モチベーション管理システムを徹底比較|システム設計思想からおすすめサービスを紹介
近年、企業が人的資本経営に注目が集まっている。人的資本経営を実践することで、従業員の能力や経験を最大限に活用し、企業価値の向上につながるからだ。しかし、従業員のモチベーションは目に見えない。そこで、需要が高まっているのがモチベーション管理システムだ。この記事では、主要なモチベーション管理システムの比較と、導入するメリットについて紹介する。
経営数字の改善に大きく寄与するモチベーション管理システム
モチベーション管理システムは、従業員のモチベーションを可視化し、管理するために開発された。従業員のやる気やストレス、職場環境などをアンケートで調査し、その結果を可視化することで、改善点を把握し、組織改善に活用できる。
モチベーション管理システムを導入することで、従業員のモチベーション向上による生産性の向上、離職率低下、従業員の健康状態の把握や改善などが期待できる。
優秀な社員の定着による組織風土の定着及び業績の向上
優秀な社員を定着させることは、組織の成長にとって非常に重要な課題だ。優秀な社員が定着することで、組織内でのノウハウの蓄積や知識の共有が促進され、組織全体のベースアップにも繋がる。定着率を高く維持することで、社員一人ひとりの組織に対する愛着が深まり、よりよい組織風土が形成される。その結果、社員が安定して働くことができるため、生産性が向上し、業績の向上が期待できる。
属人的なマネジメントからの脱却による離職率の低減
「属人的なマネジメント」とは、ある特定の人が業務を担当し、その人がいなければ業務を進められない状況を指す。属人化に陥ると、その担当者が退職し、長期的な休暇に入った場合に、業務がストップしてしまう。そのため、チーム全体の業務の効率の低下を招いてしまう。
また、属人的なマネジメントは、特定の人が大量の業務を担当することになり、負担が集中する。その結果、業務量に耐え切れなくなり、離職してしまうケースもある。属人的なマネジメントを脱却することで、社員1人あたりの負担が減することで、離職率の低減につながると考えられる。そのためには、組織の見直しや、業務の標準化やマニュアル整備も重要だ。
コロナで普及定着したテレワークにはモチベーションの負の側面も
新型コロナウイルスの流行により、多くの企業がテレワークを導入した。社員にとっては、通勤ストレスの軽減や自宅で仕事ができることで、プライベートの充実につながった面もあるが、仕事へのモチベーション低下というリスクという負の側面もある。
テレワークでは、上司や同僚とのコミュニケーション不足からくる孤独感やストレスなどがモチベーション低下を招いている。
経営者・管理者としては、社員同士の定期的な打ち合わせや報告を通じて、コミュニケーションを図り、テレワークの社員たちのモチベーションを維持にも気を配ることが求められている。
●内部リンク 若手社員のテレワーク 最大の課題はモチベーションの把握
社員にテレワークを実施させるうえで、より注意が必要なのは若手社員のモチベーションの把握である。まだ、業務に不慣れな若手社員は、ベテラン社員に比べコミュニケーション不足によるストレスを感じやすいというアンケート結果がある。
現に、テレワークをしている若手社員の離職率は高くなる傾向がある。若手社員にテレワークを実施させるには、より一層のコミュニケーションとモチベーションの把握が必要だ。
若手社員のテレワークのモチベーション把握についてはこちらの記事を参照してほしい。
https://officenomikata.jp/news/11923/
主要なモチベーション管理システム6選
ここでは、主要なモチベーション管理システム6つを利用金額、機能、サポート体制、無料体験の有無の項目ごとに比較していく。公式サイトのURLも添付しているので、気になるサービス公式サイトで確認してほしい。
「タレントパレット」の特徴と魅力
タレントパレットは科学的人事戦略を目的に、多彩なタレントマネジメント機能を搭載している。人材の一元管理から、データ分析、労務管理を効率化できる。
サポートデスクや個別相談会も利用できるため、システムを運用するうえでのサポートが充実している。
・社員のプロフィールを一目で把握できる
・膨大な人材情報を一元管理でき、効率的に活用できる
・社員の成果やプロセスを可視化し、改善点を把握できる
・自社の目的や課題に合わせてカスタマイズできる
・従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める機能が充実している
・従業員のキャリアアップやスキルアップに役立つ情報提供を行っている
https://www.talent-palette.com/
「EX Intelligence」の特徴と魅力
人事・経営・現場のすべての社員が活用できる国内初の組織診断サーベイとして登場したのがEX Intelligenceである。組織診断サーベイとは、組織の健全性や効果性、潜在的な問題を評価し、組織改善のために行われる。組織の持つ強みや弱みを特定し、対処するための戦略を立てるのに役立つ。
・従業員エクスペリエンスをデザインできる
・具体的かつ直感的にわかりやすい設問設計のサーベイにより、従業員エクスペリエンスを可視化する
・配信対象やスケジュールのカスタマイズ性が高い
・株式会社HRBrainが提供しており、同社の提供する労務管理システムや人事評価システムとの組み合わせでより効果的な組織経営ができる
https://www.hrbrain.jp/employee-experience
「カオナビ」の特徴と魅力
「カオナビ」は、顔写真つきで従業員の能力やキャリアプランを可視化し、適材適所の人事配置を行うことができる点が特徴的だ。また、伴走型サポートオンボードメニューがあるので、セットアップから運営までのサポート体制が充実している。
・顔写真が並ぶシンプルな画面で操作が簡単
・人材情報の管理、評価制度の運用、人材分析、適所配置などの機能が備わっている
・人事評価シートをシステム化し評価業務を効率化
・業界ごとに最適化された人材管理テンプレートが用意されている
https://www.kaonavi.jp/
「スマカン」の特徴と魅力
スマカンは、人事領域ですでに30年以上の信頼と実績がある人事評価システムである。官公庁や国立大学をはじめとする公共機関においても、高いシェア率を維持しており、信頼の高いサービスと言える。テレワークの活用など働き方の変化にも対応している。
・人材情報の一元化と可視化
・テレワーク活用による業務の可視化と効率化
・必要なスキルの管理と育成計画
https://smartcompany.jp/
「Geppo」の特徴と魅力
Geppoの最大の特徴は、簡易アンケートの回答を自動集計し属性ごとに分析できることだ。
テレワークが普及し、従業員のモチベーション管理がより大きな課題となっている中で「個人の課題」と「組織の課題」をすばやく見える化できる。PDCAを効率的に回していく助となるサービスだ。
・2つのサーベイ機能で社員と組織の状態をチェックする
・質問項目が少なく社員の作業負担が小さい
・アンケート結果がリアルタイムで集計され、属性ごとに分析が可能
https://www.geppo.jp/
「Unipos」の特徴と魅力
Uniposでは、働く仲間やスタッフ同士で、日ごろの仕事の成果や行動を賞賛し、少額の成果給を送りあえるというピアボーナス®のシステムを取り入れている。仲間同士で感謝を伝えあい、お互いを認めあうことで従業員のモチベーションを高く維持できる。また、結果だけではなく、プロセスに対しての評価できるので良い実践実例が社内で普及しやすくなるというメリットがある。
・投稿は全てタイムラインで共有
・行動指針を「ハッシュタグ」と紐づけ可能
・よい投稿を可視化し、気軽に賞賛を送れる
・スマートフォンやチャットツールからも投稿できる
https://unipos.me/ja/
モチベーション管理システムの選び方のポイント
モチベーション管理システムにはさまざまな種類があり、機能に特徴がある。モチベーション管理システムを選ぶ際には、自社が求める管理機能や導入後のサポート体制、そして企業規模にあった料金体系のサービスを選ぶとよいだろう。
モチベーション管理業務のシステムの対応範囲の網羅度
まず、注目すべきなのは自社が「モチベーション管理」をどこまで人事施策と結びつけるかという点だ。全社員が手軽に使用できるものを望むのか、緻密なデータ分析を行いたいのかではおのずと選ぶサービスは異なる。導入の前の無料体験や相談を利用し、比較検討したうえで、自社に適したサービスを選びたい。
組織フェーズに合うモチベーション施策のライナップの有無
組織には成長段階に合わせてフェーズがある。創業期・成長期・成熟期・安定期では、組織の規模や課題が異なるのは当然だ。モチベーション管理も組織フェーズごとに変遷するため、現在の自社の組織フェーズに合うモチベーション施策のラインナップが揃っているかは重要な問題だ。
データやツール活用のサポート体制の有無
データやツールが充実していても、活用できなければ意味はない。自社で分析し、改善項目を設定するのが難しいこともあるだろう。その場合は、システム面だけでなく、コンサルタントなどの専門家から具体的な組織改善についてアドバイスを受けられるサポート体制の充実度に注目して選ぶとよい。
組織事業規模に沿った料金形態
組織事業規模に沿った料金形態のサービスを選ぶのも重要だ。長く付き合っていくサービスなので、コストは可能な限り抑えたい。負担なく使い続けられる予算をあらかじめ社内で決めておくと、サービス選定がスムーズに行える。
大規模企業に適したモチベーション管理システム
日本の大手企業では、実際にモチベーション管理システムを導入し、社員の生産性と満足度を向上させ、企業の業績向上や社内風土の改善につながる成果を出している。
大規模企業は、所属する社員が多いだけでなく社内の業務や部門も多岐にわたる。そのため、データの管理が簡単であることや分析結果がわかりやすいこと、各部門・個人のデータを集約できることが求められる。
現場データから人事業務や人事戦略までの立案までできる「タレントパレット」
タレントパレットでは、あらゆる人材データを一元化・分析できるタレントマネジメントシステムを利用できる。社員の育成・採用の現場の担当者が得た情報が、管理職や経営者層にもすぐに届くことで、企業の将来を見据えた人事業務や人事戦略に活用できる。長期的・計画的に人材を育て、社員の定着を図りたいと考える企業に適している。
https://www.talent-palette.com/
採用から活躍定着、離職まで一気通貫でサポートできる「EX Intelligence」
EX Intelligenceは、従業員体験を定量的に可視化し、さまざまな人材データをもとに個人と組織の課題を分析できる。採用から離職まで、エンプロイージャーニーに沿った領域における、従業員体験の期待値と実感値を収集し、ギャップを可視化することで、個人の課題から組織の課題までを具体的に把握できる。従業員の不満をいち早く解消することで、離職率を改善し、エンゲージメント向上、生産性・パフォーマンス改善が期待できる。
https://www.hrbrain.jp/employee-experience
小規模企業で活用できるモチベーション管理システム
小規模企業では、シンプルで使いやすいインターフェースのモチベーション管理システムを選ぶとよい。従業員や管理者がすぐにシステムに慣れ、手軽に扱えることがシステムを運用していくうえで大切になる。また、社内に人事のプロフェッショナル人材がいない場合は、専門家に相談や今後の目標設定のアドバイスが受けられるサービスが望ましい。
小規模企業であっても、モチベーション管理は重要な課題だ。使いやすさとサポート体制が充実しているモチベーション管理システムを選んでいこう。
従業員の定点観測したコンディションの見える化に定評のある「カオナビ」
カオナビでは、社員へ週ごと、月ごとにアンケートを実施できる。アンケートでは、個人のコンディションや組織の健全性を確認できる。アンケート結果を定点観測することで、個人・組織のそれぞれの問題点や課題が見える化が可能だ。
アンケートの質問を考えるためのサポートや、回答後の管理・集計がスムーズで、手間なくデータ収集できる。小規模企業は人間関係が密なため、個人の意見を言いづらいこともある。アンケートの活用することで、これまで聞こえてこなかった問題や課題の解決の糸口が見つかることが期待できる。
https://www.kaonavi.jp/
テンプレートを利用して専門知識不要で簡単に施策の実施が可能な「スマカン」
まだスタートしたばかりの企業や家族経営が長く続いてきた場合、人事評価の基準があいまいな小規模企業も多いだろう。その場合、ゼロから人事評価シートを作るのは手間も時間もかかるだろう。そんな悩みがある企業に適しているのがスマカンだ。
スマカンではMBO、OKR、コンピテンシー、能力評価、総合評価、1on1、360度評価といったテンプレートがあらかじめ準備されている。自社に適したテンプレートを選ぶだけで、簡単に施策の実施が可能になる。人事評価の基準があいまいのままでは、従業員のモチベーションは高まらない。企業の理念やゴールを明確にし、従業員に伝えることで、会社と従業員が一丸になって実現に向けた成果や行動をとれる体制づくりが期待できる。
https://smartcompany.jp/
特定の用途に強みを持つモチベーション管理システム
数あるモチベーション管理システムには、特定の用途に強みを持つものもある。たとえば、テレワークでの業務が多く従業員のモチベーション管理が課題の場合は、テレワーク環境環境での従業員のストレスマネジメントに特化させるなど、自社の課題解決に直結するシステムを選びたい。また、従業員同士でお互いの働きを認め合うことで社内の連携や連帯を高めたい場合には、ピアボーナスを採用したシステムの導入も良策だ。
テレワーク環境での従業員のストレスマネジメントに最適な「Geppo」
コロナ禍以降、急激に浸透したテレワークでは、従業員同士の対面でのコミュニケーションが減少し、孤立感や疎外感が生じることが問題となっている。とくに、新入社員や若手社員はテレワーク環境でストレスを抱えやすく、実際に離職の原因となっている。
Geppoでは、テレワーク下でも従業員のコンディションを把握しやすい仕組みがある。問題を抱えている従業員に対し、積極的にコミュニケーションを図り問題解決に向けて対応できる。テレワーク環境での従業員のストレスマネジメントを行いたい企業に適したサービスである。
https://www.geppo.jp/
ピアボーナスで従業員同士でのモチベーション向上を促す「Unipos」
ピアボーナスは、従業員同士がお互いの業績や努力を認め合い、報酬を与える仕組みである。他者からのポジティブな評価は、個人の意欲を高めることがわかっている。このシステムを導入することで、従業員は自分の働きが評価されることを実感し、モチベーションの向上が期待できる。
お互いが認めあえる組織は、働く人の心理的安全性を向上につながる。心理的安全性の高い組織では、個人が発言しやすくなり問題解決や生産性の向上が達成しやすくなる特徴がある。Uniposではビアボーナスによる人事評価機能を手軽に使用できる。
https://unipos.me/ja/
まとめ
モチベーション管理システムは、離職対策になるだけでなく組織改善の第一歩ともなる。多様な特徴を持つツールがあるため、今回紹介したポイントを参考に自社に適したツールを導入し、人事課題の解決につなげてほしい。











