中小企業の半数以上が賃上げを実施も賃上げ率は未だ低水準 約4割は賃上げ予定「なし」 フォーバルGDXリサーチ研究所調査
中小企業の変革を目指すフォーバルGDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者600人に「中小企業の賃上げに関する実態調査」を実施。日本経済のデフレ脱却に向けてカギを握る賃金上昇について、大企業を中心に注目度が高まっている中、中小企業における賃金の動向について実態を明らかにした。
アンケート概要
調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
調査期間:2023年12月11日~2024年2月8日
調査対象者:全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
有効回答数:973
調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所調べ
出典元:フォーバル GDXリサーチ研究所
賃上げを実施した中小企業は半数を超えるも賃上げ率は5%未満が約8割
本調査では、2023年1月以降の従業員の賃上げ状況について「実施した」が52.3%と半数を超えたことが明らかになった。
また、今後の賃上げの予定については「ある」が61.3%となり、中小企業においても賃上げが促進されている様子がうかがえる。
続いて本調査は「今後賃上げを行う予定がある」と回答した人を対象に、賃上げ率について質問。その結果、賃上げ率について「1%~3%(38.3%)」「3%~5%(34.7%)と、大多数が「1%〜5%」であることが明らかに。「1%未満(5.7%)」まで加えると「5%未満」は78.7%となった。
日本労働組合総連合会が2024年5月に公開した資料によると、2024年の賃上げ率は平均5.17%となっており、中小企業は平均と比較すると低い水準となっていると見受けられる。この実態から同研究所は、中小企業において業績を拡大できていないことが背景にあると推察した。
また、賃上げを行わないとする中小企業が38.7%と4割近いことにも注目。その理由について調査したところ、上位は「業績低迷(36.6%)」「景気低迷(26.8%)」「雇用維持の優先(26.0%)」になったという。
まとめ
本調査結果について同研究所は「人材確保・定着のための「防衛的な賃上げ」が多くなっていることが推察されます。持続的な賃上げ実施に向けて生産性を向上させることが必要になっていると捉えられます」とコメントした。
日本商工会議所・東京商工会議所が2024年2月に発表した資料(※)では「賃上げを実施予定」と回答した61.3%の企業のうち60.3%が「防衛的な賃上げ」であることがわかっている。前年度からは1.6%とやや減少しているものの、依然6割台と高い水準には変わりない。
足元の経営を安定させなければ賃上げは難しく、それによって人材確保にも影響を及ぼす可能性が高い。中小企業においては、これまで以上に業績拡大に向けた取り組みに注力する必要があるだろう。
※出典元:「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」集計結果(日本商工会議所・東京商工会議所)











