花粉症による労働力低下で1日約2340億円の経済損失額と推計【パナソニック株式会社】
パナソニック株式会社が「花粉症による労働力低下の経済損失額2024」を推計。最新の民間給与実態統計調査(国税庁)や労働力調査(総務省統計局)を元にした今回の推計では、その経済損失額は1日あたりで「約2340億円」に該当することが明らかにされた。
花粉症で1日あたり「約2340億円」の経済損失額
同社が2020年に行った「社会人の花粉症に関する調査」では、花粉症の社会人に、花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答した。また、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間(※1)となっている。
同社はこれらの花粉症による労働力低下の平均時間と、最新の民間給与実態統計調査(国税庁)や労働力調査(総務省統計局)を元に試算。その結果「花粉症による労働力低下の経済損失額2024」は、1日あたり「約2340億円(※2)」と推計された。
※1 有効回答を元に算出し、1分以上1時間未満の回答は1時間、法定労働時間を超える8時間以上の回答は8時間として算出
※2:花粉症による労働力低下の平均時間を元に、令和4年分民間給与実態統計調査結果(国税庁)と令和5年分毎月勤労統計調査(厚生労働省)から、労働が低下すると感じる社会人の平均の給与を割り出し、本調査にて算出された社会人の花粉症患者の割合(53.0%:6081名中3198名)と、2023年12月分労働力調査(総務省統計局)から花粉症の社会人数を算出した数値と掛け合わせて、花粉症に起因する労働力低下による経済損失額を算出
出典元:令和4年分 民間給与実態統計調査(国税庁)
出典元:令和4年分 民間給与実態統計調査(国税庁)
出典元:毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報(厚生労働省)
出典元:労働力調査(総務省統計局)
パナソニック『社会人の花粉症に関する調査』調査概要
調査地域:全国
調査期間:2020年1月17日~1月19日
調査方法:インターネット調査(協力:株式会社ジャストシステム)
調査対象:全国の20歳から60歳までの社会人(男女)6081名を対象に、花粉症の罹患有無に関するスクリーニングを行い「花粉症である」と回答した3198名のうち、本調査の企画意図に合意した3067名から、無作為抽出した1324名
有効回答:1324名(男性:662名、女性:662名)
出典元:パナソニック株式会社
専門家解説
同社は推計結果の発表と併せて、専門家からの解説もリリースしている。
耳鼻科医の坂田英明氏は花粉症の症状から引き起こされやすい「口呼吸」や、アレルギーによる「自律神経の変調」などが、日常生活のパフォーマンスに影響するとして、花粉を持ち込まない対策や、花粉を吸い込まない対策の必要性を解説した。
医師であり睡眠専門家でもある坪田聡氏は花粉症と睡眠に深い関係があることから「花粉症→睡眠不足・睡眠の質の悪化→免疫異常がひどくなる→花粉症がさらに悪化」という負のスパイラルが起こる可能性を指摘。家庭での対策や、予防のために早めに薬を飲み始めることなどを推奨した。
いますぐ始めたい4つの花粉対策
同社はさらに、すぐにできる4つの花粉対策を紹介。ちょっとした工夫で取り込む花粉量を減らすことができるとして、対策の実践を促した。
<外出先から花粉を持ち込まない>
■家の中に入る前に衣類に付着した花粉を取り除くため、玄関にはハンディサイズのクリーナーや専用のブラシなどを用意
■表面がツルツルしていて花粉が付着しにくい化学繊維やレザーなどの衣類を選ぶ
<洗濯物を外に干さない>
■花粉が洗濯物に付着しないよう、花粉の気になる季節は外干しをやめて部屋干しに切り替える
■洗濯乾燥機、衣類乾燥除湿機、浴室乾燥機のほか、エアコンの衣類乾燥モードを使う
<窓からの流入を防ぐ>
■窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで屋内への花粉の流入をおよそ4分の1に減らすことができる
※出典元:花粉症環境保健マニュアル2022(環境省)
<こまめに床掃除をする>
■掃除の際は、掃除機を使うと、床に溜まっていた花粉を排気によって舞い上げてしまうことがあるので、先に水拭きをすることが重要
■床掃除に使った雑巾はしっかり洗う(使い捨てのウェットタイプのシートを使うのも有効的)
まとめ
花粉症は今や国民病とも言われ、政府が決定した「政府の花粉症対策3本柱」では「発症・曝露(ばくろ)対策」について、企業等の取組推進が含まれている。同社が紹介した対策の「外出先から花粉を持ち込まない」「窓からの流入を防ぐ」「こまめに床掃除をする」などは、社内でも取り入れられそうだ。今後の社内での取り組みの参考にしてみてはいかがだろうか。
参考:政府の花粉症対策3本柱 効果的な対策のために(政府広報オンライン)














