掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

幅広い業界で使われるアセスメントの定義を解説。特に人事領域におけるアセスメントの手法と実施プロセスや支援ツールも紹介

2022.12.02
オフィスのミカタ編集部

アセスメントとは評価や査定という意味を指す「assessment」が語源となっているが、使われる分野や業界によってそのニュアンスが変化する。ここでは、アセスメントの種類について触れた後、その中でも特に人事領域におけるアセスメントについて詳しく解説していく。

幅広い分野や業界で使われるアセスメントとその種類

調査に基づき、客観的な評価を下したり分析したりする手法をアセスメントと呼ぶが、その種類は実に多様だ。以下では、アセスメントが使われる業界やシーンについて解説する。

公共事業や建設現場で用いられるアセスメント
公共事業や建設現場において、大規模な開発などを行う際に周囲の環境に与える影響を調査し、客観的に予測・評価することを目的とするのが「環境アセスメント」だ。環境保全の観点から望ましい事業計画を作るために必須とされる。

医療・福祉現場において使われるアセスメント
医療・福祉現場において使われるアセスメントは以下の通りだ。

・介護アセスメント
介護分野におけるアセスメントは、利用者が介護サービスを受ける際の指針となる「ケアプラン」を作成する過程で実施される。具体的には「どういった介護サービスを必要としているのか」「要介護者だけでなく、家族の希望」など、必要とするサービスを多角的に把握・分析し、調査する。

・看護アセスメント
患者本人から語られる主観的な情報とバイタルサインや診察・検査結果から得られる客観的な情報を組み合わせながら看護計画の方向性を決定し、実施するまでを看護アセスメントという。

・保育アセスメント
保育現場では子どもの発達状況を把握するために行われるため、「発達アセスメント」と呼ばれることも多い。指導計画や3歳未満児を対象にした「個別計画」を作成し、適切な支援を行うことがアセスメントの目的となる。

企業人事・組織におけるアセスメント
企業人事・組織において活用されるアセスメントは、主に以下の2つだ。

・人材アセスメント
人材の採用や評価・人員配置を適切に行うための指標として重視されている人材アセスメント。従来の上司による主観的な評価ではなく、適性検査などのツールを活用して客観的データを基に適正な判断を行うために用いられる。

・組織アセスメント
部署やチームといった組織単位で行うのが組織アセスメントだ。組織に組み入れる人材の選定やリーダーの選出など、組織をうまく機能させることを目的とする。

従業員の能力を客観的に評価して優秀な人材を確保する人材アセスメント

アセスメントの中で、人事領域での活用が重視されているのが人材アセスメントだ。従業員の能力を客観的に評価し、適切な人事、管理職登用を進めるために活用されている。

人材アセスメントの主な実施目的

人材アセスメントを実施する目的について解説する。

転職市場における人材の流動化に対しての人材の定着率強化
終身雇用制度が崩れ、リモートワークなど働き方の多様化が進んだ結果、転職市場では優秀な人材が流動するようになった。それにより企業では、自社にとって有用な人材の確保および定着化が急務となっている。人材アセスメントの導入の狙いは、的確な人材配置、適正評価で人材の定着率強化を推進することにある。

経営効率を高めるための人事戦略の立案と精度の強化
人材アセスメントは人事評価に公平性を付与できるため、人事戦略の精度強化を期待できることが大きなメリットだ。採用時のミスマッチ回避や適切な人材育成、適材適所な人材配置・異動指示、自社成長の助けとなる管理職候補の選定など、人材アセスメントの導入による効果は多岐に渡る。

人材アセスメントに使われる目的別の主なツール

人材アセスメントを導入する際に使われるツールについて代表的なものを見てみよう。

採用・配属の最適化を目的とした適性検査
「基礎(知的)能力」「性格(パーソナリティー)」「職場適応性(コンピテンシー)」「ストレス耐性」といった要素を測定する適性検査。採用基準や採用後の配属先の適性を確認するために使われる。

公正な人事評価データ収集を目的とした360度評価
従来の人事評価では、上司が一方的に部下を評価する手法が多かったが、その方法では上司の主観が入るため不公平感があった。360度評価では、上司だけでなく同僚や部下などさまざまな立場の人たちが評価対象者を評価する。

マネジメント支援としての個々人の特性の把握を目的としたエニアグラム
人間の性格を9つのタイプに分類する性格類型診断の1つであるエニアグラムも人材アセスメントとして行われるツールだ。組織内でそれぞれがタイプを開示することで、自己理解だけでなく他者理解にも役立つ。

以下のページでは人材アセスメントツールについて網羅的に紹介している。ぜひ参考にしてほしい。
人材アセスメントツールとは?種類や活用したい場面を紹介!

人材アセスメントを実施する際の一般的なプロセス

人材アセスメントを実施する際のプロセスは一つではないが、一般的に行われている方法を紹介する。

正確な情報を収集する
人材アセスメントの対象となる人物について、客観的に判断するための材料となる正確な情報を収集する。

分析・推察をし、仮説を立てる
収集した情報をもとに分析して推察し、仮説を立てる。

計画の策定・実行
立てた仮説に対し、アプローチ方法としての計画を策定し、実行に移す。

計画の評価と共有
策定した計画と実行に移したことによる結果を評価する。さらに計画を組織内で共有することで、さらなるブラッシュアップを進めていく。

人材アセスメントを実施するには各プロセスを確実に進める必要があり、経験を積んでいないと正しい運用は難しい。しかし、人材アセスメントに特化した人材の育成や配置は、企業規模によっては困難となるだろう。そこで、人材アセスメントを支援するツールが複数提供されている。次の項目ではそれらテスト型ツールについて紹介する。

有効的な実施が難しい人材アセスメントを支援するテスト型ツール

人材アセスメントの経験がない企業でも簡単に実施できる、テスト型ツールを見ていこう。

スカウター
採用における不適性検査を業界で唯一おこなっているのが「スカウター」。人材採用で失敗したくない企業による導入は1万2000社以上と高い人気を誇っている。日本語だけでなく、英語、中国語(簡体、繁体)、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、ハングルの8カ国語に対応している。
https://scouter.transition.jp/

3Eテスト
エン・ジャパンが提供している「3Eテスト」は、肩書きにとらわれず知的能力や価値観といった中身で人材を見極めるテスト型ツール。最大35分ほどで終了することで、受検者の負担を減らしつつ効率的な設問で正確な検査結果を得ることができる。
https://jinji-test.en-japan.com/

職場適応性テストDPI
自社採点の適応性テストの他に、コンピューター診断、Web診断など、さまざまな方法でテストを作成できる「職場適応性テストDPI」。中国語や英語版もあるため、グローバル企業においても利用しやすいのが特徴だ。
https://jinzai.diamond.ne.jp/test/dpi/

ストレングスファインダー
177の質問で、回答者の得意分野を明らかにし、個別化されたレポートを活用して強みを伸ばす方法を発見するするクリフトンストレングス(以前のストレングスファインダー)。個人のテストのほか、チームとマネージャー、組織など、チーム単位での活用も非常に有用だ。
https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/253634/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0.aspx

ミイダス
「ミイダス」は、人材採用や組織における課題を解決する機能を備えたツール。活躍要因診断ができ、入社後に自社の環境にフィットするのか、高いパフォーマンスを発揮できるのかといった予測を行うことができる。また、自社の特徴や社内で活躍する従業員の傾向を特定し、求めている人材を明確にすることができる。
https://corp.miidas.jp/

まとめ

アセスメントの中でも人材の採用や適応性に特化した評価をする人材アセスメントは、組織を正常に運用するための効果的な方法だ。客観的な指標となることで、従業員にとっては公平性が担保されてやる気につながり、企業にとっては適正な人事評価で企業成長を促進できる。しかしながら、人材アセスメントは一朝一夕にできるものではない。テスト型ツールを活用しながら効果的な導入を進めてほしい。