ゲームチェンジャー人材創出に向けた経営を多方面から議論【WHGCフォーラム2023春】

企業の未来を牽引する人材創出のための会員制フォーラム「World Healthcare Game Changers Forum(WHGC)」は、去る2023年3月16日(木)に 「羽化せよ!ゲームチェンジャーたち 〜公益資本主義と人材創出 世界が憧れる日本へ」をテーマにイベントを開催した。
WHGCフォーラム2023春のアーカイブ映像および、1万字で読むダイジェスト
50年後、100年後の日本を私たちは、どんな社会にしたいのか?

■「公益資本主義のもと、生産性の向上と公正な分配を実践する経営へ」 (原丈人氏)
WHGC設立発起人である原丈人氏(アライアンス・フォーラム財団 会長)から、日本の未来に向けた提言と、その実現に向けたWHGC設立の目的が語られた。
「企業に求められるのは、生産性の向上と上がった利益の公正分配である。そのためには高い理念を持った経営と、俯瞰的に物事を捉えられる人材を社内に数多く創出することが重要だ」。
目指すべきは全要素生産性の向上

■「生産性運動3原則に全ての経営者は立ち返るべき時だ」 (レンゴー 代表取締役会長兼CEO 大坪清氏)
基調講演では、大坪清氏から企業が目指す生産性とは、雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配という3原則が重要であると、力強く語られた。
「生産性向上とは、単に生産力を上げる取り組みをいうのではない。資本など量的な要素だけではなく、測定できないが生産性に影響をもたらすあらゆる要素を含めた全要素生産性を高めるべく、不断の進歩を目指す経営が肝要だ」。
価値ある失敗を認める社会づくりと、俯瞰的な視点を持った人材づくり

神戸大学 近藤昭彦氏(写真左)、塩野義製薬 小林博幸氏(同中央)、デフタ・キャピタル 葛城禎之氏(同右)による、パネルディスカッションでは、新産業創出に向けたビジョンや課題について、議論が交わされた。
「社会課題解決と収益化は両立できる、技術で社会は変えられる、という姿を示す。失敗も含めてさらけ出すことで、次代のゲームチェンジャーを志す若者を増やしていく」(近藤氏)。
「強みを補い合いながら双方が成長していけるフラットなパートナーシップも重要だ。事業規模や領域に関わらず連携していくことで、新たな価値創出が促進される」(小林氏)。
「ベンチャー企業の経営者は強い信念と、知的好奇心、情熱を持っているが、それだけでは不十分。なぜこの会社が社会に存在しなくてはならないのか?俯瞰的な視点を持った人材を育てていく必要」(葛城氏)。
社会課題を問う力を磨く 〜 WHGC分科会報告

人材創出のエコシステムとして、WHGCが力を入れているのが分科会だ。2022年10月〜2023年3月までの第1期 分科会の活動報告が行われ、WHGCとして今後取り組んでいく社会課題を4つの問い、という形で提示された。
写真左より、「医療制度チーム」岡本将隆氏(JCRファーマ)、「食の未来チーム」大森健氏(江崎グリコ)「Well-Beingチーム」大西聡子氏(JCRファーマ)、「健康寿命チーム」笹岡歩氏(日清食品)
4月からWHGC分科会の第2期がスタート。会員企業から次世代のリーダー候補が集結し、社会課題の本質を問い、解決の糸口を議論していく。
ゲームチェンジャー創出へ。一人でやらない。皆でやるから社会が変わる!

公開討論では、ゲームチェンジャーを社内で創出していくために求められる経営のあり方について、幅広い業界の経営者および教育者が登壇。これから重要となる人材像や、その創出に向けた、組織や仕組みのあり方などについて、幅広い意見が交わされた。
「自らが課題を見つけて問い、仮説でも良いので答えを出す、本分が大切だ。そこでは幼虫がさなぎへと羽化するような様態変化を繰り返す必要。本分と羽化を繰り返すことが、人を絶えず成長させるプロセスだ」(江崎グリコ 本澤豊氏・左写真)。
「自分たちだけではやってはダメだ、という気概が必要。課題解決に立ち向かう人や組織の環を広げることが大切だ。一人でやってはいけない。皆とやればそれが社会に貢献することになり、社会を変えうる。それこそがゲームチェンジャーだ」(デフタ パートナーズ 神永晋氏・右写真)。
まとめ
企業にとって真の生産性向上とは何か、ゲームチェンジャー人材を社内で創出していくために必要なことは何か、幅広いジャンルの経営層やアカデミアが集結し議論した本イベント。アーカイブをチェックしてみてはいかがだろうか。