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ロジカルに分析しデザインへ落とし込む  ハイブリッドワーク時代に求められるオフィスのあり方とは

2022.09.26
オフィスのミカタ編集部

コニカミノルタジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:大須賀 健)は、2022年9月21日に「空間デザイン事業に関する取り組み」を紹介するメディア説明会を開催した。同社では他に先駆けて2013年から働き方改革プロジェクトを実施し、2021年には本社オフィスをハイブリッドワークに対応する新たなオフィスへとリニューアルした。同時に他社への価値提供も行っている。今回はそうした取り組みや新たなサービスについてお伝えする。

働き方とその課題の「みえる」化

同社では、早くから働き方やオフィスの変革を経営課題として捉え、実践してきた。2014年の本社移転に先駆け、2013年から「いつでも、どこでも、だれでも働ける環境づくり」の実現に向けたプロジェクトを発足。2016年には全社での保管文書ゼロ化、2017年には全社でのテレワーク導入などを経て、2018年には「いいじかん設計」のコンセプトを打ち出し、時間や場所に縛られない働き方の実践と、労働生産性の向上に舵を切った。

その後、2021年5月に、本社オフィスをリニューアルし、Activity Based Working(ABW)を導入し、「つなぐオフィス」としてオープンした。つなぐオフィスでは、「仕事内容に合わせて社員が自律的に働く場所を選択する」を念頭に置き、オフィスとして必要な要素を考え、実装。

また、こうした動きに合わせて、自社の取り組みのノウハウを他社へも提供する、空間デザイン事業を展開している。コニカミノルタではミッションとして、独自の「Imaging技術」で時代と共に変化する顧客の「みたい」に応え、人々の生きがいを実現した。空間デザイン事業では、「働き方とその課題の可視化」に応えている。

いつでも、どこでも、誰とでも働ける環境づくり

労働環境を取り巻く日本の現状としては、労働生産人口の減少や労働生産性の低下への対策、災害・情勢変化への備えとしてのBCP対策が、求められている。こうした対策は、優秀な人材の確保にあたって欠かすことができず、企業の持続的な成長には、多様な働き方の実現と、働く場の進化が、待ったなしの状態といえる。

こうしたなか同社では、独自に設定した「いいじかん設計」のコンセプトに基づき、労働環境の課題を「オフィス空間づくり」、「テレワーク環境の構築」、「業務生産性の実現」の3つの観点からアプローチし、「いつでも、どこでも、誰とでも働ける環境づくり」を目指している。

「いいじかん設計」では、働く時間を「作業じかん」「創造じかん」「自分じかん」の3つに分け、作業を効率化する一方で、創出された時間を「創造」や自己成長のための時間にシフトする。社員一人ひとりが、さまざまな経験を通じて、スキルや人間性、創造の幅を広げることを目指す、という。

ハイブリッドワークとそれに対応する「つなぐオフィス」

同社では2013年より働き方改革プロジェクトを発足するなど、社会に先駆けて働き方改革を実践してきた。そのため、コロナ禍においてもスムーズに働き方を移行できた。一方で、改めてオフィスで働く意味や価値を見つめなおす必要があると認識。「目的に合わせて出社とテレワークを柔軟に使いこなすハイブリッドな働き方こそ、これからの時代に求められる働き方」だと考え、本社オフィスを「つなぐオフィス」へとリニューアルした。

コロナ禍でも、柔軟にテレワークに移行したが、テレワークと出社、それぞれのいいところをかけ合わせた、ハイブリッドワークへの模索に取り組んでいる。こうしたなか、つなぐオフィスでは創造性、業務効率、エンゲージメントの3つの価値を高めるオフィス、として設計している。

自社オフィスを活用した空間設計と働き方の実験

つなぐオフィスでは、リアルの空間体験の効果が高まるように、7つの「High」を実現する空間設計を導入している。例えば「High Focus」は、集中のためのスペース。3方向を囲ったブース席など、5つの設えが実装されており、集中力や作業効率への影響を検証している。社員からのアンケートによると、集中力を向上させるためには、周囲の情報を遮断でき、話しかけられない環境が求められることがわかった。

「High Creativity」は、創造性を高める空間。リラックスして仕事ができるよう、植物に囲まれたスペースがあるほか、旅客機のビジネスクラスのようなリクライニングチェア、さらにはプラネタリウムが見られる個室など、さまざまな設備が用意されている。


創造性を高めるには、リラックスした空間で複数人でアイデアを出すことが効果的、という仮説のもと、こうしたスペースを用意した。一方アンケートからは、創造力を高めるには、一人で考えを巡らせる方法と、複数人でアイデアを出し合う方法の2種類あることがわかった。実際社員の多くは、「High Focus」と「High Creativity」の両方のスペースを組み合わせて利用していた。

アンケートによると、20代や30代の若い社員を中心に、コミュニケーションを目的に出社することがわかった。こうした世代は、社内での人脈がまだ形成されておらず、情報収集や何気ない会話を求める傾向にある。また、リアルの打ち合わせは、オンラインミーティングと比べ、「熱量」が伝えやすい、という意見が多かった。こうしたことから、オフィスでのコミュニケーションにより関係性強化や作業効率の向上を実現したい、という実態が浮かび上がった。

さらに設備環境が充実していること、気持ちの切り替えができるなど、多様な働き方をする中で「働く」ことの効果を最大化させるために、オフィスが必要とされていることが、社員の意見から見えてきた。実際、社員の76%はテレワークとオフィスワークの両方を、業務目的に応じて柔軟に使いわける、ハイブリッドワークを実施している。

他社のオフィスづくりの支援

同社では、こうした自社での実践を基に、そのノウハウを共有し、他社のオフィス変革をサポートする、空間デザイン事業を展開している。つなぐオフィスは、オフィスや働き方を模索する顧客からも注目されており、オフィス見学ツアーへの参加者が増加している。働き方や働く環境を目の当たりにすることで、自社の働き方の改善に前向きに取り組む傾向が出ている。

農機具を手掛ける株式会社クボタでは、既存の本社オフィスにグループ会社18社を集約するという、新たなオフィス運用を模索していた。しかしこれにより、従業員数が1.4倍に増加するため、スペースを有効活用できるオフィスにしたいという課題が浮上。そこで、コニカミノルタジャパンでは、ペーパーレス・ストックレス化の取り組みを支援した。

結果、79%の文書を削減し、スペースの有効活用を実現。さらに、在宅勤務制度導入後の働き方に合ったオフィスとして、ABWオフィスにリニューアルした。関係各所と密に調整を行い、適切にプロジェクトを推進したプロジェクトマネジメントと、要望や思いを汲み取り、デザインなどに的確に落とし込む高度な提案力が評価された。

働く環境をロジカルに分析しデザインへ落とし込む新サービス

コニカミノルタジャパンでは、各組織の役割やワークスタイルを行動性の観点から、ロジカルに分類・分析しオフィスレイアウト・デザインに落とし込む手法として、新たに「Programming Design Task Flow」のサービスを開始する。

社員の行動特性や各種活動をもとに働き方を分析し、働く環境をロジカルにデザインする手法や、社員巻き込み型のワークショップを通して、現状や課題の洗い出しから理想の働き方のアイデアを創出する手法で、生産性やエンゲージメント向上をサポートしている。オフィスデザインは、一般的におしゃれで居心地よいという、直感的な感覚で判断されることが多い。しかし同社のオフィス変革では、自社の働き方改革の意図を汲み、課題を把握してロジカルにデザインしている。最適なワークプレイスは会社、職種ごとに異なるため、ワークスタイルの整理から取り組む。

ハイブリッドワークは、これからの時代に欠かせない働き方である一方、ハイブリッドワークの取り組み方によっては、「企業らしさ」を失いかねない。すると企業としての良さも失われてしまう。企業らしさを保ちながら、自社に合わせた働き方の塩梅を、模索する時期にあるのではないか、と事業を統括する宮本晃氏は指摘した。