【インボイス制度対応の実態調査】対応が順調な企業は「従業員周知」と「業務デジタル化」に注力|Sansan株式会社
Sansan株式会社は、インボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソン(経理部門:700名、経理以外の部門:300名)を対象に「インボイス制度対応の実態調査」を実施したことを発表した。調査の結果、制度開始後3カ月が経過したにもかかわらず、いまだ3分の1以上の担当者が制度対応に課題を抱えていることが判明。順調に取り組んでいる企業の特徴などをまとめた。
調査実施の背景
2023年10月に開始したインボイス制度では、受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしていない場合、原則仕入税額控除の適用を受けられないため、企業は制度を正しく理解して対応する必要がある。制度開始から3カ月が経過した今、企業は制度対応にどのように対応しているのか。本調査はその実態を明らかにするため実施された。
いまだ3分の1の企業が制度対応に課題
本調査では、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況について「問題なく対応できている」と答えた人は66.4%、「課題が発生している」と答えた人は33.6%という結果に。制度開始から3カ月が経過したものの、いまだ3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えていることが明らかになった。
また、対応に課題を抱える企業では、経理は一人あたり月8.5時間、非経理は一人あたり月9.0時間の業務時間が増加していることもわかった。請求書業務に不慣れな非経理部門での混乱が続いていることがうかがえる。
また、制度対応で作業時間が増えた項目は「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認(64.8%)」「不備があった場合の修正対応(63.4%)」が上位となった。
順調に対応できている企業の特徴
続いて本調査では、インボイス制度に問題なく対応できていると回答した人に、円滑に対応するために取り組んだことを質問。最多は「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知(36.3%)」で、続いて、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化(35.3%)」が2位となった。
各社の取り組みは企業規模によって異なり、従業員数1001名以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101名~1000名の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100名以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多となっている。
経理業務をデジタル化したメリット
さらに、インボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業に、デジタル化して最もメリットを感じたことは何かを質問。「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」がともに14.1%で同率1位に。そのほかにも「郵送や開封などの紙の作業が減り業務効率化につながった(13.0%)」「人的ミスが減り正確性が向上した(12.3%)」「テレワークなど働き方が柔軟になった(12.0%)」などが挙げられた。
調査概要
調査名:インボイス制度対応の実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名
(経理部門700名、経理以外の部門300名)
※請求書を取り扱う業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指す
調査期間:2024年1月17日~2024年1月18日
調査企画:Sansan株式会社
※出典元:Sansan、「インボイス制度対応の実態調査」を実施
~制度開始から3か月、いまだ3分の1以上の企業で課題。対応が順調な企業は「従業員周知」と「業務デジタル化」に注力~
まとめ
制度開始から3カ月が経過したインボイス制度。いまだ3分の1の企業が課題を抱えており、特に請求書業務に不慣れな非経理部門での業務時間増加が目立つという調査結果になった。対応が順調な企業では、従業員への周知とデジタル化に注力していることも明らかに。自社のインボイス対応に課題があると感じているのであれば、調査結果を参考に業務フローを見直すきっかけとしていただきたい。
参考:国税庁インボイス制度特設サイト