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シニア社員がモチベーション高く働くには?「シニア社員の活躍推進」について専門家が解説

2022.09.07

2021 年 4 月施行の改正高年齢者雇用安定法によって、企業には 65 歳までの雇用確保が義務として、70 歳までの就業機会確保が努力義務として課せられた。また少子高齢化の影響もあり、多くの企業でシニア社員の活性化への期待とともに課題の声も聞かれる。多くの企業のシニア社員活躍推進支援を行ってきたリクルートマネジメントソリューションズの専門家が「シニア社員がモチベーション高く働く方法」について解説した。

以前と同じように働ける高齢者は実は多い

内閣府の調査では、60 歳以上の約 70%が、一定年齢まで、あるいは働けるうちはいつまでも働きたいと思っている(※)。また、経営学・社会心理学などの学術的研究からは、年を重ねたからといって職務パフォーマンスが低下するわけではなく、むしろ結晶性知能は高まるケースがよく見られる。さらに、組織貢献意欲、内発的動機、誠実性や協調性、職務満足度も上がる傾向がある。つまり、以前と同じように働ける高齢者は実は多いのである。(※)内閣府(2015)「平成 26 年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」

ただし、高齢の就労者は多様だ。職歴、役職経験、家族構成、金融資産、社外ネットワーク、働く動機、不安の要因などが一人ひとりまったく異なる。「物忘れが多い」「テクノロジーに弱い」「変化に弱い」といった高齢者に対するアンコンシャス・バイアスがあるが、こうした傾向も、実際は人によってかなり違う。「アフターミドルは○○だ」と一括りにして扱わないことが肝要だ。

シニア社員の可能性を拓くための「短期的施策」と「長期的施策」

●短期的施策
多くの場合、会社からの期待はシニア社員に明確には伝わっていない。一方で、本人もやってみたいことがはっきりしていないことが多く、たとえ明確に分かっていても会社にどこまで言ってよいのか躊躇するのが普通だ。丁寧な対話によってすり合わせることで、期待と志向の両方が明確になり、一人ひとりに合った将来が具体的に見えてくるはずだ。加えて、カウンセリング・研修・出向・学び直しなどのキャリア・トランジション支援が効果を発揮する。

●長期的施策
長期的施策としては、今後は若いころからキャリア自律を促す必要がある。また、シニア社員の可能性を拓くような人材マネジメントポリシーを作ったり、管理職以外の仕事を傍流扱いにしないような風土を醸成したり、貢献報酬型、デュアル・ラダー、役職定年制度などの人事制度を見直したりする施策にも効果があるだろう。

まとめ

シニア社員は、キャリアの棚卸しから始めてみてはいかがだろうか。上司や人事担当者は、まずはそのようなシニア社員の意見に耳を傾けることが大切だろう。