日本のデジタルスキルは63カ国中62位!「人を巻き込む」データ活用とは? 0からデータ構築したLINEヤフー人事担当者が考えるデータ・AIとの向き合い方
2024年1月29日、LINEヤフー株式会社とキラメックス株式会社は、企業の人事担当および報道関係者向けに「データ・AIを使いこなす『人・組織』になるには」をテーマとした勉強会を開催した。
デジタルスキル、63カ国中62位の日本
デジタル技術の急速な発展に伴い、あらゆる産業活動や国民生活は、リアルタイムに情報やデータが活用・共有されるデジタル社会に変化している。しかし、経済産業省の調査によると日本は「人材/デジタル・技術スキル」が63カ国中、62位と低い。またデジタル人材の不足を76%の企業が感じているにも関わらず、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%だという(※1)。
そこで今回、LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)とキラメックス株式会社(以下、キラメックス)が共同で、データやAIを活用し成果を生み出すにはどうすればいいかを考える「データ・AIを使いこなす『人・組織』」に関する勉強会」(以下、本勉強会)を開催。
当日は株式会社 一休 代表取締役社長 榊淳氏(以下、榊氏)とLINEヤフー株式会社 人事総務統括本部 ピープル アナリティクスラボチーム 佐久間祐司氏(以下、佐久間氏)が登壇。経営者目線と人事目線での事例をもとに、データを活用するにはどうすればいいか、それぞれ発表した。
オフィスのミカタではさらに、「人事担当者がゼロからシステムの構築やデータを活用するにはどうすればいいか」について、話を聞いた。
※1出典元:デジタル人材育成プラットフォームの取組状況について(経済産業省)
年30%の人員増加、組織編成は年に24回!データ整理前のLINE
佐久間氏がLINEヤフー(当時はLINE株式会社)に入社したのは、2017年。当時は、年間で社員増加数30%、組織編成24回、稼働中のサービスは100もあったという。
「当時はLINEの成長期。組織編成や入れ替わりもある中で、人事は常に組織別の退職率などの計算、データ提供に追われていました。その頃はExcelを使って計算しており、それが当たり前でした」 。
日々計算に追われる中、佐久間氏が業務効率化のために行ったことは周りを巻き込むことだったという。
「データを一元化して分析可能な状態にするため、まずはシステム担当者に声をかけるところから始めました。『追加で作業することはなく、皆さんの業務を効率化しますよ』と話をし、一元化に向けてデータ集めやシステム構築に向けた作業を声かけと同時に進めました。そうするうちに“人事にデータが使える人がいるらしい”と認知され、仕事を任されたり一緒にやろうと声をかけられたりすることが増えていきました」。
佐久間氏は、勤怠管理・経費精算など独立した複数の人事システムはそのままで、1つに統合するデータベースを作成。「人事情報の閲覧」「組織状態の可視化」「データアナリストの分析・検証用」の3分類のアウトプット先を設けた。
「それぞれの人事システムからCSVをダウンロードして、1つのデータベースに載せる作業を地道にやりました。データを整える作業だけでも2~3年かけていると思います」
データ活用に悩む人事担当者へ向けて
データ活用の必要性が分かっていても、経営陣の説得に悩む人事担当者もいるのではないだろうか。これに対して佐久間氏は、経営に必要なエンゲージメントサーベイやタレントマネジメント導入のためにシステムや基盤を作るよう動いていたという。
経営陣がほしい情報、データから地道に整備し業務効率化に成功した佐久間氏。これからデータ活用したいと考える人事担当者が始めるべきことは、出社率の計算だと語る。
「新型コロナウイルス感染症が5類へ移行したことで、出社回帰の流れが進んでいますよね。そんな中で経営陣の関心は出社率にあります。部署ごとの出社率、オフィス別の出社率がどうなっているか、今誰が出社しているのかをダッシュボードを作って自動化できれば業務効率化にもつながりますし、経営陣の要望も満たすことができるのではと考えています」。