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【企業の人事部に関する調査結果】戦略人事を実現できている日系企業は29.7%

2022.05.16

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:渋谷和久)は、企業における戦略人事に関する調査結果を発表する。本調査は、必要性が高まっている「戦略人事」に関して実態を定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施した。

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分析コメント(パーソル総合研究所 上席主任研究員 佐々木 聡 氏)

1990年代にその概念が登場した「戦略人事」。近年になって、グローバル化の加速、コロナ禍による働き方の変化、SDGsによる企業の健全なる持続性、多様性が問われる過程で日本型雇用の限界が露呈し、ジョブ型雇用転換への波が押し寄せてきたことで、再び注目が集まっている。

しかし、今回の調査結果から、「戦略人事」の実現はまだ道半ばである実態が見えた。また、戦略人事を推し進める上で着目すべき点としては、次の3点が挙げられる。

【1】本社人事による「選択と集中」

重要であると認識されながらも、その実行が伴っていない人事施策が散見された。人員や時間といったリソースに限りがあるなかで戦略人事を推し進めていくためには、重要施策の選択と、それを担う部署(本社人事またはHRBP/事業部人事)への責任と権限の集中が決め手となる。

【2】戦略人事に欠かせないHRBP/事業部人事の再定義からはじめる

戦略人事の実現に向けて、HRBPや事業部人事といった部門人事の存在が、本社人事と同様に不可欠であることが調査から明らかになった。一方で、HRBPの存在・役割についての人事部管理職の認知・理解度は高いとはいえない結果であった。戦略人事をさらに推し進めていくには、改めて部門人事(HRBP/事業部人事)と本社人事の位置づけ、役割・機能を再定義し、経営と事業に資する人事としての責任と権限を明確にすることが必要だろう。

【3】戦略人事のインフラとして人事データの活用を進める

調査結果では、人事情報の一元管理ができている企業ほど、戦略人事が実現できている傾向が見られた。《経験・勘・記憶》のOld3Kによる「なんとなく人事」から、《客観・傾向・記録》といったNew3Kによって「より確かな人事」へと変貌していくことが戦略人事実現への確実な道である。多様な雇用形態、働き方の変化による人事業務の複雑性に対処していくためにも、人事データやタレントマネジメントシステムは、アジリティとサステナビリティ強化に必要不可欠なインフラになり得るだろう。

まとめ

戦略人事の実態が明らかとなった本調査。自社の取り組みの参考にしてみてはいかがだろうか。