「中小企業のDX推進に関する調査」DXに取り組む企業は増加傾向
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は10月10日、各支援機関、中小企業者等が今後の対応方針を検討するための基となるデータを提供することを目的に実施した「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)」の結果を公表。2022年5月に実施した前回調査と比較した結果についても発表している。
実施の目的
大企業を中心に多くの企業がDXに取り組んでいる。一方、中小企業においては、前回(2022年5月)の調査で、DX自体の認知度は高いものの、現状では大半の企業が未だデジタル化の途上にあることが判明した。そこで、中小・小規模企業におけるDXへの理解や取組みの進捗状況を把握するとともに、改めて取り組むための課題や期待する支援策を調査することで、各支援機関、中小企業者等が今後の対応方針を検討するための基となるデータを提供することを目的とする。
DXの取組み状況
DXに「既に取組んでいる」「取組みを検討している」は合わせて31.2%となり、前回調査から6.4ポイント増となった。一方、取組む予定はない企業も37.2%存在する。
具体的な取組内容としては、DXの取組企業・取組み予定企業では「文書の電子化・ペーパーレス化」が64.4%で最多となった。前回調査を26.9ポイント上回り、文書の電子化・ペーパーレス化の進展が伺える。クラウドサービスの活用については、概ね社内の管理業務で活用している企業が多い。
課題トップは人材と予算
DXに取り組むに当たっての課題は、「ITに関わる人材が足りない(28.1%)」「DX推進に関わる人材が足りない(27.2%)」「予算の確保が難しい(24.9%)」などが上位に挙げられた。DXに「取り組む予定はない」企業では、「何から始めてよいかわからない」が31.1%と高い割合を示した。
補助金・助成金に期待
DXの推進に期待する支援策については、「補助金・助成金」が49.3%で最多。次いで「中小企業のための DX 推進指針の策定・公表(22.6%)」「公的支援機関や専門家による経営相談(14.3%)」が続く結果となった。
調査概要
調査日時:2023年7月28日~8月1日
調査方法:Webアンケート
調査対象:全国の中小企業者等 1000
まとめ
調査の結果、DXに取り組んでいる企業は前年の調査に比べて増加傾向にあることが明らかとなった。DXの取組みにハードルの高さを感じている中小・小規模企業も少なくないようだ。DX推進の課題として本調査では、IT・DXに関わる人材不足と予算の問題をあげている。
DXの取組を進めるにあたっての課題について総務省の調査でも「人材不足」「費用対効果が不明」「資金不足」などが上位となっており、予算や費用対効果を知るためにもまずはITやDXに関わる人材の育成が急務となるだろう(※1)。
※1出典元:国内外における最新の情報通信技術の研究開発及び デジタル活用の動向に関する調査研究の請負 成果報告書