【中小企業を取り巻くリスク 意識調査2023】中小企業の4社に1社が「実際に何らかの被害を受けた」と回答
一般社団法人 日本損害保険協会は、社会情勢や自然災害、国際情勢の影響など、企業を取り巻くリスクが年々変化しており、中小企業においても増加するリスクへの対策に加え、経営責任としての保険加入が重要になってきている状況を受けて、企業を取り巻くリスクに対する意識・対策実態調査を実施した。
調査概要
調査期間:2023年9月8日~9月11日
調査対象:中小企業の経営者および従業員※
調査方法:インターネット調査
サンプル数:1031サンプル
※損害保険契約関係者(決定権あり/選定関与)
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事業活動を行っていく上で86.4%が何らかのリスクを認識
同協会は本調査において、86.4%の企業が事業活動を行っていく上で何らかのリスクを認識していると回答したことを明らかにした。特に多く挙げられたのは「自然災害(50.7%)」「顧客・取引先の廃業等による売上の減少(38.0%)」「経済環境リスク(32.4%)」。他方で「感染症」や「顧客・取引先の廃業等による売上の減少」は3年間で低下している。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行等の影響だろう。
また、リスクを認識している企業のうちの76.3%がリスクを深刻に受け止めているとしている。
実際に被害を受けたのは約3割
本調査では被害の実態についても調査しており、何らかの被害を受けたことがあると回答した割合は27.9%、周囲で被害を受けたという話を見聞きしたことがある割合は40.8%となっている。
同協会が実際に被害を受けた企業に、具体的にどのようなリスクによって被害を受けたか質問したところ「自然災害」が3年連続で最多、次いで「顧客・取引先の廃業や倒産等による売上の減少」「経済環境のリスク」が続いた。
損害保険の加入実態
実際に被害に遭ったとする企業は「どのような対策をしておくべきだったと感じたか」との質問に46.2%が「損害保険への加入」と回答。次いで「貯蓄(35.4%)」「補助金等の活用(26.0%)」と続いた。
リスク別に見ると、特に「製造物に関する損害賠償(82.6%)」や「勤務中や移動中における損害賠償(76.5%)」に対して損害保険に加入しておくべきだったとする回答率が高くなっている。
サイバー保険の認知率が3年間で10.3ポイント上昇
本調査によればサイバー保険の認知率が3年間で10.3ポイント上昇し46.9%となっている。そのうちの26.6%は損害保険への加入によって対策していると回答。中小企業においても様々な領域でIT化が進んでいる一方で、サイバー攻撃の巧妙化・悪質化が年々進んでいることなどが背景にあると考えられる。
まとめ
8割以上が事業活動を行っていく上で何らかのリスクを認識していると回答したことから、中小企業のリスク意識の高さがうかがえる。リスクを組織的に管理し、損失等の回避または低減をはかる「リスクマネジメント」体制がより一層重視されるだろう(※1)。
近年、中小企業を取り巻くリスクは多様化が進んでいる。本調査結果を参考に、現在加入している保険の見直しや新たな保険への加入などを検討する機会としていただきたい。
※1出典元:リスクマネジメントの必要性