年度倒産件数は56年ぶりの6000件割れ【全国企業倒産集計2021年度報】
帝国データバンクは、2021年度の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。
<主要ポイント>
2021年度の倒産件数は5916件(前年度7314件、19.1%減)と、1965年度(5593件)に次ぐ過去2番目の低水準となったほか、半世紀ぶりの6000件割れを記録している。
2021年度の負債総額は1兆1828億7100万円(前年度1兆2174億6900万円、2.8%減)と、4年連続で前年度を下回り、2000年度以降最小だった前年度をさらに下回った。
業種別にみると、運輸・通信業を除く6業種で前年度を下回った。小売業(前年度1760件→1287件、26.9%減)は、公的資金の注入や金融機関の支援などで、大幅に減少。一方、運輸・通信業(同262件→273件、4.2%増)は、7業種で唯一の増加となった。
主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は4574件(前年度5726件)と、20.1%の大幅減。一方、「経営者の病気、死亡」は4年連続の増加となった。
負債額別にみると、負債50億円以上の大型倒産は前年度の23件から34件に増加するなど、全体の件数が大幅に減少するなか、比較的規模の大きな倒産が目立った。
地域別にみると、2年連続で全地域が前年度を下回った。2年連続で全地域減少となったのは2004年度以来17年ぶり。また、全地域が過去20年で最少を記録した。
態様別にみると、民事再生法は165件(前年度260件)と、施行後で最少となる200件割れとなっている。
「人手不足倒産」は114件(前年度比5.0%減)、2年連続の前年度比減少。「後継者難倒産」は476件(前年度比7.0%増)、2年ぶりの前年度比増加。「コロナ融資後倒産」は206件、2022年3月は集計開始後、最多の30件台を記録した。
「コロナの長期化」が倒産抑制効果を発揮へ
2022年度の企業倒産は、「コロナ禍の長期化」で比較的落ち着いた推移を見せそうだ。コロナ禍が収束の兆しを見せないなか、当面は政府の金融支援が打ち切られる可能性は低い。そのため、経営不振に喘ぐ企業でも支援策に支えられる形で、却って倒産は小康状態での推移になるものと予想される。ただ、中堅・大企業など経営体力に余力のある企業ではアフターコロナを見据え、私的整理の活用などで早めの事業再生などに踏み切る動きもあり、減少が続く中小零細企業とは倒産動向が「真逆」になる展開も考えられる。
一方で、今後は歯止めのかからない円安の進行と物価高が、中小零細企業の経営に懸念材料となってくる。
まとめ
全国企業倒産集計2021速報が発表された。今後の展開への参考にしてみてはいかがだろうか。