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予算管理とは?目的やメリット、管理のステップなどを解説!

2022.09.01
オフィスのミカタ編集部

予算管理は企業の売上や経費などの数値目標の管理を行うことだ。予算管理を行うことで、経営状態の把握や、改善点などを見つけることが可能になるため、企業の健全な経営および成長に欠かすことができない業務と言える。しかし、業務経験がなければ具体的な業務内容などがイメージしにくいこともあるだろう。本記事では、予算管理の目的やメリットなどを解説するほか、予算管理業務の効率化の方法などを解説するので参考にしてほしい。

目次

●予算管理とは
●予算管理のステップ
●予算管理のメリット注意点
●予算管理を効率化するにはシステムの活用が有効
●予算管理システムおすすめ4選
●まとめ

予算管理とは

予算管理は、期初に立てた予算計画と、期末における実績の把握・分析を行うことで、経営管理の一つに含まれる。まずは、予算管理の概要や種類をみていこう。

そもそも予算とは
予算とは、期初に設定した数値目標のことを言う。予算は一般的に「売上予算」「原価予算」「経費予算」「利益予算」の4種類に分類される。それぞれの内容は下記の通りだ。

売上予算
利益向上のために欠かせない指標。売上目標とも呼ばれる。

原価予算
製品やサービスに必要な原材料の見積額。

経費予算
継続して行う企業活動に必要な費用の見積額(人件費・広告宣伝費・事務所賃借料などを含む)。

利益予算
売上から原価・経費を差し引いて得られる企業の利益額。

予算管理の目的とは
予算管理の主な目的は、利益目標の達成だ。事業によって利益を生むには、予算をきちんと管理することが重要となる。具体的には、下記のような目的があげられる。

1.自社の目標を示しし、社内共通目標とする
売上目標値や原価など、具体的な目標値を設定し、部門や担当者ごとに達成すべき目標として示すことで、目指すべき着地点を社内で共有する。

2.目標達成に向けた、現状を把握する
予算管理を行うことで、予算が計画通りに実行されているか、目標達成に向けた進捗状況などを把握できる。思うように計画が進んでいない場合には、要因を分析し改善策を検討することも可能だ。

3.安定した経営につなげる
予算の達成状況を明確化することで、経営計画を見直す必要があるかの判断につなげられる。予算管理の過程において目標達成を阻害する要因が明らかになった場合には、予算管理方法や目標の修正を行うなどの経営判断につなげられ、経営の安定化を図ることもできるだろう。

予算管理は「予算編成」と「予算統制」からなる
予算管理は「予算編成」と「予算統制」に分けられる。「予算編成」は予算を計画する作業にあたり、「予算統制」は設定した目標である予算に基づき、業務の実行・評価・改善を行うことを指す。具体的には、予算と実績を比較し、その差異を縮小していく取り組みを指す。期初に計画した予算と期末実績の間に差異が生じた際には、実績を分析し、原因を特定する。さらに、目標達成に近づくよう改善を提案するのが、予算統制の目的だ。

予算編成時のポイント
予算編成は、「売上予算」「原価予算」「経費予算」「利益予算」の各予算を決める作業だ。しかし単に数値が決まればよいだけではなく、自社が置かれている状況や現場の意見を拾い上げ、予算に適切に反映することが重要だ。理想的な数字ばかりを掲げず、現実的な視点を持ち、実態に即した予算編成を行うことがポイントとなる。

予算管理のステップ

ここでは、予算管理のステップを解説する。

<ステップ1>予算編成
まずは、予算の計画を立てる「予算編成」を行う。これは予算管理を行う上でもっとも重要なステップだ。予算計画の立案のためにはまず、経営目標を明確化し、目標に対して必要な予算や経営資源を決定する必要がある。予算計画を立てる方法は下記の2つが挙げられる。

・トップダウン方式
トップダウン方式の「トップ」は経営陣を指し、経営陣が決めた予算計画を基に、予算管理を行う手法だ。トップダウン方式のメリットは、予算編成に時間をかけず、経営資源を配分できることにある。一方で、経営陣から一方的に予算を決定されてしまうことで、現場の負担が大きくなったり、従業員のモチベーションを保つことが難しい側面もある。

・ボトムアップ方式
ボトムアップ方式はトップダウン方式と反対で、企業内の各部門が予算を積み上げ、企業の予算を決定する手法だ。現場の状況をよく理解している各部門の担当者が予算編成にかかわることで、現実に即した予算計画の立案が可能な点がメリットだ。一方で、予算計画の完成までに時間を要することや、全社的な利益と無関係な思惑が含まれてしまう場合もあり、予算計画が適正かについて十分に確認することが重要だ。

<ステップ2>予算に基づき実行
適切な予算計画を策定できたら、予算に基づき管理を行うステップに移る。このステップでは、「売上」「原価」「経費」「利益」の4つの予算種類ごとの予算について、計画と実績に差異がないかを確認することが重要だ。一般的には1年間の予算計画が各月に割り振られて、月ごとの目標設定がなされているケースが多い。しかし、月ごとの予算管理では大幅な差異が生じる可能性もあるため、月ごとの予算をさらに「日割」「週割」し進捗率を算出していく必要がある。日々の業務の中で、予算を意識し、着実に管理を行うことが重要だ。

<ステップ3>予算実績の分析
予算に基づき計画を実行したら、期末に予算実績の分析を行う。日々の予算管理も重要だが、1カ月ごと3カ月ごとなど、定期的に計画と実績との差異を分析することが重要だ。また、予算と実績の差異が生じた際はその原因を特定することも必要になる。一般的には予算計画との誤差が15%以上になると予算編成の部分に問題があるとされている。定期的に分析を行うことで、期末の差異を最小限に抑えることができるだろう。

<ステップ4>予算管理の改善
予算実績と予算計画との間で大幅な差異などが生じた際には、その原因を特定し、対策を講じなければならない。注意すべきなのは、予算編成に問題がないにもかかわらず売上・経費などの部分で計画と大幅に差異が生じている場合だ。そういった場合は、事業の将来性が無くなっていることも考えられ、事業からの撤退などの判断が必要になる。予算管理を行うことで、数値やデータに基づき事業の分析を行うことができ、客観的な視点で事業の適正を判断できるだろう。

予算管理のメリットと注意点

予算管理は事業運営に欠かせない重要な業務で、きちんと行うことで以下のようなメリットが得られる。ここでは、予算管理のメリットと課題を確認しよう。

<メリット1>社内で目標を共有できる
予算管理を行うことにより、経営目標が数値として明確になり、会社が実現したい姿の共通認識が持てる。漠然とした戦略や目標を数値化し、従業員に具体的な目標として共有が可能だ。それにより、モチベーションの向上や、無駄な業務の削減などにもつながるだろう。

<メリット2>経営資源を効率的に配分できる
企業経営では、ヒト・モノ・カネといった経営資源を使って利益を出すことが求められる。しかし、これらの経営資源は有限であるため、企業が継続的に成長を続けるためには、経営資源を適切に分配することが重要だ。予算管理で適切な資源の分配が行われていないと、生み出すべき価値(生産量・サービス量等)とリソースのバランスが崩れ、売上の低下を招くなどといったリスクにつながりかねない。予算管理を行うことで、どの分野にどの程度の経営資源を分配するのか適切かを可視化でき、効率的な分配が可能になる。

手間と時間がかかることも
予算管理は、数値の検証や、各部門との調整などが必要となり、多くの時間と手間がかかる作業だ。また、期初に立てた計画と、実績の定期的な分析・改善提案なども必要なため、適切な予算管理を行う方法の検討とともに、業務効率化の検討も必要だろう。

予算管理を効率化するにはシステムの活用が有効

予算管理業務の効率化には、ITツール活用が欠かせない。「予算管理システム」は、煩雑な予算管理業務の効率化に有効なツールだ。予算は、Excelなどの表計算ツールでの管理も可能だが、記入漏れや集計ミスのチェックといった煩雑な作業が多く、担当者の負担が大きくなってしまうことも考えられる。

「予算管理システム」を使用すれば、同じシステム内で各部門の予算管理や入力・修正・データの共有が可能だ。また会計システムや販売管理システムと連携しているツールもあり、効率的な予算管理が行えるため得られるメリットも大きいと言える。導入には費用がかかるめ、導入前には導入目的や得られる効果などを十分に検討しておくのがよいだろう。

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まとめ

予算管理を行うことで、自社の目標達成に向けた現状把握や、改善提案などが可能となる。そのため予算管理業務は企業の経営上、非常に重要な業務といえる。システムの活用などを含め、効率的かつ効果的な予算管理方法を検討してみてはいかがだろうか。