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介護・治療の両立支援に関する制度の通知・取得促進について4割以上が「何もしていない」と回答

2024.04.08

株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「育児や介護・治療と仕事の両立支援についての調査」を実施し、131名から回答を得たことを発表した。ここでは調査結果の概要についてお伝えする。

育児や介護と仕事の両立において男女で負担に偏り

育児や介護と仕事の両立において男女で負担に偏り

同社はまず、子育てと親や親族の介護を同時に担う状態である「ダブルケア」について、よく理解しているのは1割未満にとどまり、3割以上が言葉を聞いたことがないと回答したことを明らかにした。

続いて、育児や介護を理由に退職・休職した社員がいるか調査。その結果、育児は退職・休職ともに女性の方が対象者が多いことがわかった。介護は男女差はあまりみられなかったが、育児に比べて男性の退職者が多いことが明らかになっている。

さらに、両立のために雇用形態の変更をした社員がいるか尋ねた結果では、約4割の企業で育児のために雇用形態を変更した女性社員がいることが判明。同社は、育児と介護においては女性の方が該当者が多く、男女で負担に偏りがあるとの見方を示した。

両立支援の実態

両立支援の実態

次に同社は、両立支援のために実施していることを調査。その結果「育児休業制度の導入(87.0%)」「介護休業制度の導入(78.6%)」「柔軟な働き方の推進(64.1%)が上位に。

両立支援制度を利用している社員の男女比率については、介護は約7割が「男女差はない」と回答し、育児は7割以上が「女性が多い」と回答している。また、同社によると、約8割が自社は育児休業が取りやすい文化だと回答した一方で、介護休業が取りやすい文化だと思う企業は約6割にとどまったという。

続いて同社は、介護休業を取得した従業員の取得目的について「直接介護をする必要があるため」が45.0%で最多となった一方で、36.6%が「わからない」と回答したことを報告した。

両立支援の推進について

両立支援の推進について

同社は続いて、両立支援に関する制度の通知・取得促進をどのような方法で行っているか調査。その結果、育児は「相談窓口の設置」が40.5%で最多となっている。一方で、介護については42.0%、治療については48.9%が「何もしていない」と回答したことが明らかになった。また、育児・介護・治療に関する実態把握は、いずれも「本人からの申し出」が最多であった。

「自社の両立支援をどう評価するか」との問いでは、育児については7割以上が「推進されている」と回答したが、介護と治療は約6割が「推進されていない」と回答。両立支援の課題には、育児、介護、治療の全てにおいて「現場従業員の負担増」が7割超となったことがわかった。

なお、休業した従業員の業務の調整方法としては、育児、介護、治療の3つ共通で「現場のメンバーによる分担」が最多に。介護と治療による休業においては約3割が「会社として調整はしていない」と回答しており、現場への負担が懸念される。

調査概要

調査名称:育児や介護・治療と仕事の両立支援についての調査
調査機関:株式会社月刊総務調べ
調査対象:『月刊総務』読者「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年2月14日〜2024年2月21日
有効回答数:131件
出典元:介護・治療と仕事の両立支援は進んでいない実態が明らかに。介護状況の実態把握にも課題あり(株式会社月刊総務)

まとめ

本調査では、育児に対する支援制度は推進が進んでいる一方で、介護や治療に関する支援制度はまだ浸透しておらず、推進への取り組みにも消極的な姿勢が見受けられた。

同社は本調査結果について、今後育児と介護を同時に担うダブルケアに直面する人が増えるとの予測から 「自身はまだその問題に直面せずとも、上の世代の様子や会社の対応を見て、不足や心配があると「この会社で長く働くのは難しい」と判断し転職のきっかけになる可能性もあります」と指摘した。

ダブルケアに関する調査を実施しているソニー生命保険株式会社は、2023年10月に実施した調査(※)で、22.5%が「数年先にダブルケアに直面する見込みがある」と回答したことを明らかにしている。

企業は今後に備えて、育児、介護、治療それぞれへの支援と制度を活用しやすい環境の整備を進めていくことはもちろん、複数の課題を抱える従業員に対してどのように支援していくか、早急に体制を整えていくことが求められるだろう。

本調査では両立支援の課題として「現場従業員の負担増」が多く挙げられている。属人化を防ぐ取り組みやデジタル化による業務効率化など、日頃からできる対策もあるだろう。また、休業した従業員の業務をどのように調整するか、予めその方法を定めておくことも重要だと考えられる。自社の現状を改めて把握し、改善を検討する機会としていただきたい。

ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024(ソニー生命保険株式会社)