国内初! NEC「KMD Connect」が大塚商会と連携 デジタルインボイス効果発揮へ

NECは、NECの子会社でデンマーク最大手のIT企業であるKMDのデジタルインボイス送受信サービス「KMD Connect」を本年9月から日本国内向けに提供開始する。KMDのサービスを国内で提供するのは初めての試みだ。オフィスのミカタ編集部では、提供開始の背景や期待する効果などを取材した。
デジタルインボイスに対応した「KMD Connect」
2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始され、事業者は消費税率や消費税額などを請求書内に明記することが求められるようになる。こうした中でデジタル庁は、請求書情報をデータでやり取りするグローバルな仕組みである「Peppol」をベースとした日本のデジタルインボイスの標準仕様「JP PINT」の普及・定着の取り組みを進めている。
NECによると、KMDは「Peppol Service Provider」として認定を受けており、「JP PINT」に対応したサービスとして「KMD Connect」を提供するとのこと。国内で初めての提供となる本サービスでは、各企業のERPシステムで発行された請求データを請求元から請求先にPeppol形式、メール配信(PDFダウンロード)および郵送代行(今後対応予定)の3つの方式で送付することができる。
同社は本サービスの特長として「欧州での15年以上にわたる高信頼なサービス提供実績」「グローバルにおいてもスムーズなデータ連携が可能」「異なるフォーマットに対応することで導入コストを抑制」を挙げている。
国内で提供するに至った背景について、同社担当者は次のように説明する。
「日本国内向け電子インボイス仕様が国際規格の『Peppol』に準拠すると決まったので、ヨーロッパでの稼働実績を持つKMD Connectを活用したサービス開始に向けて、検討を進めてきました」
またKMDはデジタル先進国であるデンマークにおいて確固たる地位を築いていることから、「KMDの持つソリューションを通じて日本のDXをサポートしていきたいと考えております」(担当者)という。
大塚商会との連携で発揮される真のデジタルインボイス効果
同社では、まずは9月から株式会社大塚商会のDX統合パッケージと連携して「KMD Connect」の提供を開始する。DX統合パッケージは、従来独立していた基幹系システムと情報系システムのデータベースを統合することでデータのシームレス化を実現したソリューションパッケージで、企業のDX基盤づくりを支援している。連携でどのような効果を期待しているのだろうか。
「デジタルインボイスは共通のデータフォーマットを用いてデジタルで送受信するための仕組みです。企業が利用するシステムで効率的にデジタルインボイスを処理するためには、販売システム、会計システムがデジタルインボイスを取り込む必要があります。大塚商会様のDX統合パッケージにこれらシステムが含まれており、デジタルインボイス送受信サービスであるKMD Connectと連携することで、デジタルインボイス導入の真の効果が発揮できます」(同社担当者)
デジタル化の遅れに伴う課題を解決するソリューション
2019年にNECグループの一員となったKMDは、50年以上にわたりデンマークの公共・民間企業にITサービスを提供しており、特に自治体向けでおよそ50%の高いシェアを有するなど、世界トップレベルを誇るデンマークの行政デジタル化を支える企業である。今後もNECはKMDと連携して、事業者のバックオフィス業務のデジタル完結による効率化を支援するとしている。
今年度下期にはNECでもサービス単体での提供を開始するとともに、NECのERPパッケージ「EXPLANNER」と連携しての提供を予定しており、「日本におけるデジタル化の遅れに伴う課題を解決するためのソリューションとして「KMD Connect」が利用されることを目指しています。KMD Connectは、送り手と受け手の間で請求書や書類を交換するデジタル・プロセスを簡素化し、合理化を可能にすることから、国内でも欧州と同様の効果を上げることで企業DXの推進につなげていきたいと考えています」(同社担当者)と述べた。