2024年02月の景気動向　国内景気は2カ月連続で「悪化」今後の景気は個人消費の行方がカギに

株式会社帝国データバンク（以下：TDB）は2024年2月15日から2月29日までの景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは規模別の景気動向に絞って紹介する。

2カ月連続で「悪化」も夏以降から緩やかに持ち直す見通し

TDBによると、2024年2月の景気DIは前月比0.3ポイント減の43.9となり、小幅ながら2カ月連続で悪化している。2月は、日経平均株価が34年2カ月ぶりに史上最高値を更新するなど、金融市場において好材料の多い状況が続いていた。さらに、インバウンド消費や半導体関連の設備投資需要などが景気を下支えした。その一方で、能登半島地震による影響が北陸地方を中心に続いたほか、物価高にともなう節約志向の高まりに暖冬による季節需要の不振も。さらに、自動車の生産・出荷停止などは製造から小売まで関連する業種の下押し要因となった。

TDBは今後の景気について、雇用情勢の逼迫を背景とした継続的な賃上げや賞与、減税などによる個人消費の行方がカギとなるとし、悪材料が集中し下振れるが、夏以降から緩やかに持ち直すと推察。好調なインバウンド需要や設備投資の拡大が見込まれるほか、生成AIの発展などがプラス材料となるとしながらも、人手不足や職人不足が長期化するなかで、2024年問題など時間外労働への対応、物価や金利の動向などに注視が必要だとしている。

全規模が2カ月連続で小幅悪化

TDBは「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2カ月連続でそろって悪化したことを発表。いずれの規模も好材料と悪材料が交錯するなかで、小幅な変化にとどまっている。

■「大企業」（47.7）：前月比0.2ポイント減　3カ月連続で悪化
自動車関連を含め生産調整が実施されるなど『製造』が悪化したほか、物流量が低調な『運輸・倉庫』など5業界が落ち込んだ。他方、販売単価の上昇した『小売』は3カ月ぶりに改善。

■「中小企業」（43.2）：同0.4ポイント減　2カ月連続で悪化
自動車の出荷停止による納期の延期などの影響を受け『小売』が2カ月連続で落ち込んだうえ、関連部品の卸売も下振れ。他方、好調なインバウンド需要のなかで宿泊業やレンタカーは上向いた。

■「小規模企業」（42.4）：同0.2ポイント減　2カ月連続で悪化
「全体的に仕事量が少ない」「物件の照会が少ない」といった声が目立つ『建設』が下落したほか『小売』も落ち込んだ。一方で『サービス』は2カ月ぶりに改善した。

調査概要

調査方法：インターネット調査
調査期間：2024年2月15日～2月29日
調査対象：2万7443社
有効回答企業：1万1267社、回答率41.1％
出典元：2024年02月の景気動向調査（株式会社帝国データバンク）

まとめ

2024年2月の景気動向調査では、小幅ながら全規模で2カ月連続悪化となった。今後の景気についてTDBは、好調なインバウンド需要や設備投資の拡大が見込まれるほか、生成AIの発展などがプラス材料となって、夏以降に緩やかに持ち直すと見込んでいる。継続的な賃上げなどによる個人消費の行方や、2024年問題などへの対応、物価や金利の動向などに注目したい。