に成長していく。このような仕組みを作り上げることが人事評価の役割なのである。

3.人事評価の種類

人事評価制度を具体的に決めるためには人事評価にも種類があることを知っておく必要がある。社員の評価をするための基準として代表的な三つの視点があるので、どのような観点で評価すると良いのかを確認しておこう。

3-1.能力評価
第一に挙げられるのが能力評価である。能力評価とは業務上で必要とされるスキルやノウハウ、経験などに基づいて評価することだ。評価すべき能力を定めていくのが基本で、社員の等級ごとに必要な能力をリストアップして評価していくことになる。業務でその能力を生かしたかどうかが重要な評価観点になり、ただ資格を持っているなどといっただけでは評価の対象にならない場合が多い。ただ、評価に用いることができる共通の数値などはないので、企業ごとに定めたルールに基づいて数値化していくのが一般的である。

3-2.情意評価
第二に挙げられるのは情意評価だ。情意評価は「情熱」と「意欲」という二つの言葉を想像するとわかりやすい評価基準だ。仕事に対する姿勢を評価することを指し、規律性や積極性、責任性や協調性などが評価項目としてよく用いられている。どの項目も数値化するのが難しいのが特徴で、職種によって特に評価しにくい項目もあるので注意が必要な基準だ。

3-3.業績評価
第三に挙げられるのが業績評価である。業績評価は職種によっては最もわかりやすい評価基準で、業績にどれだけ貢献したかを数値化して評価するものだ。与えられている目標に対してどれだけ貢献できたか、どの程度の成果を出したかを定期的に評価して判断するのが基本となっている。売上高のようにわかりやすい場合もあるが、バックオフィスの業務のように業績を数値化しにくいことも多い。その場合には複数人に対して聞き取り調査を行い、その評価を平均化あるいは合算することで数値化する方法がよく用いられている。それでもなお定量化が難しい場合には定性的な判断で評価軸を設けることもあり、達成できた課題が何か、業務に滞りはなかったかといった点で評価することもある。

4.人事評価の評価手法

人事評価では社員個人の能力や会社のために上げた業績などを基準として用いるのが一般的だが、企業運営に見えないところで大きな貢献をしているケースも少なくはない。その要素を判断して人事評価を補う手法についても確認しておこう。

4-1.MBO
MBOは目標管理制度のことで、社員が自分で目標を決めて会社と共有するのが特徴だ。その共有された目標を会社が管理して評価対象とするのが基本になる。MBOでは社員に具体的な目標とその到達プロセスを立てさせ、その向かう先が会社の方向性と合致しているかを管理していくのが特徴だ。全社目標に対する社員の貢献度を評価しやすく、社員のモチベーション向上を期待できるのが魅力である。さらに、社員の自己管理能力や目標達成能力も評価可能だが、弊害もあるので注意が必要だ。社員の疲弊を招いたり、自ら立てた目標以外への意欲が低下したりすることがある。効果を上げるためには目標の妥当性についても管理することが重要になる点も注意しておこう。

4-2.360度評価
360度評価は社員を取り囲む上司や同僚、部下や異なる部署の社員などによる評価を実施する方法である。あらゆる方向から社員を見て、周囲にどのような影響を与えているかを評価できるのが特徴だ。公平性や客観性については優れていて、不公平感が少ないとされているものの、主観的評価を排除できない問題点もある。人事評価の経験がある人とない人が混ざっているので評価がばらつきやすいのも問題となることが多い。ただ、社員の強みや弱みを発見する機会になって成長を促せることもあるのは魅力だ。

4-3.コンピテンシー評価
コンピテンシー評価は企業に大きな貢献をしている人材の共通特性をモデルとして評価基準にする方法だ。大きな成果や業績を上げている社員の行動特性を分析して評価軸を作り、それに基づいて社員の評価を行うのである。人材育成の目的で特に効果が高いことが知られていて、本当に会社に貢献するにはどうすべきなのかが人事評価の度に明確になる。ただ、コンピテンシーの定義やモデルを作り上げるのに時間も労力もかかることに加え、将来を見据えたときに本当に妥当な評価軸となるのかが疑問になりがちだ。

5.人事評価を行う上でのポイント

人事評価を行うのに重要なポイントは三つある。一つ目はシンプルでわかりやすい客観的な基準を設けることだ。それによって評価の公平性が保たれ、社員の行動指針も明確することができるからである。その評価プロセスも明確にし、誰がどのような基準でどう評価したのかを共有するのが良い方法だ。二つ目は広く社員の行動を評価できるようにすることだ。直近の行動だけでなく評価期間全体の行動を総合的に数値化し、さらにプロセスも評価できるように制度を整えるのが重要になる。三つ目は絶対評価をすることだ。他の社員と比較された相対評価では社員のモチベーションが下がるリスクが高い。各社員が設定した目標ごとに一定の基準で評価を行うことで社員の成長意欲もかきたてることができる。

人事評価は常にブラッシュアップをしていこう

人事評価制度をどのような内容で構築すべきかは自社の将来のビジョンによって大きく左右されることになる。まずは将来にどんな価値のある企業になるべきかを明確にしてから制度を設計しよう。そして、仮説検証を繰り返しながら適宜改善をしていくのが大切だ。基本となる人事評価制度を用意した上で長期的に運用して制度自体を育てていくようにしよう。