企業倒産13カ月連続で前年同月を上回る【全国企業倒産集計2023年5月報】
帝国データバンクは、2023年5月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。
企業倒産は694件、負債総額は2797億4000万円
倒産件数は694件(前年同月517件、34.2%増)となり、13カ月連続で前年同月を上回った。4カ月連続で前年同月から100件以上増加したほか、5月単月で600件を超えたのはコロナ禍前の2019年以来4年ぶり。
負債総額は2797億4000万円(前年同月785億4000万円、256.2%増)と、前年同月を大幅に上回った。2カ月連続で2000億円を超えたのは2012年11月以来、10年6カ月ぶり。
主要ポイント
<業種別>
『運輸・通信業』を除く6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月124件→159件、28.2%増)が最も多く、15カ月連続で前年同月を上回った。『小売業』(同87件→150件、72.4%増)は前年同月から63件の大幅増だった。
<主因別>
『不況型倒産』の合計が563件で、2カ月連続で全体の80%以上を占めた。
<態様別>
「破産」が651件発生し、14カ月連続で前年同月を上回った。
<規模別>
負債「5000万円未満」の倒産が405件で、小規模な倒産増加が目立った。
<業歴別>
『新興企業』の倒産が214件発生し、15カ月連続で前年同月を上回った。
<地域別>
9地域中7地域で前年同月を上回った。『東北』(前年同月24件→38件、58.3%増)は「建設業」(同4件→11件)などで増加が目立った。『関東』(同190件→267件、40.5%増)は、3カ月連続で前年同月から40%を超える大幅増となった。
注目の倒産事例
<コロナ融資後倒産>
2023年5月は52件発生 損失総額は推計約470億円
<人手不足倒産>
2023年5月は15件発生 1-5月累計では過去最多ペースで推移
<物価高(インフレ)倒産>
2023年5月は67件発生 前月から微減も高水準で推移
<後継者難倒産>
2023年5月は42件発生 過去最多であった2022年の月平均上回る
調査概要
集計期間:2023年5月1日~5月31日
発表日:2023年6月8日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
まとめ
コロナ禍で疲弊した多くの中小・零細企業の現場では、物価高や後継者難など、経営を左右する複合的なマイナス要因に直面し、先行きを悲観して事業継続を「あきらめる」ケースが足元で増加。2023年後半にかけて企業倒産の増加ペースは早まると予想される。