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気分転換・交流に満足している人は組織市民行動とエンゲージメントが高い傾向【仕事における余白・遊びに関する実態調査】

2024.02.27

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山崎淳)は、808名の正社員に対し「仕事における余白・遊びに関する実態調査」を実施。「業務時間内の気分転換や業務時間内外の社内交流の頻度」や「気分転換等の後ろめたさ」など、調査結果から見える実態について公表した。

調査結果詳細はこちら

6割以上が業務実施場所を離れずにできる気分転換を1週間に複数回実施

6割以上が業務実施場所を離れずにできる気分転換を1週間に複数回実施

本調査では、気分転換の具体例として7項目、交流の具体例として4項目、制度の具体例として10項目を示し、気分転換は直近1週間の業務時間内での実施頻度、交流は直近1年間の業務時間内外での実施頻度、制度は所属企業での有無および期間を限定しない活用の経験と、それぞれの満足度を尋ねている。

調査結果では、気分転換についてその場を離れずにできる場合が多い項目は、いずれも60%以上が直近1週間に複数回実施していることが明らかに。また、交流では、最も実施率の高かった「食事会や飲み会」に関して、直近1年間に複数回実施したという回答が40%超となっている。

また「フレックスタイムなど、働く時間を柔軟に選べる制度」および「テレワークやフリーアドレスなど、働く場所を柔軟に選べる制度」については、存在するという回答が50%程度であり、そのうち「活用したことがある」という回答は全体の30%超。満足度はいずれも50%以上が「非常に満足している/満足している/やや満足している」であり、なかでも交流に関しては68.9%が肯定的な回答であった。

さらに、制度に関して、活用しているかは問わず制度が職場に存在している群(「会社の制度として存在し、活用したことがある/会社の制度として存在するが、活用したことはない」)と存在していない群(「会社の制度として存在しない」)に分けた場合は、すべての項目で有意差が見られ、存在群の方が満足度の回答の平均値が高いことがわかっている。

気分転換と交流に満足するポイント

気分転換と交流に満足するポイント

続いて本調査では、気分転換・交流・制度の各項目の実施・活用と満足度の関係について定性的に確認。

気分転換に関しては「特に気兼ねなく好きなときに休憩できるような社風なので、メリハリをつけながら仕事に取り組むことができていて良いと思います」「テレワークで自分のペースで気分転換できているから」といったコメントが見られ、自身が希望したタイミングで実施できる点に満足している声が多いことがわかった。

交流については「煩わしい付き合いがないことに満足している」「社内の雰囲気は悪くないが、プライベートの時間を使ってまで交流したいとは思わない」といった、実施しないことに満足するコメントが多く見られている。

制度に関する記述には「社員のことを考えているんだなと思うから」といった、組織の従業員への姿勢を表すものと捉えたコメントが複数寄せられている。不満足の理由としては「何も制度がないから」という趣旨のものが多く、次いで「業務量やスキルにより、偏りが出る」といった不公平感を述べるものが目立つ結果となった。

気分転換・交流に満足している人は組織市民行動とエンゲージメントが高い傾向

気分転換・交流に満足している人は組織市民行動とエンゲージメントが高い傾向

また、本調査では「結果として組織の効率や機能が高まる、自発的な役割外行動」を示す組織市民行動(以下:OCB)と「従業員の会社に対する愛着や貢献の意志」を示すエンゲージメントを結果変数とし、気分転換・交流の満足度との関係性を見ている。

その結果「OCB」「エンゲージメント」共に(1)共に満足群と(4)共に不満足群、および(1)共に満足群と(3)交流のみ満足群に統計的に有意な差が見られた。

同社はこの結果について下記2つの傾向がみられると分析している。

■気分転換に満足していない人は、同僚や上司を援助したり、個人的関心をもったりしていない傾向にある
■気分転換に満足していない人は、エンゲージメントが低い傾向にある

約4割の人が気分転換等に後ろめたさ

本調査結果によると「業務時間内に目の前の業務以外に時間を割くこと」に後ろめたさがあるか、との設問に全体の43.1%が「ある(「非常にあてはまる/あてはまる/ややあてはまる」)」と回答している。

同社は、気分転換に後ろめたさを感じる理由には、同僚に配慮する声が多い一方で、後ろめたさを感じない理由は、長期的な組織への貢献を見据えるような声が多いことを明らかにした。

また同社は、気分転換の実施頻度高群・低群に分けて、後ろめたさと満足度の関係を確認。その結果、気分転換実施頻度高群・低群どちらにおいても、後ろめたさの高低で統計的に有意な差が見られ、後ろめたさ高群の方が気分転換の満足度が低いことがわかった。

特に、余裕のない職場・冷ややかな職場・流動性の高い職場で働いている人は、業務時間内の気分転換等に後ろめたさを感じている傾向にあることが明らかに。同社はこの結果について「余裕のなさや冷ややかさについては職場単位で対処できる部分があるだろう。それらの緩和を通じて、気分転換等に対する後ろめたさを感じさせないようにすることが、気分転換の満足度の向上につながると考えられる」と考察した。

まとめ

本調査では、気分転換・交流の満足度が高いと、組織市民行動やエンゲージメントなどの観点から、組織にも良い影響をもたらす可能性があることが明らかになった。また、気分転換の満足度には、職場の余裕のなさや冷ややかさが影響していることもわかっている。

同社の考察にもあるように、適度に気分転換ができる余白、雰囲気を作り、満足度を向上させることが、組織にポジティブな影響をもたらす可能性があると考えられる。気分転換がしやすい仕組みやスペースなどの整備に加えて、後ろめたさを感じなくていい雰囲気作りなどに取り組むことも検討してみてはいかがだろうか。