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上場企業の「早期・希望退職者募集」大型化で前年同期6倍の人数に(2024年1‐2月)

2024.03.08

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は2024年1-2月上場企業「早期・希望退職者」実施状況の調査を実施。14社(前年同期9社)、3613人(前年同期595人)の募集が行われたことを明らかにした。
※ 本調査は、希望・早期退職者募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出したもの
※ 『会社情報に関する適時開示資料』(2024年2月29日公表分まで)と東京商工リサーチ調査に基づく

出典元:2024年1‐2月 上場企業の「早期・希望退職者」募集 大型化で昨年1年間を超える3,613人(株式会社東京商工リサーチ)

上場企業「早期・希望退職者」1000人以上の募集が2社

上場企業「早期・希望退職者」1000人以上の募集が2社

TSRによると、2024年1-2月に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は、14社(前年同期9社)に達し、前年同期を5社上回ったという。対象人数は3613人(前年同期595人)と前年同期の6倍に急増。2カ月で昨年1年間の実績である3161人(2023)を452人上回っている。

また募集人数は、1000人以上が2社(構成比14.2%)、500~999人以上が1社(同7.1%)と大型募集があり、この3社で全体の約9割を占めていることもわかった。1000人以上は、資生堂(募集人数1500人)とオムロン(同1000人)の2社。500~999人は、セブン&アイ・ホールディングスの1社。

TSRは、大手企業で構造改革が本格化するなか、現状ペースで推移すると2021年(1万5892人)以来、3年ぶりに1万人を超える可能性もあると述べた。

損益別・業種別の分析

損益別・業種別の分析

TSRの報告によると、募集を開始した企業の直近本決算(単体)では、黒字が9社(構成比64.2%)と6割を超えているという。上場区分では、最多は東証プライムが9社(同64.2%)となっている。また、黒字企業9社のうち7社が東証プライム上場であることもわかった。なお、赤字の5社では東証プライムは2社にとどまっている。赤字企業は、東証スタンダード1社、東証グロース2社と、比較的規模が小さな企業に集中。業種別では、機械、その他製品、サービス、医薬品、食料品が各1社となった。

業種別にみると、これまでコロナ禍で打撃を受けた業種が中心だったが、コロナ禍の影響を引きずるアパレル関連は1社にとどまり、幅広い業種に分散。最多が情報通信(前年同期0社)、電気機器(同2社)、食料品(同0社)の各2社だった。

深刻な人手不足のなか、業績回復の目立つ大手企業で「早期・希望退職者」が増えており、TSRは大手企業が本格的な構造改革に乗り出した可能性が出てきたと推察。経済産業省は、リスキリングなどのキャリアアップ支援事業でキャリア相談や転職支援を後押しするが、TSRは大手の構造改革への取り組み次第で「早期・希望退職者」募集はさらに増えるとの予測を発表した。

まとめ

2024年、わずか2カ月で2023年1年間の実績を超える早期・希望退職者の募集が行われたことが明らかになった。政府がキャリアアップ支援や転職支援を予算化するなど、人材流動化の動きを後押ししていることもあり、企業にとっては早期・希望退職者の募集をかけやすい環境とも考えられる。TSRは現状のペースで推移すれば、3年ぶりに1万人を超える可能性があると予測した。構造改革の機運が再び高まっており、企業によっては新たな人材確保のチャンスとも言える。今後の推移にも注目したい。