スモールビジネス向け受取請求書処理サービス「ペイトナー請求書」提供開始

ペイトナー株式会社は、請求書の振込業務を自動化する「ペイトナー請求書」の提供を開始した。GMOあおぞらネット銀行のサービスを活用したものであり、請求書処理業務まわりのミスの防止や省人化につなげられる。
ペイトナー株式会社:BtoB決済サービスの提供、与信モデルの企画・開発・運営を行う。利用件数3万件を超えるスモールビジネス向けサービス「ペイトナーファクタリング」を提供。旧yup株式会社。2019年2月設立。
スモールビジネスの請求書振込業務を自動化
ペイトナー株式会社は、受取請求書のデータ化や振込業務を自動化する「ペイトナー請求書」の提供を開始した。主にスモールビジネス向けのサービスであり、無料での利用も可能だ(振込手数料は別途)。受け取った請求書のデータ化や会計システムへの連携、振込実行などを自動化し、ミスの防止や省人化につなげられる。ペイトナー請求書は、GMOあおぞらネット銀行のAPIと為替資金預り口座を活用したものである。ペイトナー社と、No.1テクノロジーバンクを目指す同行 が手を組み、スモールビジネスが抱えるお金の課題にアプローチする。
請求業務のデジタル化によって、ミスの防止や省人化を実現させたい
ペイトナー請求書であれば、請求書のクラウド保管・データ化、振込業務までを一元的に行える。請求書の情報はAI-OCRなどによって自動的に読み込まれるため、データの手入力は必要ない。またGMOあおぞらネット銀行との連携により、同行に開設した為替資金預り口座から、設定した日時に自動的に振込を実行させられる。
具体的な利用の流れは以下の通りだ。取引先から請求書が届いた場合、そのPDFや画像をペイトナー請求書に登録する。そうすれば、AI-OCRもしくは専属のオペレーターによって請求情報がデータ化され、そちらを既存の会計ソフトに登録することができる。また、そのデータに基づきGMOあおぞらネット銀行口座に支払い指示が飛ぶようになっている。定められた日時になればGMOあおぞらネット銀行口座から振込が実行されるため、振込のタイミングでネットバンキングなどを操作する必要はない。
これによって、振込ミスや請求書紛失の防止にもつながる。また請求書の回収状況もリアルタイムで把握できるため、請求書未収の企業に対しては早急にリマインドを出せるようになる。税理士との連携にも使えることからコミュニケーションの簡素化にも貢献できる。
さらに、ペイトナー請求書は改正電子帳簿保存法などに対応している。法対応のコストを低下させることで、法令遵守の契機としたいところだ。

なお現在キャンペーンを展開しており、一部項目を利用者が入力する無料プランのほか、月額10,000円(税抜)の有料プランも2023年3月31日までは月額無料で利用できる(振込手数料は別途必要)。
スモールビジネスにも、請求書のデジタル化の恩恵を
一般に、スモールビジネスでは経理業務が大きな負担となっている。同社としても、多くのスモールビジネスの資金管理が不十分であると、定期的なユーザーインタビューを通して実感しているという。
同社は、資金管理の中でも請求書処理業務に着目した。これは、顧客インパクトが高く、さらに既存事業とのシナジーから顧客に大きなメリットを与えられると考えたためである。例えば代表一人で経理をしている小規模事業者の場合、請求書処理業務が集中する月末・月初には残業を余儀なくされるケースも多くあるだろう。そうした企業が抱える課題にアプローチしたいというのが同社の想いだ。
さらに、インボイス制度、改正電子帳簿保存法への対応に苦慮しているスモールビジネスも多い。日本・東京商工会議所の調査によれば、インボイス制度導入への準備状況について売上高1千万円以下の事業者のうち6割以上が「特に何もしていない」と答え、電子取引のデータ保存への対応状況について同じく売上高1千万円以下の事業者のうち約6割が「内容をよく理解しておらず、何もしていない」と答えている。ペイトナー社がインタビューを行う中でも、インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応状況が芳しくないことを実感しているという。
日本・東京商工会議所『「消費税インボイス制度」と「バックオフィス業務のデジタル化」等に関する実態調査結果』(2022年9月8日)より引用
https://www.jcci.or.jp/20220908kekka.pdf
請求書処理業務をデジタル化するサービスはたくさんある。しかし、いわゆるエンタープライズと呼ばれる企業を対象としたものが多く、ペイトナー請求書のようにスモールビジネス向けのサービスはほとんどなかったと同社は話す。エンタープライズ向けであれば、社員からの回収や仕訳機能の実装をはじめとした広範なサービス展開がなされており便益が大きい反面、導入や運用のコストも小さくはない。その点、専属の経理担当者がおらず税理士にお願いしているような小規模法人・ベンチャー企業にとって必要十分なサービスが求められていたと同社は分析しており、今回のペイトナー請求書のリリースにつながった形だ。
ユーザーにとっての利便性向上を目指して
現在、ペイトナー請求書は請求書処理に焦点を絞っているが、ゆくゆくは給与支払や経費精算などにも領域を拡大させていきたいと同社は考えている。また、本サービスの背景にあるキャッシュコントロールの思想をより強く具現化させるため、ファクタリング事業との連携も見据えている旨を表明した。
また会計システムとの連携として、freeeとのAPI連携を進めていることを明らかにした。今後のリサーチ次第と付言しつつも、マネーフォワードや弥生との連携も進めていきたいという意向も示した。
GMOあおぞらネット銀行のコメント

会見には、GMOあおぞらネット銀行も同席した。同行はスタッフの40%以上をエンジニアが占め、テクノロジーを駆使して安さ・速さ・安心・新体験・便利さを提供している。中長期戦略として、スモール&スタートアップ向け銀行No.1、組込型金融サービスNo.1、テックファーストな銀行No.1を掲げる。
同行は、ペイトナー請求書にも組み込まれている「かんたん組込型金融サービス」を提供している。こちらは、エンドユーザーにとってより良い価値を事業者が提供できるようにするために、銀行機能をパーツごとに分解した上で事業者サービスにそのパーツを組み込むサービスである。どうすれば事業者サービスの価値を最大化できるのかを考えつづけ、累計352契約(2022年8月31日時点)を誇る。
かんたん組込型金融サービスをペイトナー請求書に組み込むことで、請求書保管から振込管理までを一気通貫にして、小規模事業者にとって使いやすいサービスを追求することに焦点を絞って開発を進めた。複数のサービスをシームレスにつなげるだけではなく、ユーザーから見るとあたかも1つのサービスだと感じられるような設計が大切なのだと同行は話す。本来は銀行が行う業務をペイトナー社のサービスに「隠す」ことができるので、ユーザーから見ると余計な作業が必要ない、一気通貫のサービスにつながったようだ。
