業務フローを整えるマニュアル作成の方法とおすすめツールを紹介
「読みにくい、分からない、知りたいことが載っていない」。こんな、社内に誰も使っていないマニュアルがある会社は多いのではないだろうか。
読み手が理解しやすいマニュアルがあると、社員教育の手間が大きく省けるだけでなく、業務の効率化、生産性の向上が期待できる。マニュアルを作成する際のコツやマニュアル作成を大幅に効率化できる作成ツールについて解説する。
マニュアルと手順書の違い
マニュアルが業務の全体的な流れを記したものであるのに対して、手順書は業務の一部を詳しく記した文書だ。
例えば、接客業のマニュアルを作る際にはお客様に対してのあいさつから始まり、商品を買ってもらうためのノウハウ、お会計、その後のフォローまで記載する。手順書はその中のお会計の仕方に関して、初めての人が見ても一人でできるくらい詳しく書かれたものになる。商品を買ってもらうためのノウハウのように、その場その場で適切な対応が異なるものに対して手順書は作らない。あくまでも工程が決まっている仕事に対して作成するのが手順書だ。
マニュアル作成の目的
マニュアルを作成するための目的は一体なんなのか。ここを見誤ると、誰も読まないマニュアルが完成してしまう。多くの会社で作成の目的としている内容を詳しくみていこう。
業務プロセスの改善
マニュアルを作成することで今までの業務に無駄がなかったか、という再確認ができるのが大きなメリットの1つだ。無駄な工数を減らし業務をできる限り単純化することで、結果的にミスを減らすことができる。
業務フローの確立
人によって業務への取り掛かり方が違うと、新人教育の際にも「人によって言うことが違う」というありがちな混乱も起きてしまう。しかしマニュアルを作成することで業務フローが確立するため、誰もがマニュアルを見れば業務を行うことができ、さらには業務品質の一定化を図ることができる。
ナレッジの共有
今までなら個人が持っていた知識や経験を、マニュアルに落とし込んでしまえば、誰もがその業務を行うことができるようになり、1人に対する負担を大幅に軽減することができる。
マニュアル作成の方法
マニュアルの作成方法には大きく分けて2つの方法がある。それぞれのメリットでメリットをみていく。
< WordやPowerPointなどのOfficeツールを活用 >
すでに自社のPCに搭載されているWordやPowerPointといったOfficeツールを活用してマニュアルを作成することができる。メリットとしては、作成するために新たなツールを必要としないため、費用がかからないこと。デメリットとしては0からマニュアル作成をする場合、時間がかかり人件費がかさむことと、作成者によってマニュアルの完成度に差が出てしまう点がある。
< マニュアル作成ツールを活用 >
多くの会社が提供しているマニュアル作成ツールを活用するのも1つの手だ。メリットとしてはテンプレートがあるため0からマニュアルの構成を考える必要がないこと、動画などの作成も容易であることだ。デメリットとしては、ツールを利用するためには予算が必要な点だろう。ただ、自社で0から作る人件費を考えたらツールの利用料は高くないといえるだろう。
主要マニュアル作成ツール
❖ NotePM
社内版ウィキペディアと銘打ったツールを提供している「NotePM」。Web上でマニュアル作成ができて更新も簡単なため、常に最新マニュアルを社員に提供することができる。検索機能も充実していて知りたい情報へのアクセスの良さは抜群だ。
(「NotePM」の資料はこちら)
❖ Dropbox Paper
クラウドサービスを提供しているDropboxが2016年から開始したドキュメント作成ツール「Dropbox Paper」。文書作成をした際のレイアウト調整機能がないため、レイアウトに頭を悩ませることなく、内容に集中することができる。目次を自動生成してくれる機能もありがたい。
(「Dropbox Paper」の資料はこちら)
❖ Dojo
自動でマニュアル作成をする「Dojo」は誰でも使える手軽さで、誰が作っても高品質な紙媒体やデジタルのマニュアルが作成できるソフト。自動作成機能が豊富なので、マニュアル作成時の工数を大幅に減らすことができる。
(「Dojo」の資料はこちら)
❖ iTutor
マニュアル作成を自動化して効率的な作業が可能な「iTutor」。撮影した動画をそのままソフト上で編集できるため、動画編集ソフトがなくても簡単に動画マニュアルが制作できる。大手企業の導入例が多く、膨大なマニュアル作成が必要な会社でも安心して使える信頼感がある。
(「iTutor」の資料はこちら)
❖ tebiki
音声認識システムによってスマホで撮影した動画に自動で字幕を生成する機能が搭載されており、誰でも簡単に動画マニュアルが作成できるのが「tebiki」の強み。100カ国以上の言語に自動翻訳が可能なので、外国人スタッフの多い職場での活用にもぴったりだ。
(「tebiki」の資料はこちら)
❖ Teachme Biz
マニュアル作成から共有までを一括でできる「Teachme Biz」。マニュアル作成後のことも考えたサービスに定評がある。動画の手順書作りも簡単にできるのが魅力だ。閲覧、検索ログを確認することで、従業員がどういったことで困っているのか分析することができ、新たなマニュアル作りの参考にすることができる。
(「Teachme Biz」の資料はこちら)
マニュアル作成のプロセス
マニュアルを作成する際の手順を紹介する。
1.マニュアルのテーマを決める
まずはマニュアルを作成する上で伝えたいことはなんなのか、というテーマを決めることが大切だ。読み手にテーマが伝わるようにということを終始、念頭に置きながら文章や構成、デザインを工夫するとよいだろう。
2.読み手のリテラシーを想定する
「マニュアルを読む対象が誰なのか」は、とても大切なポイントだ。会社についての知識が0の新入社員向けなのか、ある程度知識のある部署移動した人、中堅社員向けなのか。対象の知識レベルにあった内容にする必要がある。
3.業務フローを分解する
マニュアル作成をする際に意外と大変なのが、業務フローを分かりやすく並べて説明することだ。普段なんとなく進めている仕事でも、言葉にして順序を示すとなると難しいと感じるだろう。まずは業務フローを分解してまとまりを作る。まとまりができたら、その1まとまりごとに業務をテキスト化するとよいだろう。
4.業務フローの詳細を記載する
分解した業務フローの中身は詳細に記載する必要がある。初めて見た人でも1人で業務を進められるくらい詳細に記載することを心がけよう。できあがった内容を客観的な目で確認することが大切だ。
マニュアルを作成した後の運用で改善を繰り返す
マニュアルは作成したら終わりではない。最初から完璧なマニュアル作成ができるとは思わず、マニュアルを運用し始めてからも書き換えたり追記したりしながら、改善を繰り返すことが必要だ。
まとめ
リモートワークが働き方の1つとして定着する中で、以前のように新入社員に対して手取り足取り業務を教えるのが難しくなっている。誰もがマニュアルを見れば業務をスムーズに進められるようになれば、教わる側、教える側双方にとってメリットが多い。
Officeツールでも作成することはできるが、0から作るよりもテンプレートがあるマニュアル作成ツールを利用すればスピード感を持った作成ができるだろう。各社が提供している無料トライアルを試してみて、使用感が良ければぜひ導入を検討してみてほしい。