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脱炭素経営に取り組む上で「効果がわからないこと」が課題の1位に【中小企業の脱炭素経営に関する実態調査】

2024.03.18

Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバルGDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者600人を対象に「中小企業の脱炭素経営に関する実態調査」を実施した。調査結果の概要を紹介する。

調査実施の背景

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素経営に注目が集まる中、同研究所では2023年10月から11月にかけて「中小企業の脱炭素経営に関する実態調査」を実施。2024年2月から調査結果レポートの発表を行っており、今回で第3弾の発表となる。

第1弾では、中小企業における脱炭素経営の必要性や実行の割合、そもそもの脱炭素経営への理解度などの実態を、第2弾では、脱炭素経営において感じられているメリットや、実際に中小企業経営者が実施している取り組みについて報告。

今回の調査第3弾では脱炭素経営に取り組む上での課題や、今必要な内容について掘り下げた調査を実施した。

※第1弾調査:〈中小企業の脱炭素経営に関する実態調査 第1弾〉中小企業の10社に1社以上が上流企業・大手取引先から脱炭素の取り組みを求められていると判明!一方、脱炭素経営に取り組みたいと考えている中小企業はたった3割!(フォーバルGDXリサーチ研究所)
※第2弾調査:〈中小企業の脱炭素経営に関する実態調査 第2弾〉脱炭素経営を行う中小企業が感じている効果TOP3は「コスト削減」「認知度向上」「社員のモチベーション向上」!(フォーバルGDXリサーチ研究所)

調査概要

調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所調べ
調査期間:2023年10月16日(月)~11月15日(水)
調査対象者:全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
有効回答数:600人
出典元:〈中小企業の脱炭素経営に関する実態調査 第3弾〉脱炭素経営をさらに取り組むべきと半数以上が回答!一方、取り組む上での課題1位は「効果がわからないこと」(フォーバルGDXリサーチ研究所)

さらに取り組むべきが半数超

さらに取り組むべきが半数超

同研究所は、脱炭素経営に「十分取り組めている」「ある程度取り組めている」と回答した方に、今後の脱炭素経営の取り組みに対する考え方を尋ねた。その結果「さらに取り組むべきである」と答えた経営者は全体の53.3%となり、今以上の取り組みが必要だと認識している経営者が過半数という結果に。

一方で「現状の取り組みで十分である」と答えた経営者も34.4%となった。同研究所は、調査第2弾においてエネルギー生成などのコストがかかる内容は中小企業では取り組むことが難しいという結果が出たことや、後述の脱炭素経営に向けた補助制度の設問から、中小企業にとって脱炭素経営は未だコストがかかる内容もあり、脱炭素経営を進めていく上で一定のハードルになっていると推察している。

脱酸素経営効果がわからない 全体の2割

脱酸素経営効果がわからない 全体の2割

続いて同研究所は、実際に脱炭素経営を進める上での課題について調査を行った。その結果「効果がわからない」が全体の24.4%で、最も多くの経営者が感じている課題であると判明。次いで「取り組み方が分からず手探りの状態である」(18.3%)「費用がかかる」(17.6%)が続いている。

回答者が多かった「効果がわからない」「 取り組み方が分からず手探りの状態である」について同研究所は、どちらも情報量の少なさが要因の1つになっていると推察。第2弾調査でも、脱炭素経営の取り組みの対外的な発信ができていない事を明らかにしている。こうした背景から、同研究所は中小企業での脱炭素経営では情報の発信が1つの重要なファクターになっているとの見方を示した。

国や政府からの補助制度が課題に

国や政府からの補助制度が課題に

「あなたは脱炭素経営を進める上で、どのようなものが必要だと思いますか」との問いでは、「国や政府からの脱炭素経営に向けた補助制度」が42.6%となり最多に。同研究所はこの結果から、中小企業への補助制度によってコスト面での課題を解決することができれば、脱炭素経営はより進んでいくと考察した。

また、そのほかでは「国や政府からの中小企業向けのガイドライン」(33.3%)「中小企業の成功事例の共有」(31.2%)が多くなっている。同研究所は、脱炭素経営に関する中小企業向けの情報として、環境省の「脱炭素ポータル」や「エネ特ポータル」がありながら、これらの情報をうまくキャッチできていない経営者も一定数いると推察。そうした経営者に対する情報の提供者としても、伴走支援事業者に求められる期待は大きいとの考えを示した。

まとめ

政府は、カーボンニュートラルの達成に向けて、2050年までに全員で取り組む必要があるとしているが、本調査の第1段では半数以上の企業がまだ取り組めていない現状も明らかに。第3段となった今回は、コスト面や情報面での支援を必要とする声が多く挙げられた。

環境省の「脱炭素ポータル」では、企業に関連する法制度や政策について紹介している。また「エネ特ポータル」は脱炭素化事業支援情報サイトとして、補助・委託事業の一覧や申請フロー、活用事例などが紹介されている。今後の取り組みの参考にしてみてはいかがだろうか。

参考:中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック(環境省)
参考:脱炭素ポータル(環境省)
参考:脱炭素化事業支援情報サイト(エネ特ポータル)(環境省)