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就業者の意識・行動に影響を与えはじめる賃上げ率とは【賃上げに関する意識調査】

2024.03.14

「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木紘之)は、20歳~59歳の正社員の男女計2400名を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施。本調査からわかった「賃上げ率に伴う就業者の意識・行動の変化」に関して結果を公開した。ここでは結果の概要をお伝えする。
※本記事内での「賃上げ率」は「年収の賃上げ率」を指す

調査実施と本調査結果公開の背景

同社は「賃上げに関する意識調査」について、賃上げに対する社会的な機運が高まる中、就業者の賃上げに対する意識や実態を明らかにすることで、就業者に有益な情報として提供するとともに、雇用主である企業の賃上げ検討にも役立つものになるとの考えから、実施に至った。

2月には、本調査結果から賃上げ率の実態や希望、予想など具体的な数値を明らかにして発表(※1)。就業者の賃上げ率の希望と予想には乖離があり、就業者は希望するほどの賃上げに期待がもてていない傾向が明らかにした。

さらに今回は、賃上げ率に伴う就業者の意識や行動の変化に着目することで、就業者及び企業双方にとってより有益な示唆につなげる考えを示している。

※1 出典元:正社員を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施(Indeed Japan株式会社)

就業者の意識・行動に影響を与えはじめる賃上げ率

就業者の意識・行動に影響を与えはじめる賃上げ率

同社は20~59歳の正社員2400名に、就業者における意識や行動に影響を与えはじめる年収の賃上げ率について尋ねた。

まず、就業者が「この上昇率を下回ると、給与に不満を感じはじめる」賃上げ率は、全体では平均+4.8%であった。勤務する企業規模別(※2)に見ると、大企業に勤める就業者では平均+4.2%、中小企業では平均+5.2%という結果に。大企業の就業者よりも中小企業の就業者のほうが、不満を感じはじめる賃上げ率が高いことが明らかになった。

続いて「この上昇率を下回ると、転職・退職を検討しはじめる」賃上げ率は、全体では平均+4.0%、勤務する企業規模別では、大企業に勤める就業者では平均+3.6%、中小企業では平均+4.2%という結果に。不満を感じはじめる賃上げ率と同様に、大企業の就業者よりも中小企業の就業者のほうが、転職・退職を検討しはじめる賃上げ率が高いことが明らかになっている。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(※3)」によると、中小企業の平均賃金は大企業よりも低いことが示されている。また2024年2月に同社が公開した本調査結果(※4)では、大企業に勤める就業者よりも中小企業に勤める就業者のほうが、賃上げ率が低いことが明らかとなっている。同社はこうした実態を背景として、年収および賃上げ率が大企業の就業者と比較して相対的に低い中小企業の就業者は、大企業の就業者よりも高い賃上げ率において、より敏感に不満を感じはじめたり、転職・退職を検討しはじめる傾向があると考察した。

※2 大企業は従業員数(アルバイト・パートを含む人数)1000人以上、中小企業は1000人未満と定義
※3 出典元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
※4 出典元:正社員を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施(Indeed Japan株式会社)

「賃金に関する意識調査」概要

調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:現在就業中の20~59歳の正社員(勤務先の従業員規模が2名以上、現在の勤務先の勤続年数が2年以上) 男女計2400名
割付方法:性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収
補正:「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比にあわせて補正
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年1月16日~1月19日
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合がある
出典元:「賃上げに関する意識調査」の「就業者の意識・行動」に関する結果を公開(Indeed Japan株式会社)

まとめ

2024春季生活闘争について、日本労働組合総連合会では賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換をはかる正念場と位置付けており、昨年を上回る賃上げですべての労働者の生活向上につなげていく方針を掲げている。3月14日に発表された芳野中央闘争委員長のコメントによると、現時点までに示された回答は、多くの組合で2014年闘争以降で最高となる賃上げとなったという。また、3月13日に開催された「政労使の意見交換」で岸田首相からは、賃上げの流れを継続できるように政府としても手を尽くすという旨の発言があったと発表されている。

本調査では、大企業よりも中小企業の就業者の方が、賃上げ率に対してシビアな意識であることが明らかになった。人手不足が大きな課題となる中で、従業員が不満や離職意向を抱かないよう、賃上げ率の上昇に努めていく必要があるだろう。

中小企業の賃上げについては適正な価格転嫁が行えるかどうかが重要なポイントになっている。今後本格化する中小企業の労使交渉の行方にも注目したい。

参考:先行組合の勢いを中小組合・社会全体へ波及させよう! 2024春季生活闘争 ヤマ場の回答引き出し状況に対する芳野中央闘争委員長コメント