適格請求書で不備が多かった上位3項目は消費税率・税額の記載に関する項目
Sansan株式会社は、10月より開始したインボイス制度の実態を把握するため、特許出願中であるBill Oneの適格請求書判定機能を活用し、適格請求書の要件を満たせずに「要確認」と判定された項目のトップ5を発表した。
情報公開の背景
2023年10月1日よりインボイス制度が開始された。制度開始に伴い、経理担当者は自社で受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているか否かの確認を行う必要がある。適格請求書の必要項目の記載や消費税額の正しい記載などの確認が求められるほか、記載事項に不備があった場合は取引先に対して修正した適格請求書の交付を求める必要があるなど、請求書業務が複雑化する。
同社が11月20日(月)に発表した調査(※)でも、インボイス制度開始による業務課題の上位に「請求書業務の負担が増えた」「適格請求書かどうかの判定が想定以上に難しい」が挙げられた。そこでBill Oneでは、適格請求書の確認業務の実態を明らかにするため、記載ミスが多い項目を発表するに至った。
※:Sansan株式会社「Sansan、『インボイス制度開始後の実態調査』を実施」(2023年11月20日発表)
適格請求書で記載ミスが多かった項目
Bill Oneの適格請求書判定機能で、要件を満たせず「要確認」と判定された項目のうち、多かった項目5つとそれぞれの不備発生率は以下の通り。
1位:適用税率の記載がない(38.9%)
2位:税率ごとに区分した消費税額の記載がない(21.5%)
3位:税率ごとに区分して合計した対価の額の記載がない(11.3%)
4位:消費税額の計算に誤りがある(9.6%)
5位:取引年月日の記載がない(6.3%)
上位3項目は、消費税額や税率の記載に関する項目となった。同社が先日行った調査では、経理担当者からは「登録番号の記載があっても税率の記載漏れがあり、取引先に修正を依頼するのに手間がかかった(コールセンター業)」、「税率は10%と明記されているが、税率ごとの消費税額が表記されていない(小売業)」といったコメントが寄せられた。確認時には、消費税額・税率が正確に記載されているかどうか十分な注意が必要だ。
まとめ
インボイス制度が開始されたが、多くの企業で経理担当者が人力で制度対応をしていることが調査結果でも明らかになっている。システムを導入することは、制度対応への負担軽減だけでなく、業務効率化の側面からも必要と言えるだろう。中小企業庁はインボイス制度への対応に向け、企業間取引のデジタル化を推進。IT導入補助金で生産性向上を支援するとしている。活用を検討してみてはいかがだろうか。
参考:中小企業庁 IT導入補助金