ジョブ型人事制度の実態に関する調査結果
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渋谷和久)は、ジョブ型人事制度の実態に関する調査結果を発表した。
導入状況
従業員規模300人以上の日本企業において、ジョブ型人事制度をすでに導入している企業の割合は2割未満。導入を検討している企業の割合は約4割となった。
企業属性別にみると、従業員数が多かったり、子会社を抱えるグループ企業であったりするなど、企業規模が大きくなるほど導入・検討の割合が高くなる傾向にある。
導入目的
企業規模が大きいほど「導入済み・導入検討」の割合が高くなるのは、グローバルで人事制度を統一したい狙いのほかに、賃金が年功的になっている中高年層の処遇に対する課題感が強いことがある。ジョブ型導入の目的に関する調査結果をみると、「従業員の成果に合わせて処遇の差をつけたい」で6割強、「若手の登用を促進したい」で4割強、「組織の新陳代謝を促進したい」、「年功的な賃金カーブを是正したい」で約4割となっている。
調査結果を基に分析したところ、導入を検討している企業には、中途採用者の離職率が高く定着に課題を抱えている、デジタル・ITを重視しているといった特徴もみられた。
導入しない理由
ジョブ型を導入しない理由としては、今の人事制度が自社のビジネスに適合しているとの回答割合が最も高く6割近かった。
等級制度の適用状況
等級制度の適用状況をみると、一般社員には「能力」等級制度を、管理職には「職務」等級制度を適用している企業が多い。自社の職務・ジョブを序列化する職務等級制度はジョブ型の基礎となる制度であるが、労働組合との交渉の必要性の薄い管理職を中心に導入が進んでいる様子が伺える。
人事制度変更の障壁
人事制度変更の障壁について聞いたところ、1位は「経営層からの承認」、2位「労働組合との交渉」、3位「管理職層の抵抗」となり、組織内の意見を調整する場面で苦労する傾向が強いことが伺える。
職務記述書の作成状況
ジョブ型で用いられることの多い職務記述書について、ジョブ型導入済みの企業では「ほとんどの職務に対して作成」との回答割合が過半数となった。
まとめ
昨今、ジョブ型雇用が耳目を集める中で、人事制度の改定や、職務等級の導入を検討している企業も多い。しかし、人事制度を変更するには、様々な組織・人との相当な調整コストがかかる。経営・人事として最適な人材マネジメントを検討する場合は、まずは制度運用についての現状把握とその改善から着手してみるのもいいだろう。
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