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人材アセスメントツールとは?種類や活用したい場面を紹介!

2022.06.24
オフィスのミカタ編集部

人材アセスメントツールとは、従業員の特性や能力を測定するツールで、人員配置や異動、採用などに活用することができる。企業の目標を達成するためには、従業員の強みや特性を把握し、十分に能力を発揮できるような人員配置が重要だ。一方で、人材アセスメントツールは多種多様であるため、選定に迷うこともあるだろう。本記事では、採用や人員配置などの人材管理におけるアセスメントツールの概要や、活用したい場面などを紹介する。アセスメントツールの導入を検討している担当者は参考にしてほしい。

目次

●人材アセスメントツールとは
●人材アセスメントツールの種類
●人材アセスメントツールを活用したい場面
●人材アセスメントツールを使った評価時の注意点
●まとめ

人材アセスメントツールとは

まずは人材アセスメントツールの概要をみていこう。

人材アセスメントとは
そもそもアセスメントとは、「人やものごとを客観的に評価・分析すること」を意味し、評価や査定を指す英語の「assessment」を語源に持つ。

人材アセスメントとは、組織の中での人材配置・育成・登用などの場面において、従業員を評価すること。その目的は、従業員の適切な評価・分析や、人材管理への活用など、企業として適切な対応を取ることにある。

人材アセスメントツールとは
人材アセスメントツールとは、従業員の配置・教育・採用などを効果的に行うために使用される、「適性検査」や「心理テスト」などのツールを指す。アセスメントは、第三者機関により行われるの一般的で、従業員を客観的に評価できることが特徴だ。客観性が担保されることから、信頼性が高く、人事評価などにおいて有効な手段として関心が高まっている。

一方で、日本においてアセスメントツールを導入している企業は、大企業や一部の中小企業にとどまっているのが現状だという。人材の評価にアセスメントツールを使わないと、評価時の客観性の不足から従業員を有効に活用できない、または配置のミスマッチが起こるなどといったリスクが生じかねない。適材適所を実現し、企業の生産性を高めるためには人材アセスメントツールの活用が有効だろう。

人材アセスメントが必要とされる背景
日本企業は長年、多くの企業で年功序列で昇進や昇給がなされてきた。しかし近年、少子高齢化による労働人口の減少や転職者の増加などの要因により、人材確保が企業の課題となっている。加えて、グローバル化、働き方の多様化などといった要因で、すべての人を一様に評価するような従来型の評価制度では通用しなくなってきているのが現状だ。人材アセスメントは、人材の能力を客観的に評価し、従業員一人ひとりのスキルや特性・個性、能力を可視化することで、こうした課題を打開するツールとして期待されている。

人材アセスメントツールの種類

企業向けの人材アセスメントツールの種類や、ツールを使って可視化できる主な項目をみていこう。

人材アセスメントツールの種類
人材アセスメントツールには主に以下のような種類がある。

1.知能検査
個人が持つ知的能力を測定できる検査。知能検査では、文書作成や口頭でのコミュニケーションなどを含む基本的な言語能力や、建築・製造の仕事に必要な空間知覚能力などを測定できるものもある。

2.性格検査
個人の性格や行動傾向を測定できる検査。性格検査では、定型的な質問に対する回答から査定を行う「質問紙式」、曖昧な図形や未完成の文章を見せた時の反応から性格特性や深層心理を分析する「投影法」などが用いられる。性格検査では特定の職務に対する適性の診断・分類を行うことが可能だ。

3.面接
面接は、面接官との対話を通し個々の資質・特性を評価するもの。さまざまな場面で役立てることが可能であるため、人材アセスメントの中でも頻繁に活用される手法のひとつだ。面接によるアセスメントは、実施後に結果のフィードバックを行うことが多い。

4.多面評価
多面評価とは360度診断とも言われ、評価対象者についての評価を上司・先輩・部下・同僚などから集め、自己評価と比較する手法だ。評価を第三者が行うため、自己の強みと課題を客観的に認識できる。具体的な行動計画を策定・実行することで、自己成長を促せる手法として有効なアセスメントだ。

5.アセスメントセンター方式
アセスメントセンター方式とは、職務状況をシュミレーションした演習を、評価対象者に受けさせる検査だ。演習で現れた行動を、専門の評価者が評価する。代表的な演習には、グループディスカッションやプレゼンテーションなどがある。複数の評価要件をベースに、対象者の職務遂行能力や管理者能力を測定できる。

人材アセスメントツールで可視化できる項目
上記に挙げた人材アセスメントツールを活用すると下記のような項目の可視化が可能だ。

1.個人特性
評価対象者の人柄や考え方、ストレス耐性など、個人の持ち味が可視化できる。個人特性には、自分の意見を持ち、他人に説明できる「自律一貫性」、情報・状況に応じ臨機応変・能動的に行動する「積極性」などが含まれる。

2.意思決定能力
個人の「戦略」「意思決定」といった特徴や能力を測るツールもある。意思決定能力に含まれる評価項目には、組織におけるさまざまな課題を見つけ出す「課題抽出力」や、さまざまな情報を整理し問題点を明確化する「問題分析力」などが含まれる。

3.対人関係能力
評価対象者のコミュニケーションにおける特性を把握することもできる。対人関係能力の例として、チームの雰囲気を察しメンバーを和ませられる「活性化力」、状況に応じ臨機応変に対応することで相手を説得できる「折衝力」などがある。

4.業務遂行能力
人材アセスメントツールの活用で、日常業務の円滑な運営能力も可視化可能だ。業務遂行能力には、適切な優先順位付けで計画を立案する「計画力」や、進捗確認・調整などの能力を評価する「実行管理力」などの評価が含まれる。

5.組織適性
評価対象者と組織が展開する事業・サービスとの適合性を図るツールもある。個人の考え方は性格や価値観により大きく左右される。組織適性を可視化することで、経営者と従業員の価値観の近さや企業文化との相性などを図るのに役立てることが可能だ。

人材アセスメントツールを活用したい場面

人材アセスメントを適切に行うには、人材採用・配置・異動時の適材配置など、目的や解決したい課題に合ったツールを選択することが必要だ。以下に、人材アセスメントツールの活用が有効とされる場面や、対応するツールの一例を紹介する。

人材採用時
人材の採用時にアセスメントツールを活用すると、自社に必要な人材を採用しやすくなるというメリットがある。具体的には、採用試験時に行う「適性診断」や「性格検査」などのツールが挙げられる。アセスメントを行うことで、応募者のスキルや潜在能力を入社前に把握でき、入社後の配置や教育方針の参考にできる。

人員配置・異動時
人事異動や新規プロジェクトなどの人員配置の際にも、判断材料のひとつとして人材アセスメントツールが活用できる。「アセスメントセンター方式」や「面接」などのツールの活用が有効だろう。アセスメントを行い、従業員の能力や個性などを可視化しておくことで、スムーズな人材発掘や配置転換が可能になる。新入社員にも同様に活用すれば、配属先の検討の際に参考にできるだろう。

管理職の選任
管理職の選任を行う際にも、人材アセスメントがもたらす効果は大きい。「多面評価」や「アセスメントセンター方式」などのツールで、適性を診断するのもよいだろう。実務能力の高い社員が管理職候補にあがることもあるが、その従業員にリーダーシップやマネジメント能力がなければ部署全体の生産力に関わりかねない。人材アセスメントツールを活用し、客観的評価でマネジメントに向いていると判断した人材を登用できれば、結果的に部署全体の生産性向上も期待できる。

人材育成
人材育成の観点でも、人材アセスメントツールを使って従業員の能力や特性を把握しておくことは重要だ。人には少なからず向き不向きがあり、「営業では成果を出せたが、マーケティングでは成果を出せなかった」などといったケースも珍しくはない。「多面評価」などのツールで人材アセスメントを実施し、従業員一人ひとりの持つ潜在能力や素質を把握し、それをより高める研修や教育を実施することで、その人の持つ能力が最大限に発揮されるよう、促すことができる。

人材アセスメントツールを使った評価時の注意点

人材アセスメントツールを使った評価時は、従業員に対する結果のフィードバックを行う場合がある。その際、評価者の主観による「良し悪し」を伝えないように注意しなければならない。主観によるフィードバックを行うと、評価者によってフィードバック結果が異なってしまうことが考えられる。これにより、フィードバックを受ける従業員は自身のスキルや適性を判断しにくくなってしまう可能性が考えられる。結果を伝える際には、社員の適性を客観的に伝えることが大切だ。

まとめ

人材アセスメントツールの活用は、適材適所の配置などを可能にし、結果的に企業の生産性向上につながるなど得られるメリットも大きい。その一方で、人材アセスメントツールには多種多様なものがあり、評価の目的と評価できる項目が異なると、効果は期待できない。そのため、何を目的としてアセスメントツールを利用するのかや、評価したい項目を明確化するなど、組織内で十分に協議することが大切だ。効果的な人材管理や従業員の適性に応じた配置を行えるよう、人材アセスメントツールの導入は適切かつ慎重に進めよう。