公表義務化企業の男性育休取得率は46.2%【令和5年度 男性の育児休業等取得率の公表状況調査】
2023年4月に施行された改正育児・介護休業法により、男性の育児休業取得促進のため、常時雇用する労働者が1000人を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられた。これらをうけ、2023年7月31日に、厚生労働省「イクメンプロジェクト」による「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(以下「本調査」)の結果が公表された。
従業員数1000人超の企業の男性育休等取得率は46,2%
今回調査に回答した、従業員数1000人超の企業の結果では男性育休等取得率が46.2%となった。法改正により、男性育休等取得率の公表が義務付けられた効果により、対象となった企業では取組が進み育休等取得率が高まったと考えられる。
一方で男性の育休等取得率と平均取得日数には、弱い負の相関(男性の育休取得率が高いほど、平均取得日数は短くなる)が見られた。
注:計算方法の関係上、育休取得率は100%を超える場合がある。
育休取得率公表により人材獲得の面で効果も
男性育休取得率を公表した企業が感じている効果・変化では、「社内の男性育休取得率の増加(33.1%)」、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化(31.5%)」、「新卒・中途採用応募人材の増加(8.3%)」 の順で回答が多い結果となった。これにより、育休取得率の公表で育休取得の促進だけでなく、人材獲得の面でも効果を感じている企業があることがわかった。
「育休事例の提供」や「育休に関する研修」が取得率向上のカギ
育児・介護休業法では育児休業を取得しやすい職場の環境整備を企業に義務付けており、その取組状況を育休取得率別に見ると、男性の育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供(+36.0%)」や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施(+24.4%)」の取組割合が高い傾向が見られた。
調査概要
調査期間:2023年6月5日~2023年7月10日
調査回答企業:1472社(1000人超の企業に絞れば1385社)
アンケート監修:東京海上ディーアール株式会社 製品安全・環境本部
まとめ
約1割の企業が男性育休取得率を公表した効果として「新卒・中途採用応募人材の増加」と人材獲得上のプラス効果を上げている。人材獲得に課題のある中小企業ほど、男性育休に積極的に取り組むことが経営戦略として欠かせないのではないだろうか。